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2016-7 イタリア、バチカン、マルタ

イタリア、バチカン、マルタの3ヶ国周遊 by Azusa
日記:2017年01月02日(Mon)

バーリ→アルベロベッロ→マルティーナ・フランカ→ターラント


イタリアという国は、その形から、よく「長靴」とか「ブーツ」に例えられます。そのように見立てたとき、今いるバーリBariは「アキレス腱」の位置にあたり、今日の宿泊地であるターラントTarantoは「土踏まず」の位置にあたります。そんなイタリアのお洒落な足元の、アキレス腱と土踏まずの中間には世界遺産に登録されたアルベロベッロAlberobelloの@アルベロベッロのトゥルッリという伝統家屋群があるので、今日はターラントへ向けて移動をしながら、アルベロベッロで途中下車して、世界遺産を観光をする予定です。

バーリ空港の床は、暖房のおかげで冷たくなく、案外快眠できました。早速朝5時台から行動開始! 冬ですからまだ外は真っ暗です。バーリ空港からバーリ中央駅へは電車で移動することを考えていましたが、たった数kmの距離に1人5ユーロというびっくり価格だったので、1ユーロ台で行けるバス移動に急遽予定を切り替えました。

アルベロベッロへ行く列車はスッドエスト線(SUD-EST、南-東の意味)のバーリ駅から出発します。空港とつながるバーリ中央駅とはやや離れているので注意が必要です。地下道をくぐってスッドエスト線の駅に着き、列車にタイミングよく乗り込むことができました。そして朝8時ごろ、朝焼けがまだ美しく残る早い時間にアルベロベッロに到着しました。この時間帯の良いところは、他の観光客がいなくて、観光客が入らずにきれいな写真を撮れることでした。

アルベロベッロは、「とんがり帽子」の伝統家屋が見どころの町です。この家屋はトゥルッロやトゥルッリと呼ばれ、石灰岩に漆喰を塗った白い壁にグレーの石灰岩を乗せて作られています。小さな家ですがトゥルッリをうまくつないで居住空間を作っています。もし曇点の場合、灰色の空に灰色の屋根では写真映りが良くないのですが、今日は見事な晴天で、空の色がとてもきれいで嬉しかったな。

世界遺産には2つの地区が登録されています。アイアピッコラAia Piccola地区は小規模で、モンティMonti地区は規模が大きい。今日歩いてみて思ったのは、アイアピッコラ地区のほうが観光地化の度合いが少なくて、人々の自然な暮らしの様子を見れて嬉しかったことです。一方でモンティ地区は2階建ての見事なトゥルッリもあり、屋根には人々の目を引く模様が描かれ、見ごたえがあり、写真映えがします。しかしモンティ地区は観光地化が進んでしまっていて、「ミルダケタダ!」「チョットオハイリナサイ!」といった客引きの日本語フレーズが飛び交っていて、しょっちゅう声をかけられました。つい「ここはエジプトだ、ハンハリーリだ(苦笑)」と、その妙な日本語の勧誘の乱発から思ってしまったほどです(笑)。

荷物を全部背負ったまま歩き、しかも坂道を上り下りし続けるので、肩は凝るし背中や足は痛いし、大変な観光でしたが、それでも休まずに歩き続けられたのは、ここは世界に他に類を見ないほどに独特で素晴らしくて素敵な景観をもつからです。

トゥルッリ

アルベロベッロのトゥルッリ三昧!大満足です!

 * * *

アルベロベッロ駅に戻りました。列車に乗ってしばらくすると郊外に出て、広い農地に広い空が視野に飛び込んできます。ところどころに、観光化されていないトゥルッリが見えます。畑の中にあるトゥルッリは今も農具置場などで使われているようです。のどかで、だけど世界でここでしか見られない不思議な建物が次々に目に飛び込む車窓風景。とても楽しい列車旅のひとときです。

30分経たないうちにマルティーナ・フランカMartina Francaに到着しました。乗り換えの駅なのですが、時間があるので旧市街を散策しました。アラブのメディナのような、石造りに白い街並みが圧巻で、建築様式も荘厳で、これは必見の街だと思いました。マルティーナ・フランカにはおよそ2時間滞在しました。

 * * *

次は今日の最終目的地であるターラントに行きます。海洋都市ターラントにはお昼頃に到着するので、美味しい海鮮イタリアンを食べる予定でいます♪

・・・が。

「Questo treno si fermerà」

乗車切符を見に来た車掌に、こう言われた気がしました。

「この列車は停止します」

・・・ポカ─( ゚д゚ )─ン・・・ハイ?

