2016-7 イタリア、バチカン、マルタ

スリーマ→マルサシュロック→ゼイトゥン→バレッタ→スリーマ

マルタは地中海に浮かぶ西表島ほどのサイズしかない小さな小さな国。北アフリカのチュニジアと南欧のイタリアの間に位置しますが、もっと手短に言うとその位置は「イタリアの離島」と呼ぶにふさわしいほどイタリアに近接しています。古代国家カルタゴ(今のチュニジア)に支配され、のちにローマに支配され、やがてアラブに支配され、アラブに支配されながらもキリスト教の信仰の継続が許されるという異例の過程の中で、マルタは個性的な文化の形成を遂げました。

イタリアにいるとき、イタリア語はスペイン語やフランス語に似ていると思いました。「何かをしたい」ときに「Vorrei」と言うのはフランス語の「Voudrais」に似ている。でも「今何時」と尋ねるときの「A che ora」はスペイン語の「A que hora」とそっくり。ローマ帝国の公用語だったラテン語から派生した言語群ということなのでしょうけれど、イタリア語という言語の形成に大いに興味がもてます。

さて、では、マルタ語は?

マルタに来て驚くのは、人々の口から発せられるその発音にあります。もうね、聞けば聞くほど、アラビア語っぽさにあふれています。
マルタ語の文字は、ときどき「Ħ」とか「Ż」のような変形文字が登場しますが、多くが英語アルファベットと共通しているので、文字を見ることは容易です。確かに、マルタ語表記の看板や表示を見ると、RのあとにQがあったり、MのあとにBがあったりして、その綴りはアラビア語を思い出すのですね。

また、男性も女性も、ここはモロッコ?エジプト?と思うような濃い顔立ちをしている人が何割もいます。白人系のあっさりした顔立ちの人もいるので、きっと、アラブ系統と欧州系統の、系統の異なる遺伝子がマルタにあるのかもしれません。

ともあれ、マルタ、面白いです。

料理で言うと、地中海の島国ですから、もちろんフートゥ(魚)がよく食べられます。毎週日曜朝には、マルサシュロックMarsaxlokkで大きな市が開かれるそうですが、今回の旅の行程はあいにく日曜日にかからないのが残念ですが、普通に港町を観光する気分で、朝一番にマルサシュロックへと向かいました。

ただ、朝は暴風。小雨も降っているし、冬なので当然寒いです。マルサシュロックに着いても多くの船が停泊していて、聞けば今日は皆さん漁に出ていなのだそうです。

仕方ない。ハーバーの観光は軽く切り上げて、街を歩きましょう。

「パン屋」の看板発見。
くんくん。いい香り♪
倉庫のようなガレージなので、最初は何かの間違いかなと思ってしまいますが、入ってみると、そこは嬉しいことに伝統的な窯で伝統的なパンを焼き、焼き立てを買うことができるパン屋さんでした。

パンは、マルタ語では、ホブズと言います。

すごいですよね。
アラビア語そのものです。

面白いのはその綴り。
「Ħobż」と書きます。

このあと、ずっとずっとマルタで料理名調査をしながら、上述の「変形文字」を覚えていくことになるのですが、「z」と「ż」は音が違うのだそうです。「z」はツで「ż」はズの音になる。「H」と「Ħ」も大違い。「H」は無音で「Ħ」はフの音です。

これ、さっき書いた、「人の顔に2つの遺伝子がある」のと似ていますよね。

「z」や「H」はイタリア語(ラテン語)系統です。
イタリアでは、「Pizza」は「ピッツァ」ですから、「z」は「ツ」の音です。
でも(多分)アラビア語には「ツ」の音がなく、だから茶はトルコでチャイもアラブでは「シャイ」と呼ばれます。しかしアラビア語に「ز」(ズ)の音はあるので、イタリア方面の「z」(ツ)の音をマルタ語で「z」と書き、アラビア方面の「z」(ズ)の音を、マルタ語で「ż」と書く。だから、ホブズは、「Ħobz」ではなくて「Ħobż」なのだと理解できました。

同様に、イタリア方面の「H」は読まないH(イタリア語でHotelはオテルです)。アラビア語は「H」の発音は音として読み上げるから「Ħ」。だから、ホブズは、「Hobż」ではなくて「Ħobż」。

うーん o(^-^)o 面白い面白い。
ついでに、釜で焼いた本格的な焼き立てのマルタパンは、何もつけなくても美味しさが満点です。マルサシュロックの街並みを見ながら楽しい食べ歩きを堪能しました。

次は、ゼイトゥンŻejtunに行きましょうか。
今いるマルサシュロックに来るときにバスが立ち寄ったゼイトゥンという街が、観光地化されていない素朴さがあって、とても素敵に見えたのと、ちょうどここマルサシュロックのツーリストインフォメーションででゼイトゥンの歩き方マップが無料配布されていたのです。

名前が「ゼイトゥン」ですから、トルコ語、アラブ語、ヘブライ語の「オリーブ」を意味する「ゼイト」にとても似ているのも、とても惹かれます。

ローカルな街や村には、旅の魅力がいっぱい詰まっていて、素敵です。
観光客が来ないようなところだからこそ、素朴な人々の素顔が見えます。

ゼイトゥンで特に素敵だったのは、こじんまりでもきれいにならんでいる石造りの建造物。特に、車の入れない小径(こみち)に石造りの家屋が美しく並んで様々な花や緑があしらわれている風景はとても素敵でした。

その後は、公園や教会や、神聖なオリーブの木!(おそらくゼイトゥンの街の名の由来?) こういったものを見て歩き、ついでに、バス乗り場でバスを待っているときに、「濃い顔」(多分アラブ系)のギャルたちとお友達にもなれて、ゼイトゥンの散策は大満足で終了です。

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次は首都バレッタVallettaへ移動しました。
ここは世界遺産にも登録されている、16世紀に、マルタ騎士団(当時の聖ヨハネ騎士団)によってつくられた要塞都市です。
目抜き通りは銀座のようなブランド品街が軒を連ね、和人が「俺の知ってるバレッタと違う」と言うほど、近年随分と商業的に発展してしまったようです。今はクリスマスシーズンなので、特に皆が盛り上がっているように見えました。

ただ、目抜き通りから離れれば、観光客や買い物客の数も減り、ほっと一息つける庶民的な風景に戻ります。落ち着いて見れば見るほど、石造りの巨大な建造物が立ち並び、バレッタの風景は壮観そのものです。オスマントルコ侵攻の最終防衛拠点として聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)が造り上げた城塞都市バレッタ。これが、日本の江戸時代よりも前からずっとこうして残っていることに、尊敬の念すら抱くのでした。

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古代の遺跡や世界遺産を誇るマルタは、とても魅力的な国ですね。
今日は、港町と、素朴な庶民の町と、壮大な首都バレッタという、3つの観光をしました。

明日はもっと遠出して、古都や古代遺跡を見に行こうと思います♪