2人の世界旅 日々の記録

4年3ヶ月、1日も欠かさず綴った旅日記
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南スーダン>2008年12月10日(Wed)
★トリット→カポエタ
:: 旅580日め : 世界旅85ヶ国め : 和人217ヶ国め : あづさ106ヶ国め ::

■脱出の道と、伝統民族の村
スーダン南部を東に移動しています。南東部トリットToritの町は、商店や食堂で賑わう繁華街があり、アラビア圏らしく、シーシャ(水タバコ)をたしなむ人々の姿が見られます。シーシャは、管の上部にタバコの葉を置き、炭で葉を焦がして出る煙を水中に通し、水上に出てくる気体部分をパイプを使って吸い込むものです(理科実験の水上置換のような感じです)。

朝、甘酸っぱくて元気の源になる美味しいカルカデのシャイ(ハイビスカスティー)を飲んだら、いよいよカポエタKapoetaへと向かうことにしました。この町でもいろいろ聞いたのですが、スーダン南部-エチオピア南部国境のブマBumeへ行く車はトリットにはなく、カポエタに行けば車が出ているというのだから、今日は早速にカポエタへ向かいたいと思います。

車に乗ること4時間、スーダンのより南東部に位置する -つまりよりケニアやエチオピアに近づいた- カポエタの町に到着・・・するや否や、あまりの光景に衝撃を受けました。

「すごい・・・!!」

そこは、広い大地にポツンポツンと建物が見えるところ。そこにものすごい数の独特の姿をした民族がいるのです。そして彼女たちは見ればみるほど美しい・・・。唇の下にも金属の輪っかを入れた女性も多い、これはすごいところに来てしまった!!

トポサ族

トリットの町には、こうした民族色がまったくなかっただけに、わずかな一衣帯水を隔てるだけで、こんなに違うのかと、驚愕の思いがしました。そして、夢見たエチオピア南西部に匹敵する美しい民族の姿に、興奮すら覚えます。

まず、下車したところで、ブマ行きの車を探しました。でも誰に聞いてもここから出るブマ行きはないといいます。1人、食堂のおばちゃんが、「そこに行くのはソルジャー(軍人)だけよ」とも・・・、こんなところが本当に民間人の出入国地点なのでしょうか?

トイレに行きたくなったあづさは、商店にトイレを借りに行きました。そしておトイレ後の手を洗うために、食堂に行きました、そこにはポリス?っぽい身なりの男性たちが食後の手を洗っていました。

旅先では、自分から話しかけることもしょっちゅうのあづさですから、そのおじさんたちに「おじさん、ブマ行きの車知ってる?」って尋ねます。そうしたらおじさん、「私たちがブマに行くんだよ」って言うではありませんか! 指差す車は、トラック荷台に大きな機関銃を装着した軍隊の車でした。「私たちはもうすぐ行くけど」と言うので、慌てて和人を呼びに行きました。「ブマ行きの車出るよー!!」って叫んで。

和人と2人で話を聞くと、おじさんたちは実はブマから戻ってきたばかりで、今日の行き先はジュバJubaなんですって・・・なぁんだ、逆方向だったら良かったのにな。乗せてと絶対お願いしていたのになぁ。おじさんたちはブマ国境まで仮に行けたとしてもそこからエチオピアに入国するまでに丸一日の徒歩、そこから先も町までかなり歩くと教えてくれました。

・・・そしてこの会話の中で、私たちが事前に集めた情報に大きな間違いを発見しました。ジュバで、ブマ行きの車があることを最初に教えてもらったとき、ブマはエチオピア国内のオモ河に近いところの町であることを確認したのに、実際に車が走るのはもっと手前の国境のブマだったのです。水と食べ物が手に入り、地元の人も往来する道なら、1日でも2日でも歩けるけれど、現時点では国境までの車が見つからず、国境から先の様子も何も情報がつかめないのですから、ちょっとGOな気分にはなれません。

町の人にもうちょっと聞いて回りました。ここでつかんだ情報は、「ナルースNarusに行けばブマ行きがあるよ」「ナダパルNadapalに行けばブマ行きがあるよ」・・・最近こんなことの繰り返しですね。ジュバではトリットに行けと教えられ、トリットではカポエタに行けと教えられ、ここカポエタでも同じような会話の繰り返し。こうしてちょっとずつ「東へ行け」と言われ続けると、そのまま東のケニアに出ちゃうではないか(苦笑)。ナルースもナダパルも、PC内地図(エンカルタ)にもミシュラン地図にも載っていないので、どこにあるのか分からないし(苦笑)。

ま、明日、また車を探しましょう。

■カポエタのトポサ族
南スーダンからの脱出の道探し、ブマへの移動手段探しという大きなミッションにトライし、疲れました。ふと見ると、大きなトラックがやってきて、美しい民族の女性たちが、荷物を乗せて自らも乗り込もうとしています。ドライバーに行き先を聞くと、ロキチョキオLokichoggio行きなのだそうです。ロキチョキオ・・・実にこれが、事前に第一候補としていた南スーダンからの脱出の道でした。これを逃すまいと料金の確認もしますが・・・

