中国情報

 2001年夏、モンゴルを挟み前後3ヶ月近く中国を旅しました。86年、93年、98年に次いで4/5回目の中国旅行。気がつくと延べ滞在日数は7ヶ月を越え、私がもっとも長く滞在した国となりました。宿泊した町の数は約80、我ながら随分とまわったなぁと思います。
 中国は急激に変化しつつある国で、その広さゆえ場所による違いが大きい。また社会システムの違いから、他の国とは違った面も多い。そう考えると書きたいことが山ほど出てきます。たくさん書き過ぎて、読んで頂けなくては困るので、出来るだけ書くことを絞り、「地球の歩き方」にあるような、ちょっと調べれば分かる情報は省きました。旅の技術に関しては、ガイドブックを見てこれは違うよと思ったこと、見所は、個人的な感想が中心です。

ガイドブック&会話集

 英語のガイドブックには、さほど役に立つものが見つからない。中国に関しては、日本語のガイドブックの方がはるかに質が高い。もっともいずれにしても間違いが非常に多く、宿は高級なところの紹介が大半。
 中国を詳しく回るなら、中国で中国人用のガイドブックの類を購入するのをお勧めする。最近は写真が多いものも増えた。もちろん中国語だが、漢字だから慣れればなんとかなる。少なくともぱっと見た感じ、英語よりは使いやすい。ただし、これにも宿情報はない。

 会話集も持っていくと便利だろうが、目を通していない。
 よく筆談でなんとかなるというが、慣れるまでは筆談も難しい。出発前に少し中国語を勉強したほうが良い。 私→我、日→天などを最初から知っていると筆談が楽。

ビザ

 ビザは必要。日本で取るといまだに招聘状が、必要(札幌の領事館は不要らしい)なので、旅行会社を通さねばならない。だから手数料がかかり高くつく。その手数料もまちまちなのがまた面倒。
 外国で取ると招聘状不要なところが多い。韓国、モンゴル、ベトナム、パキスタンでは2001年夏現在招聘状不要。中央アジア諸国やロシアでは必要。香港でも中国ビザが取れ、一番安く、簡単。マルチプルビザも取れる。
 香港は中国に返還されたが、出入国管理では別扱い。たとえば上海、香港、昆明と移動すると香港で一度出国したとみなされるので、要注意。

中国への道

飛行機

 日本からのダイレクトは十数都市に飛んでいるが、地方都市行きは安くない。

陸路

 旅行者がよく利用しているのは、ベトナム、ラオス、パキスタン、モンゴルに抜けるルート。ネパール、カザフスタン、キルギスタンへのルートも人気あり。北朝鮮、ロシアへの道も外国人に開放されている。ミャンマーへは国境の町だけなら入れる。
 残るブータン、インド、アフガニスタン、タジキスタンへの道は基本的にはまだ外国人に開放されていない。ヒマラヤとパミール、いずれにしても開放されたら行ってみたいルート。

海路

 日本からは、新鑑真号(神戸・大阪−上海)、蘇州号(大阪−上海)、燕京号(神戸−天津)、ゆうとぴあ号(下関−青島)の4隻が毎週一往復運行。
 韓国からは、仁川から丹東、大連、天律、煙台、青島、上海に便あり。釜山からの便もある

通貨と両替

 通貨は元。見たことはないが偽札が多いそうなので要注意。高額紙片ならまだ分かるが、100円にも満たない5元札の偽札まであるというのだから恐い国だ。

 レートは米ドルに対し固定されている。何度も切り上げや切り下げのうわさが出ているが、もう何年もそのまま。1$=120円前後のときで、1元が15円。(対外開放され、旅行者の入国が可能になった80年代前半は1元=100円くらいだったのが、どんどん暴落し、93年には10円強。しかし、その後の経済成長で盛り返しています。)

 持っていくのは日本円のTCがベスト。日本での手数料1%と中国での手数料0.75%を考慮してもレートの関係で現金よりも得。
 昔有名であったブラックマーケットは、兌換券なるものがなくなってからほぼ消滅。しかし、今でも大都市や国境都市に少し残る。現金のみで、レートはTCとほぼ同じ。現金しかない場合には有効であるが、偽札の危険もあるので、さして利用価値はない。

