2人の世界旅 日々の記録

4年3ヶ月、1日も欠かさず綴った旅日記
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ナイジェリア>2008年02月16日(Sat)
★マイドゥグリ→カフィンハウサ→ミルドゥ→スクルの村→スクル王国→サボンガリ
:: 旅282日め : 世界旅54ヶ国め : 和人214ヶ国め : あづさ75ヶ国め ::

■マイドゥグリの町
昨夜、マイドゥグリMaiduguriに到着しました。朝起きたあとは、カメルーン北部国境と近いこの町を、散策しました。

町はムスリム(イスラム教徒)が多く、女性の布かぶり装束が素敵です。町も素朴で大変に良い感じでした。

■いよいよ、スクル王国へ
昨日、偶然出会ったスーヤおじさん(仮称)に、マイドゥグリから先の交通については教わっていたので、その通りに移動します。まずはサボンガリSabon Gari方面へ向かい、途中スクルSukurとの分岐点であるカフィンハウサKafin Hausaで下車。お腹もすいたので、カフェ&ランチをとりました。

ここで、バイクタクシーを拾っても良かったのですが、あまりに高い言い値に乗る気が薄れてしまいます。私たちは、地元の人にスクルへの行き方や位置関係をより詳細に聞きながら、しばらくの間分岐点で過ごしました。そうしているうちに、州政府カー(ローカルガバメントカー)が通りかかったので、甘えて乗せてもらって、6kmほど進みました。6kmといったって歩いたら1時間の距離だから、ほんと有難い。

下車したところは、更に分岐点でした。左に進めばレジストレーションオフィス、右に進めばスクル王国とのことで、村人に「右行っていい?」と聞いてから、歩き始めます。つまりここから、スクル王国トレッキング開始です!(*^-^*)

トレッキングとはいっても、旅の全ての荷物を背負っているので、気楽なものではありません。でも、少しでもスクルの丘を見ることができ、そこにいる人々に出会え、もし王国の廃墟を見ることができたら御の字と思っていました。だから、ガイドなどはつけずに歩こうと思いました。

スクルの村、伝統的な家屋も可愛くて、本当、ここに来て大正解! 人が集まる場所では、酒が酌み交わされていました。村人は私たちにも酒をふるまってくれたのですが、スクルの言葉で「ンパギー」、ハウサ語で「ギア」と呼ばれる、ミル(麦)から作ったローカル酒は、私たちの好みにも合う味です。

丘のふもとにつきました。ここを登ると、スクル王国があるのでしょうか。

全部の荷物を持って、更に登山というのは今までやったことがありません(以前トーゴで全荷物を持って歩いたときは平坦な道でした)。でもここまで来た!スクルはもうすぐだ!と、登る気はマンマンです。

少し登ったところで、ふもとの人(宿の主人)が私たちを追いかけてきました。レジストレーション(登録)が必要ということですが、本日に限りガイドが他の町にでかけていて不在であることなどから、今回はまずスクルへ行き、下山したときに宿で記帳していけば良い、ということになりました。

スクル王国への道は、石畳の階段を登っていく、ちょっとした山登りでした。頑張って歩きますが、汗はだらだら、傾斜が厳しいところもあり荷物の重さがこたえます。何度か眺めの良いところで休憩を入れながら、最初の山頂Hill top、そして王国の第一ゲートFirst gate、第二ゲートSecond gateと通っていきます。

祭壇のような遺跡の前で、再び疲れて休憩しているとき・・・

・・・「あづーさ! あづーさ!」と私たちの後方から声をかける男性がいました。びっくりしました。「今日おでかけしていたガイドさんが戻ってきたのかな?」と考えたりもしましたが、彼は、昨日ガソリンスタンドで出会った、スーヤおじさん(仮称)だったのです。おそらく、私たちがスクルに入山したことを聞き、会いに来てくれたのでしょう。スーヤおじさんのお供には、おじさんの息子(20代の青年)もいました。

しかしスーヤおじさんは、昨日とはうってかわって、本式のナイジェリア装束を着ていて、登山という格好ではありません。さて私たちは4人で山頂を目指し、そして山頂に到着しました。

そこは、大変に素晴らしいところでした。伝統的な家屋が点在し、王様の住まいもあります。この旅をしている時点のWikipediaの記述にある「首長の宮殿も廃墟と化した」という言葉はまるきり感じられませんでした。

大きなバオバブの木の下に、1つの伝統的な椅子が置かれました。
スクル王国の王様が、そこに座りました。
その脇に、側近が、3人。

スクル王国の王様

スーヤおじさんが、跪(ひざまず)いて、王様に挨拶をしました。
事前に「私の足を真似しなさい」といわれていたので、次に和人、そしてあづさも、おじさんの真似をするように、王様に挨拶をしました。

おじさんは王様に、おそらくはスクルの言葉で、何かを報告しているようでした。推測ですが、私たちの存在を説明し、村人とのトラブルなくこの王国を見せてもらえるよう、お願いをしているのだと思います。