「ねえ、私、ここに泊まりたい」

あづさは和人に言いました。折角、見事に美しい民族たちがいる町なのに、すぐ出てしまうのはもったいないと思ったのです。和人も「そうだね」って言ってくれました。

そうしているうちに、・・・あちゃー、“ヒミツ警察”につかまってしまいました(T_T) いるんです、スーダンには、こういう人たちが。日本の私服警官みたいな人たちが。

やばいなぁ、お金取られるかなぁ・・・、心配をいっぱいにガバメントオフィスやらに連れていかれました。実際のところは、お金も取られず、台帳に私たちの情報を記載するだけで済みました。ちなみにビザを取らずに入国している点も、外国人登録(レジスト)をしていない点も、まったく関係ないみたいですよ。彼らがチェックしたのは、パスポートと旅行許可証(パーミット)だもの。なお、写真の撮り方について尋ねましたが、政府関係の建物や、マーケットなど人の集まるところはタブーという回答をもらいました。良かった・・・美しい人々の姿は、気をつければ写真に残せそうです。

ガバメントオフィスで宿を教えてもらい、荷物を置いたら、2人でお散歩に出ました。

美しい民族は、トポサToposa族と言います。ビーズの装飾や肌に傷をつけて作る紋様が美しいです。枯れ川まで行くと、穴を掘って穴底に溜まる茶色い水で水浴びをする女性や、その水を飲んで喉の渇きを癒す男性などもいました。大変に、昔から続くだろう光景に見えました。とってもとってもワクワクしています。

人々は基本的に写真を嫌がりません。ツーリストが来ないので、写真を撮られて「マネーマネー」と言う習慣がないのでしょう。

枯れ川の穴のほとりで、面白かったことありました。
トポサ族の女性たちは、あづさの服をめくってお腹を見たがります。
お腹をチラリと見ては「キャッキャッキャッ」(←はしゃぐ)、
そして「 ζ Θ л ф Ч ・・・」(←謎の会話)。
あづさの腕が汚れていたのか、穴の水でバシャバシャ洗ってくれる。
「あら清潔好きなのね」と思っていたら・・・謎のばあさん登場。

全員整列、歌を歌い始める「√ウ~ラララ~」

   ハッ( ̄□ ̄|||(←顔にタテ線) これは儀式の始まりだっ!

   ガーン( ̄□ ̄;;;;;(←滝汗) ばあさん短剣持ってるじゃねーか!!!

「ヤバイッ!」・・・トポサ族は、皮膚を切りつけて、皮膚が再生するときにできる傷の盛り上がりを伝統的な美としています。いわゆるケロイドなんですけど、肩やお腹には、ケロイドの紋様が美しく入っています。

・・・ばーさんが私を切りつ~け~る~ぅ~、逃げろー スタタタター ≡┌(>_<)┘

トポサ族の女の子たちが「どこ行くのっ?」って言った気がしたので、木陰で少年たちに遊ばれている(笑)和人を指差して「あっち!」って示しました。そしたら女の子たち、猛ダッシュで「キャーー♪♪」って和人に駆け寄ります(笑)。成田空港到着ゲートから出てきたヨン様にたかる女性か?ってなくらいに歓喜の声を上げて(笑)。ヨン様なアイドル和人は当然トポサ族女性から離れるのが大変そうでしたけど、終わってみればそれも楽しかった1日だったかな?(爆)

・・・彼女たちは、私たちを歓迎してくれたのでしょうか? 仲間にしたくて、トポサ族の皮膚紋様をつけようとしたのでしょうか? その答えは未だに分かりません。

でも、古代より伝わる伝統を残した人々は、美しいですね。

ツーリスティックなエチオピアでだってこういった人々の姿を見るのはすごい感動なのに、秘境スーダン南東部でこんな体験ができ、色々な写真を納めることができたのですから、今日は、素晴らしい1日であることは間違いありません。

なお、カポエタの町には美味しい水が出る水道があります。ジュバJubaから質の悪い水ばかりを飲んできて疲弊した体が、癒されます。
本日の旅
行動 :トリットからカポエタへ移動、カポエタ観光
朝食 :チャパティ(アラブ薄パン)、カルカデ(ハイビスカスの花の甘酸っぱいお茶)/トリットの食堂
昼食 :ウガリ(とうもろこし粉を炊いたもの)、ニャマ(肉とじゃがいものトマト煮)、フォレホ(青菜オクラみじん切りでねばねばしたミルク入りピーナッツスープ)/カポエタの食堂
夕食 :ウガリ(とうもろこし粉を炊いたもの)、ニャマ(肉のトマト煮込み)/カポエタの食堂
宿泊 :クレウソーシャルセンターKuleu social centre

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旅情報
1ポンド=44.8円

*カポエタのガバメントオフィス
カポエタに来る外国人は、最初にガバメントオフィスを訪れてビジター登録を受けなければならないらしい。私たちは到着時それを知らなかったので、ヒミツ警察につかまって連行されて始めて訪れるなんてことになってしまった。また、ここでの対応は極めて親切である。町で写真を撮っていると「ダメダーメ」なんてNOしか言わない人間にも出会うが(ガバメントオフィスの下っ端職員も含め)、私たちはこのガバメントオフィスで、署長に、写真を撮って良いもの悪いものを聞くことができた。お偉いさんに説明を受けていれば、トラブルもぐっと減るだろう。