 両替は一般に中国銀行でする。大きな支店のみ。レート、手数料は全国均一。しかし、今回湖北省・刑州の中国銀行で理不尽な金額の手数料を請求された。おおもめにもめて、サインしたTCを取り返したが…。信用できない中国銀行もあるということ。

国内移動

 中国での移動の困難さは昔から語り継がれているところ。最新のガイドブックでも切符の入手困難さや、乗物の混雑ぶりを記述してあるが……
 場所にもよるが、今回は拍子抜けするほど移動は楽!だった。約60回利用した列車やバスの切符を購入するのに一度も「没有(ない)」って言われたことはない。もちろん時には込んでいる。市内バスも座れるのが普通。乗るのが困難であった昔の状況はなんだったのか…。一般には乗物が増えたから楽になったといわれているが、移動費が高くなってむやみに人民が移動しなくなったのじゃないかと私は推測している。

 日本と同じく、混雑する時期は決まっている。春節、春・秋の大型連休、7月上旬の都市から田舎に行く路線、9月上旬の田舎から都市に行く路線など。このあたりに重なりそうなら、予約をしたほうが良いかもしれない。

飛行機

 国内線は86年に乗ったきりなので、良く知りませんが、外国人料金は廃止され、上海などではディスカウントチケットが出まわり、値引き合戦をしているそうな。

列車

 バスと比べると、列車は、速い、快適、安いの三拍子。飛行機移動は田舎の景色が見れないのでつまらない。なので、中国の旅は列車での移動がお勧め。行くたびに新しい線が開通しており、路線網も年々充実。ほとんど遅れることもなくなった。

 現在、列車を新型車両に次々と更新中。新型は快適。しかし、このエアコンの付いた新型車両は運賃が高い!旧型車両の倍!ひどすぎる…。新型の硬座(普通の座席)は、旧型硬臥(普通の寝台)と同じような値段。なら旧型の寝台のほうがよっぽど楽で良い。
 当然旧型の列車を選んで乗りたいが、新型旧型の表示がある駅は少なく、切符を買うまでどちらか分からないことが多い。市販の時刻表にも載っているが、誤植が多いし、次々と新型化されてるので…。

 最初は今までの記憶があるので、前日に切符を買っていたが、いつでも空いているので、途中からは乗る日に切符を買っていた。硬座ならこれでほぼ問題なし。
 混雑時期で、しかも途中駅の乗車であった最後だけ寝台に乗った。前日に切符を買いに行くと明日来いといわれ、当日で余裕の購入。この列車、硬座には立った人もいたが寝台には空きがあった。車内で変更できるので、随分と人が流れてきた。よく知らないが、寝台は硬座よりもさらに空いている?
 ただ北京や上海ではダフ屋が買い占めるので、駅で寝台が買えないことが多いよう。このようなときは仕方ないので、硬座の切符を買って、中で変更。ダフ屋が売れなかった切符をキャンセルするので空きはある(たぶん、なきゃ硬座でも楽しいし…)。

バス

 いくら列車網が充実してきたといっても、まだまだバスに頼ることは多い。バスの良さは、田舎の村を通過すること。列車は町から離れた場所を通過することが多い。
 昔はバスも常に満席で予約していたけど、今は空き席があることが多い。途中から乗ると席がないこともあるが…。

 何泊もするような長距離寝台バス路線もある。寝台バスは楽、でも女性は1人で乗るべきじゃない。1ベッドに2名づつなんだから…。(1人づつのもあるそうだが見たことない)

 のんびりとした船の移動を私は好む。中国では河川、運河、海など色々な路線があり、うれしいところだ。河川航路は、揺れがないので快適だが、いかんせん船は遅い。最近はバスや列車に押され気味。ガイドブックには経済発展に伴って路線が増えているとあるが…。昔乗った、香港−広州、広州−梧州なんてのはまだあるのか?

