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2016 北マリアナ諸島
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北マリアナ諸島ロタ島の祭
Day2(後半) →ロタ(空港→ソンソン→シナパロ→ソンソン)
サイパンから約30分のフライトでロタに到着した。
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設備は立派な空港だが、ガランとしている。以前は日本からの直行便も飛んでいたロタだが、現在はグアム行きとサイパン行きのみであり、合計しても定期便は一日6便のみ。しかも、そのうち5便は8人乗りの小さな飛行機だ。我々が乗った便のみが40人乗りだが、乗っていたのは10人ほどで、そのうちの何人かは次のグアムまで乗るのである。これでは空港が寂しくなるわけだ。
到着してすぐにレンタカー会社のカウンターを訪れた。この島のレンタカー会社は2社のみで、出発前に予約を試みたが、1社は我々の滞在期間中全く空車なし。もう1社は予約フォームからリクエストを流したが返信がなかった。カウンターが開いていたのは返信がなかった方の会社で、同じ飛行機に乗っていたおじさんが手続きを始めたところだ。係員に尋ねると、空きがあるのは一番大きなサイズの車のみで、明日以降なら小さなサイズの車もあるという。小さい島で大きな車など必要ないのに値段は高かったので、後日の予約だけした。しかし、今借りないとなるとホテルへの足がない。すぐにレンタカーの手続きをしていた人に頼んでみたところ、行先が同じホテルだったこともあり、快くOKしてくれた。ホテルへの車中に色々話をしていたら、本日の夕食に招待していただけることになり、うれしい限り。
日本からのツアーがたくさん出ていた時代を知っている私には信じ難いことだが、ホテル予約サイトで予約できるロタの宿は1軒しかない。そのホテルは周りに集落さえない辺鄙な場所にあり、その土地の食事を知ることが旅の大きな目的である妻の嗜好に合わない。できれば村にある宿に泊まりたいということで、メールアドレスの見つかったすべてのホテルにメールを出してみた。しかし、返信があったのは1軒のみ。選択の余地なく決めたのがバレンチノホテルだったのだ。さほど期待はしていなかったホテルだが、オーシャンフロントのきれいな部屋で、居心地は非常に良い。しかも、ここに宿をとっていたおかげで夕食に招待していただけるというおまけまで付いたのである。
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レンタカーやホテルが込んでいたのは、マリアナ諸島最大ともいわれる祭りが開かれていたためだ。この日が最終日で、午前中で公式行事は終わっているが、まだ何かやっているかもとホテルの人に教えられた。宿には荷物を置いただけで、すぐに会場に出かける。
行事は終わっていたが、ビュッフェスタイルの食事を続けているグループがあり、招待してもらえた。まずは、レッドライス。アチョーテの実で色付けしたご飯で、マリアナ諸島のお祭りの定番とされている。これが、チャモロ語でイネクサバレンシャナ。イネクサは炊いたご飯を指す言葉だが、稲草・・・日本語だろうと爆笑してしまった。
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主食はイネクサ以外に私の好物であるパンの実などもあったが、意外に思ったのがトルティーヤ。スペイン時代に根付いたものだろう。
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ローストポークは絶品だった。かなり食べられた後なので確かではないが、丸焼きしたものだろう。お祭りに豚の丸焼きは南太平洋の島々で何度も見かけたものだ。
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缶ジュースやミネラルウォータまで付けてくれた。典型的なチャモロ料理を色々食べることができ、最低限の妻の目的はいきなり果たせたと思われる。
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左側の屋根の下にいただいた食べ物が並べられており、そこで自分でよそって、右側の屋根の下で食べた。
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行事の終わった舞台の上に残されたくじの抽選機。
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広場のあちこちに新しい小屋が建てられている。お祭りのために建てたものだが、ピクニックBBQなどに使えるように多くはそのまま残しておくそうだ。
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会場の裏にあった墓地。
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ベンチも簡単な造りだが、いろいろ工夫がしてあって、よく見ていくと楽しい。