途中のナントカっていう駅で(よく聞き取れなかった)、列車が止まってしまうんだとか。

かといってここで立ち止まる訳にもいかないし、停車したところから先はバスがあるからと言われたし、ともあれ、列車でアルベロベッロを発つことにしました。

列車が停車した理由は今も分かりません。しかし停車した駅は目的地のターラント駅の1つ手前と、ターラントに随分近いところまでは行けたので、そこからは、同様にターラントを目指すイタリア人たちと同じ市バスに乗り、不安なく無事に目的地に到着することができました。

今日の1つめのトラブルは、以上です。

 * * *

昼食は美味しかった。
ターラントの、古代ギリシャを感じる迷宮のような旧市街は素晴らしかった。ここはスパルタ、すなわち古代ギリシャの大都市国家の植民地だったと後から地元の人に教わり、古代ギリシャ時代から発展した街であることと、その旧市街の素晴らしさに、大変良い観光ができました。

今日、2つめのトラブル発生。
それは今まで経験したことがないほどひどいものでした。

予約をした宿に到着。
ネット予約の事前決済をすませ、既に宿泊代は支払い終えています。

雑居ビルに到着。
でもビル入り口に並ぶ各家屋の表札を全部見てもに、なぜだろう、宿の名前が見つからない。
よって呼び鈴を鳴らせない。

電話をかけてみる。私たちはイタリア語ができないので、通りすがりのお兄さんに助けてもらった。
結果、
「君たちが泊まることはできない。宿の人もこの街にはいない。」

なにー?
それって、泥棒じゃないですか。

何よりも、もう夜ですよ、冬の夜ですから、暗いし寒いですよ。

なのにどーしろっていうの!?

お兄さんは、「僕の祖父も宿を経営しているんだ」と言って、どうやらおじいさんに電話をかけています。
そうしたら、
「その宿は、評判が悪いと祖父に即答された」とのこと。

お兄さんは隣のフィットネスクラブに入り、受付の人に確認をしてくれた。
「ラドロ」(泥棒)って言っていた。
なんと近所にも悪評のあるところだったのか。
まあね。ビルに表札がない時点で、ヤバイ状況に片足突っ込んでいるとは感じたのだけどね。

しかしそんな泥棒宿がネット予約の効率の良い仕組みに乗っかって、事前決済でお金を騙し取れるわけ。
時代が時代という気もするが、そんなことをしても人生楽しくないだろうに。

助けてくれたお兄さんのおじいさんが登場。車で来てくれました。
そして、結局はおじいさんの宿ではなく、おじいさんが更に連絡をしてくれた人の宿に泊まることになりました。

急遽泊まることになった宿の人が、Booking.comのイタリア国内オフィスに連絡を入れてくれました。そうして泥棒宿の全額返金と今回の宿泊代の差額調整について話をしてもらったことで、随分と落ち込んだ気持ちも救われたのでした。

そしてもうひとつ救われたこと。
これまで、イタリアの住居事情というか安宿事情というか、ともあれ宿滞在の不便さを感じていました。

例えば、
1)女性の用足しって、男性の用足しの状態にさらに便座を倒して、倒した便座の上にお尻を乗せて座りますよね。でもね、イタリアではかなり頻繁に・・・多分半々の確率で遭遇するんじゃないかな、「お尻を乗せる便座」がないトイレに。当然フタもありません。イタリア人は他人のお尻が接したところにお尻を乗せたくないらしい。しかも「便座」がないトイレの、明らかに飛び散りすぎの使用状況からみても、皆さん中腰、空気椅子(空気便座かw)の状態で用を足していることが見てとれます。困ったなー。おかげで私も今回のイタリアの旅で、随分と空気椅子の筋肉を鍛えることになってしまいました。
2)天井が異様に高い。冬のイタリアは寒いんだぞ。これじゃあ寒いばかりじゃないか。
3)シャワーの温水が少ない。シャワーを浴びていると、いつもひと浴び終える前に冷水化していきます。タンク小さすぎだよw イタリア人はシャワーがソッコーらしく、これは逆に日本人が湯を使いすぎるからなのだけど、それでもこんなんでよく何十人も同時に宿泊させるもんだと悲しくなります。
4)シャワー室にトイレがある。イタリアに限った話ではないのだけれど、これ、誰かがシャワーを浴びているとトイレに行けないんですね。困ったな。朝はトイレに必ず行きたいし、朝は欧米人のシャワータイムだし。困ったな。

でも、今日、急遽宿泊することになった宿は、他に客がいなかったこともあるのだけれど、新規オープンしたてなのか、何もかもが新しくて、大変に綺麗で、お部屋もキッチンも綺麗そのもの。トイレもシャワーも個室にそれぞれ設置されていて、便座もあるし、使いやすい。疲れた気持ちと体を癒してくれました。

何よりも、困っていた私たちを助けてくれたご夫婦がとても優しい方だったことが、一番の癒しそのものでした。
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