 今回は長江の船に乗ったが、すいていた。昔は車で行くのが困難だった村々に、今は簡単に行けるし、高速道路まで建設中だから、出来たあとでも運航されているのかどうか…。

宿

注意点

 中国では、宿がいつも頭痛の種。服務員(スタッフ)の態度の悪さ、物価に比べ異常に料金が高かったこと、指定の宿しか泊まれなかったこと、鍵を渡されず一々開けてもらわねばならないなどの特異なシステムなどなど、不満を挙げれば切りがない。しかし、これらの問題点は、訪れるたびに改善されてきた。昔を知る私にとっては、もうほとんど問題ないと感じるほど。(まあ、冷静になって考えると今でも問題は多い)

★服務員の態度・・・これはもう昔に比べれば、天と地の差。中国が初めての人は怒ってたが…。以前は“泊めてやる”という態度だったのが、今は普通に“泊まって頂く”という態度のところが多い。もちろん昔ながらのところもある。

★料金・・・異常に高かったのは、外国人料金があったため。ほぼ廃止されたのはありがたい。今は定価があってないようなもの。交渉すれば簡単に値段を下げてくれる。

★指定の宿しか泊まれないシステム・・・徐々に有名無実になっている(気がする)。実際、雲南省では省政府が、このシステムの廃止を99年に発表したそうで、どこでも泊まれるらしい。
 今回訪れた地域でも、問題ないところが多かったが、何ヶ所かで苦労をした。10年前のガイドブックと中国人用のガイドブックを持っていただけなので、どこに外国人用の宿があるかを知らずに新しい町に到着。適当に駅前の宿にあたって泊まれることが多かった。(上海の浦江飯店と北京の京華飯店は有名だったので、最初から目指した。)ちなみに泊まった宿で、外国人宿泊のライセンスを確実に持っていたのは、蘇州、上海、北京、天津、宣昌の5ヶ所。青島と大同の宿も持っていたよう。しかし、残り40ヶ所近くの宿は、おそらくライセンスなし。
 ライセンスなしの宿に行った場合、宿側の対応はさまざまで、外国人はダメという(これは泊まれない)か、分かっていて泊めてくれる(これが一番安全、宿帳は記入しない)か、外国人のライセンス制度を知らない(中国人用の宿帳に書くことになるので、公安にばれて後で問題になることがある)などであった。

 今回の宿代は、4.5元〜60元(70〜900円)。一番高かったのは、初日に泊まった青島の宿。相場がまだ分からず、一軒目で決めたので失敗。二番目に高いのは上海の外国人用ドミトリー(高すぎる)、三番目は最終日に贅沢した杭州。
 参考までに過去に泊まった宿がいくらくらいであったのかを表にしました。実質の値段は下がっていないが、徐々に宿のランクは上げている。93年まではほとんどすべてドミトリー、98年は個室も泊まっているが、半々。今回は個室が主で、しかもシャワー・トイレが部屋にある宿も多い。
 他の物価が非常に上がった国だけに宿代が下がりつつあるのは脅威かも?

年毎の宿泊料金分布
料金(円) 〜99100〜200〜300〜400〜500〜600〜700〜800〜
86年/軒 152221000
93年/軒 484111000
98年/軒 047210000
01年/軒 31121431112

 ガイドブックに紹介される宿がいかに高い宿であるか、一目瞭然!

★中国独特の宿システム
1.中国式の宿では普通部屋の鍵を客に渡すことがない・・・一々フロア毎にいる服務員に部屋の鍵を開けてもらう必要がある。彼女らは、すぐにサボっていなくなるので、毎回のように探す必要があり。つまり中々部屋に入れない。共同トイレやシャワーの宿もこれでは、一々鍵を閉めにくい。困ったもんだ。
2.ヤージン=デポジットを要求する宿が多い。・・・チェックアウト時に返却で時間のかかること多し。
3.シャワーを使う時間が決まっていることもままあり。・・・チェックイン時に聞いておかないと浴びそこなう。
4.チェックアウト後に荷物を預かってくれないところが多い。・・・外で預けると、荷物預かりは一つ3元くらい。普通は12時のチェックアウトだが、半額払うと18時まで使えることが多い。宿の安いところならこのほうが良い。

色々な宿

 高級ホテルはどこでも同じようなものだろうが、安宿には色々と特色があるものも多い。お勧めは
1.麗江や平遥など伝統家屋で有名な街にある伝統家屋を改装し宿
2.東北地方の朝鮮族地域のオンドル。安宿は基本的にオンドル。
3.ウルムチから行く天地のパオ。(カザフ族の移動式テント。)

 地域性で気づいたのは、東北地方の安宿は宿にシャワー設備がない所が多いこと。そのかわり町中に公衆浴場がある。一方、華南省では安宿でもかならずホットシャワーがあり、部屋に付いていても安い宿も多い。そして、街で見かける公衆浴場の数が少ない。