そのおかげで、王様の住まう丘の上をはじめ、私たちは、近隣の民家、学校や教会、井戸がある広場などを見せてもらうことができました。

おじさんは「今日ここに泊まっていってもいいんだよ」と言います。うーん、確かに、スクル王国に泊まることができたら、世界旅の中でもものすごく素晴らしい体験! でも、でも、でも、ここまで縁が深くなったおじさんと、この山頂でお別れしてしまうのも、すごく寂しくて。

私たちはおじさんに、「おじさんの家に行ってもいいですか?」とつい尋ねてしまったのですが、おじさんは快くOKしてくれました。

誇り高いスクルの王様。その素晴らしい王様と記念撮影をし、私たちは、日が暮れはじめる17時すぎに、山頂を出ました。素晴らしきスクル王国の旅は、心の底から満足するほど、素晴らしいものでした。

■スーヤおじさんの家へ
私たちは、1時間ほど歩きっぱなしで下山し、バイクタクシーでサボンガリ村にあるおじさんの家へと行きました。

おじさんの家には、たくさんの人がいました。大家族なのね~と思っていたら実はそうではなく、今日は故人を偲ぶ、日本でいう法事のような日で、近しい親族が集まっているとのことです。

おじさんと私たちに出してもらえた料理は、美味しい骨付き肉料理、そしてナイジェリアの郷土料理。いっぱい歩いて疲れていたからか、塩分のある煮込み料理が本当に美味しくて、感激しながら食べていました。

この時点ではまだ、スーヤおじさんのことを、ただ出世頭の地元のおじさんと思っていました。

でも私たちは後になって出会う、スーヤおじさんの甥のティジャニ氏との対談から、スーヤおじさんが、今日訪問したスクル王国に関連する一王国の王様であることを教わります。・・・つまり、今日の集まりは、王家王族の集い・・・。普通に皆が優しくしてくれるのですが、そう思うと、なんだか後になって緊張しちゃいますね。

スーヤおじさんがスクル近隣の王様だからこそ、今日のスクルの王様との、敬意を完璧に払った礼儀ある接し方が理解できました。おじさんが登山には明らかに不向きなナイジェリア伝統装束 -つまりは正装- でスクル王国へ行ったことも理解できました。そして、何も知らずにスクル王国へ向かう私たちを、おそらくは守ろうと追いかけてきてくれたのですね。

スクルは、確かに観光客が訪れなさそうなところです。だから、外国人観光客に不慣れな分、不意に外国人が入ってくると、お金のこと訪問の仕組みのことなどで、トラブルが起こりうると感じられるところでもありました。私たちの場合は、スーヤおじさんが私たちの身元保証人のようになってくれ、また、スクル王国への御礼の支払いのときなどは金額調整もしてくれ、互いに気持ちよく別れられるよう、配慮をしてくれたのです。

スーヤおじさん、貴方は偉大で優しい王様です。
王家の皆も、知らなければただ優しい村人と受け止めてしまうかもしれないほど、みんなみんな本当に優しい。

おじさんは、自分からは王であることを言わなかった。でもだからこそ、いっぱい心を開いて、いろいろなお話しができたのではないかと思います。それも、おじさんの、優しさなのですよね。

ナイジェリアの旅は、西アフリカ16ヶ国中16ヶ国めの訪問です。最後の最後になってナイジェリアの旅があまりにすごすぎました。

今日は、私たちを幸せにしてくれた、2人の偉大な王様に、尊敬の念を込めて、感謝します。
本日の旅
行動 :マイドゥグリからスクル王国へ訪問、スクル王国からサボンガリ村へ移動、
朝食 :コーセー(豆の粉を使った小さな揚げパン風)、シャイ(予め少々の生姜風味をつけたケンケリバティーを沸かしておいて、それをお湯代わりにつかって淹れたミルクティー)/マイドゥグリの路上ごはん屋
昼食 :シンカファ(豆ごはん)にミアー(トマトソース)とヤジ(レッドペッパー)をかけたもの/カフィンハウサの路上ごはん屋
夕食 :スーヤ(骨付き牛肉をいったんゆでてから素揚げしたもので、ドライミートのような食感)、トゥオ(ギニコーンという麦を砕いたものを炊いてぎゅぎゅぎゅとまとめたもの)をデゲデゲ(フレッシュトマトをたくさん使い水分を飛ばして作った絶品の肉入りトマトソース)につけて食べる、ミルクティー/王様の家
宿泊 :王様の家

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旅情報
1ナイラ=0.9円

*スクル王国への行き方
1)マイドゥグリからサボンガリ行き乗り合いバスに乗る。
2)分岐点カフィンハウサで下車する。
3)そこからスクル方面へ行く。バイクタクシーでも行けるが私たちはヒッチ。6km進むとミルドゥマーケットで左右に分岐している。
4)分岐の左2km方向にレジストレーションオフィスがある(私たちは本日ガイドおでかけ不在につきレジストレーションを省略)。
5)分岐の右6km方向に、スクル王国がある。最後3kmは登山となる。

スクルの村には1軒宿がありました。新しくて料金お高め。スクル山頂でも泊まれるそうですが料金は定価ではないので、時による。

観光客が滅多に来ないようなところなので、観光客との対応の仕組みがうまく出来ていない。従って、トラブルが起こりやすいと思われるので、注意してください。