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2018 太平洋周遊
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マーシャル諸島、キリバス、ソロモン諸島、ナウル、ミクロネシア連邦の旅
30日目 チューク(ウェノ島→トノアス島→ウェノ島)
チューク5日目、今日はトノアス島に行く日だ。日本領時代にはチューク(当時のトラック支庁)の中心はウェノ島ではなくトノアス島だったので、今でも当時の遺物がたくさん残っている。日本名は夏島。
今日もメイメイは学校を休んで、一緒にトノアスへ向かう。朝10時、トノアス島にあるネリーさんの実家に到着した。マングローブ林の間にヤシの木などがあるこぎれいな場所だ。
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上陸してまず目を奪われたのが、地中の穴にヤシの葉を敷いて上に石を置いてある場所だ。てっきりアースオーブンで石焼をする準備だと思ったが、これはパンの実の貯蔵庫となっている。パンの実がなる季節に地中に埋めることで長期保存でき、年中パンの実を食べられるという訳だ。
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荷物を降ろし、挨拶に建物をのぞくと、ウェルカムドリンクのココナツを準備してくれている。
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ココナツを飲みながら、家の周りを歩いてみる。日本領時代の遺物がたくさん残っている。船を結びつける重石は頑丈な鉄の扉。地中には鉄筋がたくさん残っており、鉄道のレールも放置されていた。遺物がいずれも頑丈なもので、ここは民家ではなく軍の建物ではなかったかと思うが、分からないそう。
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いよいよパンの実を掘り出す。茶色い粘土のように見えるが、パンの実を地中に埋め数ヶ月でこのようになるのだという。必要な時に必要な分だけ掘り出して、残りはまた地中に埋め戻す。いつもはその時に葉を新しいものに交換するのだという。今回は我々のために状態の確認がてら前日に一度掘ってみて葉を替えていたので葉が新しかったのだ。なので今回は埋戻しも同じ葉を使った。
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すぐにでも食べてみたかったが、調理にすごく時間がかかる。まずはゴミや虫を取り除き、手で延々とこねる。
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ずっとこねていたので少し散歩に出る。裏庭はきれいに草刈りされており、ヤシやパンノキなど色々な有用な植物が植えられている。豚もかなりの数が飼われていた。
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電線は見えず、電気は来ていない様子だが、小さなソーラ発電機があり、夜の明かりや充電は大丈夫そう。雨水は貯めているが、それだけでは足りず、山の水も延々と引いている。炊事場は石で囲ってマングローブの薪を燃やす伝統的なものだ。
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女性陣が多いので色々な料理が並行してどんどん進んでいる。写真は、昨日釣った魚をバーベキューにする準備、そのまま焼くのではなく下味をつけてからアルミでくるんでいる。
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ネリーさんは実家でのびのびしている感じで、時にはウクレレを演奏し、歌を歌ってくれたりも。
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バベキューはミッキーさんとネリーさんの実家の兄ちゃんが火おこしからやってくれた。マングローブの枝を主に使っているが、ヤシのかわも燃料にしている。かまどにする台もヤシの実だ。
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再び一人で散歩に出る。この家は両側が川に囲まれた三角州になっている。橋はなく、石を渡れるように積み上げて道にしていた。奥にはトノアスの中心に続く道も見えたが、余りいなくなると心配すると思って、早めに戻る。
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戻ってくると魚は焼きあがり、食事の準備もほぼ終了し、食卓の用意が始まっていた。雨水をためるタンクは古いコンクリート製だが、十分に現役だ。
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ランチはバーベキューフィッシュだけでなく、美味しい刺身もついていた。
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最初に掘り出して準備を進めていたパンの実の料理はランチには出なかった。早く食べたくて楽しみにしてたのだが、冷ましてから食べるものだそうで、持って帰って夜食べるのだという。
午後はヤシの葉で編むバスケット作りの講習会。
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メイメイが一緒に泳ぎに行こうというので私はバスケットづくりには参加せず、泳ぎに行くことにした。そのまま水に入るかと思いきや、船を出すことになる。しかし、普段使っていない船で、中には水が溜まっており、大丈夫かこの船という感じ。
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メイメイだけでなく、まだ言葉もしゃべれない小さな女の子も一緒に泳ぎについてきた。この小さな女の子は、まだ泳げないのに海に入りたがり、仕方ないのでずっと海で抱っこしながら泳ぎの真似事をさせてあげた。なんだか父親になった気分だ。
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海から戻るともう帰る準備が進んでおり、シャワーを浴びる時間もなく帰ることに。編み上げたバスケットは地中から掘り出したパンの実で作ったエポットの入れ物となっていた。
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トノアス島訪問は色々楽しい体験ばかりであっという間に時間が経過していた。もしチュークにまた来ることが出来たら今度はトノアスにも宿泊してみたい。島の見どころも見たいので2泊かな。
夕食はエポットを楽しみにしていたのだが、我々の最後のディナーなのでトラックストップホテルに家族で食べに行こうということになった。エポットは明日のランチとなる。ミクロネシアでは家での食事は家族がバラバラに食べる習慣があり、ネリーさんの家には全員がそろって食事をする場所がない。そろって食べる時は外食ということになるのだろう。そういえば2人の男の子と一緒に食事をするのはこの時が初めて。長男のデイポ君の隣になり、彼と初めてゆっくりと話が出来た。明日はもう出発だと思うと少し寂しくなる。