食べ物

 中国旅行の楽しみはなんといっても本場の中華料理。このためについつい滞在が長くなるといっても過言ではない。中国の食事に関してはいくらでも情報があるので特には書きません。ただ、中華料理は色々な料理を注文して、大勢でつつくのが一番。宿で旅行者を見かけたら積極的に声を掛けて、大勢一緒に食事するべし。

飲み物

ノンアルコール

 中国といえばお茶。ホテルや列車にはお湯が用意されており、コップ(代わりになるもの)とお茶葉は個人個人が自分のを用意しているのが普通。しかし、最近この傾向は崩れつつあるのかもしれない。ミネラルウォーターが爆発的に売れている。そしてコーラなどの炭酸飲料が…。お茶を飲めばいいのに…。

アルコール

 一番人気はなんといってもビール。地方やブランドによって値段の差は大きいが、大ビンで1.5元から。3元出せば飲めるところが多い。華南や西南地方はもう少し高め。生ビールも良く見かけるが、薄いのと冷えていないので今一歩。
 中国の酒といえば、白酒や老酒が有名だが、味は千差万別、値段もピンキリ。どれが良いんだか。
 ワインもあるが、おいしくない。まだまだ技術が低いよう。ワインとは別に東北地方名産の野山葡萄酒というのもある。アルコール度が5%くらいの甘いお酒。ジュースみたいで、決してワインではない。

見所

 四大文明発祥の地、紀元前から続く街がたくさんある、それに世界最高峰のチョモランマも中国、少数民族の数限りなし、見所をあげれば切りがないのがこの中国。ただ悲しいことに文化の均一化が激しく進行している。それぞれの伝統文化をもっと大切にして欲しいが…。
 ほんとうに面白いのは有名でない村で、ゆっくり過ごすこと。しかし、何もない場所は説明が難しいので、「世界遺産」と「少数民族」だけを以下に紹介。

世界遺産

 中国の世界遺産指定は明らかに観光客誘致を狙ったもの。指定を受けるならもう少し大切にしろよといいたくなる所が多い。これも仕方ないのか…。
 数が多いので、個人的基準によるお勧め度を三段階で付けてみました。★★★…必見、★★…お勧め、★…興味による

泰山 ★泰山・・・山東省泰安市、鉄道の泰山駅より市バスで登山口へ。山頂まで片道9キロ。バスとロープウェイで山頂に行くことも可能。
 古来五岳の東岳として親しまれてきた山。代々の皇帝が訪れた山としても有名。標高1500メートルほどの山なので十分日帰り可能。景色は今一歩。

故宮 ★★故宮・・・北京市
 天安門を挟むこの故宮と天安門広場は北京訪問のハイライト。故宮は宮殿として建物だけを見学するにしても大きいが、中は博物館で全部は見れないほどたくさんの展示物がある。十分な時間を割きたい場所。

万里の長城 ★★★万里の長城・・・具体的にどこが指定されているのか分からないが、遼寧省・丹東から甘粛省・嘉峪関まで続く史上最長の建造物。ほとんどの本には東端は河北省の山海関だとあるが、ずっと東の丹東まで長城は続いていたよう。丹東に延びたのは明代だが、今公開している場所は修復というより新しく建てた感じ。丹東が明代だから東端は山海関といわれてるのだと思っていたら、山海関も明代に延びた端らしい。山海関の近くの長城博物館で詳しく見たがよく分からない。

莫高窟 ★★莫高窟・・・甘粛省敦煌市郊外(バスで25キロ)
 中国三大石窟の中で一番有名。普通の入場料を支払って参観できる場所だけを見ると感動は少ない。ほんとうは壁画の色などがきれいに残っているのだが、肝心の見所は別料金でそれがバカ高い(ので個人で行って入る人は少ない)。また写真撮影一切禁止。そのため個人旅行者には評判が悪い。

兵馬傭抗 ★★★秦始皇帝陵・・・陜西省臨潼県、西安からバスで1時間
 今も発掘の続く大古墳。地下に眠っていた等身大の兵馬には本当に圧倒される。これが二千年以上昔のものとは……。もっとも好きな遺跡の一つ。必見中の必見!