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フィリピン人のグループにも食事に誘われた。すでにお腹はいっぱいだったが、こちらでも一通り味見してみる。チャモロ料理に比べると味が少し濃い気がする。
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フィリピン産のジンも頂いた。ここにいると何杯も飲まされる。4杯飲んで、退散した。
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柱にコンセントを描いたものが打ち付けられている。こういうユーモアがお祭りらしく、楽しい。祭りの楽しみは皆で小屋を建てるところから始まっているのだろう。
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ロタの人で唯一日本の大学を卒業したというおじさんに会い、妻は日本語で色々質問を始めた。
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料理に関する詳しい話が続いて飽きたので、私は一人ビーチを散歩。
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妻は1時間近く話し込んでいた。夜の約束があるので、切り上げさせ、ホテルに向かう。祭り会場の一つとなっていた集会所とラッテストーン。ラッテストーンは、マリアナ諸島各地に見られるサンゴ石の石柱で、建物の土台であったといわれている。
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ホテルに戻ってシャワーを浴び、着替えたらもう約束の時間だ。再び車に乗せてもらって、空港近くのシナパロ村に向かう。よくよく聞いてみると、誘ってくれたKさんは米国下院議員だという。(下院議員の名前は公表されており、すぐに名前は分かるが、今回お会いした人の名はイニシャルで統一)北マリアナ諸島は米国領であって米国そのものの一部ではないので、上院には代表を出しておらず、下院も議決権のないオブザーバーということだが、議員は議員。日本でいえば国会議員の招待で、議員と一緒に秘書の運転する車で事務所のパーティーに向かうようなものである。といってもKさんは気さくで物静かな人だし、秘書のMさんも気が利いて話しやすい人だ。もちろん彼らは遊びでロタに来たのではない。下院議員選挙は大統領選挙と同じ日で、もう間もなく。今は大事な時期なのだ。当選するのは北マリアナ諸島で、一人だけ。そこを目指して最後の戦いをしている最中なのだ。
シナパロ村で着いたのはごく普通の民家である。キッチンにはパーティー料理ずらりと並んでいた。
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一見し、料理の数は昼にいただいたのよりも少し多い程度かなと思ったが、ふたを開けると中身のレベルがやはり違う。たとえばレストランで食べればめちゃくちゃ高いヤシガニ料理が2種類あって、そこにヤシガニがゴロゴロ入っている。
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どの料理も美味しそうで、ついにやついてしまう。手前にいるのが下院議員のKさん。私の向かいにいるのが秘書のMさん。
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こんなにうまいものがあっていいのかと思ったほどうまかったのが、シカレバーのケラグエン(左)とシカ肉のケラグエン。生の食材をレモン汁などの酸に漬け込んだもので、これはもううまいというほかない。魚のケラグエンもあっておいしかったが、シカのうまさに味がかすんでしまう。シカは野生で9ヶ月間は禁猟で保護されているが、今はちょうど狩猟の季節なのだ。
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ワインやビールも頂いて本当に素晴らしいディナーであった。
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しめに食べたのがヤシガニのカニ味噌かけご飯。これも本当に美味しかった。
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本日のホストはK議員のロタオフィス責任者であるHさん。デザートにはサワーソップを切ってくれた。これも甘くてうまい。Hさんは日本語が上手で、食べ物の説明も詳しく聞けて助かった。
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2度と食べられないだろうと思われる素晴らし料理の数々に魅せられ、苦しくなるまで食べたが、その上に明日食べなさいと持ちきれないほどの食べ物を容器に詰めて持たせてくれ、本当に感謝感謝である。
*長くなるのでこの日は前後半に2分割
*本日の宿:バレンチノホテル
*本日後半の移動 サイパン→ロタ:UA6391,空港→ソンソン→シナパロ→ソンソン:レンタカーに同乗