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煮豆の科学

はじめに 煮豆などで、途中、ビックリ水(さし水)を入れます。ビックリ水によって、何がどう変わるのかをちゃんと知りたくて調べました。

豆の煮方 1・水に浸して水を吸った豆を、水と共に加熱する。

2・沸騰し始めたら、煮汁の1/4程度の水を加え、煮汁の温度を50℃以下に下げる。
  (これを俗に、ビックリ水という)

3・再び沸騰してきたら煮汁を捨て、水を注ぎかけて洗う。
  (これを俗に、渋切りまたはあく抜きという)

4・水を加えて本煮に入る。急激な沸騰を避け、じっくり煮上げる。
  (これを俗に、煮あげという)

ビックリ水 ・煮始めは、豆の表面に近い細胞の蛋白が熱凝固し、デンプンの一部も糊化する。
・そのままだと豆の中心部まで熱水が浸透しなくなる。
・冷水を加えることで煮汁を蛋白凝固温度およびデンプン糊化温度以下に下げる。
 (熱水の浸透が容易になる)
・すなわち、豆が均一に膨潤して、豆のしわも伸び、豆全体がふっくら煮あがる。

渋切り ・豆の皮に含まれるタンニン、サポニン、ゴム質、その他風味を害する成分を取り除く。
・この作業をしないと、異臭が残ったり、舌触りがざらついたりする。

煮あげ ・急激に温度を上げると、豆の皮がやぶける“皮切れ”が起こる。
・このとき圧力鍋(0.25kg/cm2以上)を用いると褐変が進み、デンプン粒子も崩壊するし、
 品質低下を招く。

感想 ・ビックリ水は、吹きこぼれを防ぐものとばかり思っていました。だから今までは、コップ
 1杯ほどのお水しか入れていなかったんです。しかも、ビックリ水を入れた後の水温にま
 で科学がひそんでいるなんて、感激しました。
・圧力調理ではあまり美味しくならないことも分かりました。
・ちなみに、50℃という水温を体験してみました。飲んでみるとなまぬるいけれど、指を
 入れると1〜2秒後に「あちちっ」と指を出したくなる温度でした(笑)。
・大豆やあずきはこの方法でOKでしたが、旨味のある漬け汁を渋切りの過程ですべて捨て
 るのももったいないので、渋切りの段階で1/3ほど煮汁を残す方法を実行しています。
・黒豆や金時豆は、渋切りをすると色が抜けてしまうので、渋切りしないで煮ています
 (これが昔からある煮方ですね)。

リファレンス 渡辺長男他:製菓事典、朝倉書店

感想欄以外は嘘のない、主観の入らない文章を心がけています。
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最終記載日:2003年6月7日

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