武陵源 ★★★武陵源・・・湖南省張家界市&桑植県&慈利県、登山の基地は張家界市。そこからバスで1時間が一番近いゲート。ここもロープウェイで山頂に行ける。遊覧ミニ鉄路もあり。
 奇岩峰の連続、まさに山水画の世界。一日だけの滞在ではもったいない。普通は3日かけて山を歩く。それだけの見応えは十分。

曲阜 ★曲阜・・・山東省曲阜市、鉄路■(エン)州よりバス20分。泰安からもバス多発。
 儒教の創始者孔子(BC551-479)の里。孔子を祭った孔廟、孔家が代々使用した孔府、孔子一族の墓地である孔林がある。孔子あるいは儒教に興味があれば必見だが、そうでもないと…。

武当山 ★★武当山・・・湖北省丹江口市、鉄路駅武当山よりバス。武当山駅はローカル駅なので、襄樊-十堰間のバスで武当山下車が便利
 道教の聖地、武当拳でも有名。山の景色はまずまず。山頂の金殿・大和殿が見応えあり。絶壁に寺のある南岩も良い。

ポタラ宮 ★★★ポタラ宮と大昭寺・・・チベット自治区ラサ市
 説明するまでもないでしょう。チベット仏教の総本山で、チベット文化の象徴。 ここも必見中の必見。見ているだけで心が安らぐ。何度でも行きたくなる場所。

楽山大仏 ★★★峨眉山と楽山大仏・・・四川省峨眉山市&楽山市、峨眉山は鉄路峨眉山駅よりバス、楽山は成都や峨眉山よりバス
 世界一の楽山大仏は必見。仏教の聖地でもある峨眉山は標高3000mを越す高山。バスとロープウェイで山頂まで行けるが、それでは意味がない。歩いて登り、途中の寺院で宿泊するのが良い。

麗江 ★★★麗江古城・・・雲南省麗江納西族自治県、■(パン)枝花(四川省)、昆明、大理などよりバス
 チベット高原に近い山麓にある少数民族の街。中心部はツーリスティックになってきたが、路地を入ればまだまだ伝統家屋が立ち並ぶ面白い街。

平遥 ★★平遥・・・山西省平遥市、鉄路平遥駅
 明代の城壁や明・清代の民家が残る城郭都市。城内のいたる所に伝統家屋が残り、のんびり歩くのに良い街。城門やメインストリートあたりで客引きが異常にうるさいのが欠点。それがなければじっくり滞在したい街だが…。

蘇州 ★★蘇州の庭園群・・・江蘇省蘇州市、鉄路蘇州駅
 昔のたたずまいが失われたと聞く蘇州だが、裏通りはまだまだ感じの良い街。世界遺産指定の庭園だけなら★一つであるが、街が好きなので2つ。

天壇 ★★天壇・・・北京市
 大木に囲まれた広い敷地内は北京の中心にいることを忘れそう。歴代皇帝が五穀豊穣を祈念した祈念殿や回音壁のある皇窮宇は円形の美しい建物。

都江堰 ★都江堰と青城山・・・四川省都江堰市、成都からバスで1時間
 都江堰は紀元前から築かれた世界最古の堤防だが、その後何度も改修されているので、普通の堤防にしか見えない。青城山は都江堰を見下ろす位置にある道教の聖地。

龍門石窟 ★★龍門石窟・・・河南省洛陽市、洛陽から市バスで1時間(直行バスなら早い)
 ここも三大石窟の一つ。仏像状態や数、遠くから眺めた石窟の景色はここが一番。古都洛陽からすぐというのも個人旅行者にはありがたい。

 2000年までに指定された27ヶ所のうち訪れたのは以上の16ヶ所。残った場所で行ってみたいのは、98年に行く予定に入れながらあきらめた九賽溝、黄龍、大足。

少数民族

 多民族国家中国には、56の民族が住んでいる。ただしこの56は中国政府が公式に認めた数で、実際には諸説ある。もともと民族の分類は非常にデリケートで難しい。中国の歴史小説を読んでいると聞いたことのない民族名がたくさん出てくるが、それらの多くは漢化して今では漢民族の中に埋もれてしまっている。逆にいえば、今少数民族として認められている民族は独自の文化を保ってきたということか。このような文化に触れるのも中国旅行の楽しみの一つ。
 残念ながら独自の文化を保つ人々は急激に減少。今見ておかないともうダメかも(有名なシーサンパンナの少数民族は98年でもう…)という思いが強く、それが今回の中国旅行が長くなった原因の一つ。
 ここで幾つかを紹介するが、私はあくまで観光目的で訪れているだけ。文化について書くと、それは違うと詳しい人に突っ込まれそうなので、主に会える場所の紹介。訪れるなら自分で調べよう。

大昭寺 モンゴル族・・・内モンゴル自治区、モンゴル族はすべての省・自治区に居住。
 説明するまでもないが、モンゴル国と同じ民族。元来は遊牧民だが、中国の政策で定住化が進み、伝統文化を失いつつある。チベットと同じチベット仏教なので、寺が良い。看板などにはモンゴル文字を使用しているが、どれだけの人が今読めるのか。

カシュガル ウイグル族・・・新疆ウイグル自治区
 行政の中心地はウルムチだが漢民族が多い。西部のカシュガルのほうがウイグルの都の雰囲気あり。トルコ系の民族で、イスラム教徒。彼らは手が早くすぐに殴りかかってくるので要注意。(2度やられ1度は警察も呼んだ。)

天地 カザフ族・・・新疆ウイグル自治区(北部に自治州)
 アルタイ辺りがカザフ族地区の中心だが、ウルムチからほど近いの天山山脈地域にも居住しており、旅行者がカザフ族と会う機会が多いのは有名な避暑地でもある天地。93年に訪れたときは遊牧している家族がいたが…。

タシュクルガン タジク族・・・新疆ウイグル自治区(タシュクルガンタジク族自治県)
 パキスタンに抜ける国境地帯、アフガニスタンやタジキスタンにも接している山岳地帯が彼らの居住地。景色が素晴らしく、のんびりしたい地域なのだが、訪れたときはボッタクリがひどく、長居する気にはなれなかった。でもまた行きたい。

五体投地 チベット族・・・チベット自治区、青海省、四川省、雲南省
 旅人を魅惑して止まないチベット、私自身3週間の滞在であったが、チベットのとりこになってしまった。おかげでその旅行で、ラダック、シッキムなどインド側のチベット文化圏をも訪れたほど。早く政治的問題がなくなり、自由に行けるようになることを祈る。

麗江 ナシ族・・・雲南省麗江納西族自治県
 世界遺産である麗江の住民。本当は失われつつある少数民族の文化はすべて世界遺産にでも指定して守るべきだと思うが、観光推進の期待がこもった指定がほとんどだから仕方ない?独自の絵文字(トンパ文字)がある。

大理・春節 ペー族・・・雲南省大理市
 86年の春節(正月)に訪れ、夢のようなときを過ごした大理だが、98年に訪れたときにはすっかり様子が変わり、外国人だらけの街になっており、がっくり。周辺の村々で開かれるマーケットには、民族衣装を着た白族の人々が大勢いたので、ホットしたのだが…。

石林 イ族・・・雲南省、四川省他
 石灰石の奇岩林で有名な石林を訪れると民族衣装を着た土産物売り達に囲まれる。サニ族だ。イ族自治県なのにと思っていたら、サニ族はイ族に含まれるらしい。
 しかし、イ族で思い出すのは四川省南部の列車で見た刃物を持ったスリ集団。イ族地帯にさしかかると危なそうな人がたくさん乗ってきて…、イ族は怖いというイメージが私にはこびりついている。

シーサンパンナ アカ族(?)・・・雲南省シーサンパンナタイ族自治州
 12年ぶりにシーサンパンナに訪れたときのショックは今でも忘れられない。昔は、それぞれの伝統衣装を身に付けた何種もの民族がそこら中を歩いている田舎だったのだ。彼らはどこに行ってしまったの?民族風情園なるものが出来、ツアーで訪れる人々でにぎわっていたが…。
 86年のアルバムにアカ族?って書いてあるのだが、中国の少数民族リストにアカ族はない。何族のことなのか…。

タイ タイ族・・・雲南省シーサンパンナタイ族自治州
 民族衣装を着た人を見かけなくなり、少数民族地域である実感が少なくなったシーサンパンナだが、人口の一番多いタイ族は独特の高床式家屋に住み、服装も漢民族とは少し違うので、判別はつきやすい。彼らのおかげで開発されたこの地方もまだ漢民族主体の町とは違う雰囲気を保っている気がする。

王村 トウチャ族・・・湖北省ガク西土家族苗族自治州&湖南省湘西土家族苗族自治州
 中国の中央部にありながら山深い地方だったため漢民族とは違う独自の文化を保ったトウチャ族。おかげで彼らの住む地方には、武陵源を始め、吉首、王村、鳳凰、恩師などなど観光に適した場所が多い。

富禄 トン族・・・湖南省・広西壮族自治区・貴州省
 トン族の集落は、雨風橋と鼓楼で有名。雨風橋は橋全体に数層の屋根をつけたもので、雨の日でも橋の上でゆっくり出来るようになっている。鼓楼は雨風橋よりさらに屋根の層の多い建物だが中は吹きぬけ、集会所のようだ。

舟渓 ミャオ族・・・貴州省、海南省など
 遠くはラオスやタイにも数多く住むミャオ族は中国の山岳地域に幅広く分布している。貴州省東部は苗族自治州になっており、州都凱里周辺は特にミャオ族が多い。長い髪を結っている女性の髪型が特徴的。

長白 朝鮮族・・・東北地方
 ハングル文字や朝鮮料理、食堂や宿のオンドルなど、朝鮮族固有の伝統文化を強烈に保持。自民族の国がありながら中国領で少数民族となっていることではモンゴル族と同じだが、朝鮮族は文化保持力が格段に強いのか。

シェンヤン 満族・・・東北地方
 漢民族を支配下に置いた経験のある民族は、清を建てた満族とモンゴル族だけ。満族は今でも人口は多く、勢力ある民族のはずだが、すっかり漢化し、満族と漢族の区別はつかない。

オロチョン オロチョン族・・・黒龍江省、内モンゴル自治区
 名前にひかれ、オロチョン族自治県に行った。しかし、そこは普通の町。ただすっきりした顔だちが漢民族と違っていたのと、話し言葉が中国語ではなかったのが印象に残る。本来は狩猟民族なので、伝統文化を保持している人に会いたければ、最低でも山に入る必要があるだろう。入ったところでいるのか怪しいが…。

 これだけ紹介してもまだ全体の4分の1。
 行くことが出来なかったが、黒龍江省同行市あたりに住むホジェン族は魚の皮で作った服を着ていることで有名な民族。着ている人に会える可能性はほとんどなかったろうが、あきらめたことが悔やまれる。

インターネットカフェ

 “ワンバ(wanba)”と呼ばれるインターネットカフェは相当田舎にまで普及。大都市はかえって見つけ難い。若者が集まる場所に多いので、見つからないときは、大学近くが狙い目。
 ゲームセンター化しており、非常に騒々しい。日本のゲームセンター以上、その状態でメールを書くのは少し辛い。ヘッドホン着用で音を外に出さないところなら静か。
 ADSLがどんどん普及し、回線が速い店が多い。しかし、モデムを使用した電話回線で、使えないほど遅いところもある。相当古いパソコンを修理して使っており、キーボードの文字が消えていたり、効かないキーがあったり…。CDドライブやフロッピーディスクドライブは最初から付いていない。OSはすべて中国語版Windows98。ブラウザも独自の中国もの(IEコンポーネントのタブブラウザ)を使っている店が多い。
 セキュリティー設定で一切のダウンロード不可とする店もあり、このような場所では日本語が使えない。
 色々不便な面が多いのだが、すべてを許す気になるのが、値段の安さ。1時間2元が標準。1〜3元の間が普通。つまり1時間使っても15円から45円、今なら世界一の安さ!(もちろんホテルにあるのは高い)

感想など

 中国は奥が深い。何度訪れても新しい発見がある。見所もたくさん。しかし、一番滞在が長い国となっている最大の要因は、食事のうまさ。これに尽きる。食事がうまくなければ、長居は出来ない。もうさほど見たいものは残っていないが、食事をしにまた訪れることは必至。
 しかし、世界中の人が中国語をしゃべり、中国が何でも一番だと考えている人が多すぎる。これが中華思想?(米国人そっくり)なんとかならないのか…。
 もう一つ、昔から毎晩やっている反日教育ドラマ(悪人=日本人のストーリー)。いつになったら日中友好を考えるのか、中国政府は。これを続けているかぎり中国人は…。

OCT2001

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