2016-7 イタリア、バチカン、マルタ

サレルノ→アマルフィ→サレルノ

今いるサレルノSalernoお宿のおばあちゃんは、きれい好きで、おもてなし好きで、お世話好き。
ただイタリア語以外の言葉は話せないので、つまりイタリア語をあまり話せない私たちとは会話ができないかと思いきや、おばあちゃんはハイカラさは言葉の障壁を超えた(笑) スマートフォンのグーグルアプリ? 音声入力すると機械が翻訳して翻訳文章が音声で出てくるというものを使いこなしていて、スマホを通訳にして、世界中からやってくるお客さんと会話を楽しんでいる様子です。

朝一番に、その機械翻訳が話しかけてきた言葉は、日本語で、「きょうは、はれました」(笑) そうなんです。昨日の雨天と一転して、今日は晴れています♪ そしておばあちゃんは、食べきれないほどの朝食をダイニングに持ってきてくれました。

イタリアの朝食は、基本的にコールドミートです。スクランブルエッグも作らず、本当に軽いものしか食べません。コルネット(イタリアではクロワッサンをコルネットと言います)やビスコッティ(クッキーのようなもの)など、何日も常備しておけるパン類と、コーヒー、ミルク、ジュース程度のラインナップ。今日は私たちには、コルネットやフェッテビスコッターテ(ラスクのようなガリガリパン)やジャムやヌテラ(チョコレートペースト)をたくさん持ってきてくれたので、朝からお腹いっぱいに食べ、観光に備えることができました。

 * * *

今日は、アマルフィAmalfiへ行きます。一昨日の日記にも書きましたが、イタリアという国は、その形から、よく「長靴」とか「ブーツ」に例えられます。そのように見立てたとき、今いるサレルノや今日行くアマルフィは「弁慶の泣き所」の位置にあります。

アマルフィ海岸は、アマルフィを中心都市とし、それ以外にも幾つもの街が並ぶ、東西に伸びる海岸です。世界遺産として登録された地域で、日本では、2009年の織田雄二主演の映画「アマルフィ」で有名になったところでもあります。事前情報によると、海岸の急斜面に立ち並ぶ家並みの風景の美しさゆえに人気の観光地のようで、どの旅行記を見ても、青い海と急斜面の白い家並みをコントラストにした写真を掲載しています。

だから私、てっきり、アマルフィは、そういう美しさを見に行くところなのだと思っていました。

行ってみたら、そこには、もっともっと見るべきものがありました。

一番心を奪われたのは、モロッコのメディナのような、和人はリビアのようだと言うような、石造りの、細く狭い道が幾重にも交錯し、網の目のように入り組む街路でした。それが急峻な丘にへばりつく家並みをつなぐ生活の道なのです。同じ高さのところを歩くときはただくねくねとした道を進むだけで良いのですが、高さの違う場所へ動こうとすると、そこに続く道は心臓破りの坂や階段です。

amalfi

最初のうちは、こんな迷路のような道を、それこそモロッコやリビアを思い出しながら、懐かしく、「アラブのようだね」なんて言いながら歩いていました。

でも、歩いているうちに、「アラブのようだ」という表現は、合ってるけれども、違うと思いました。
「アラブ」とはアラビア語を母語とする人や地域を指す言葉なので、広いんです。ガルフ(クウェートやカタールなど)もアラブだし、レバント(シリアやヨルダンなど)もアラブだし、マグレブ(アルジェリアやモロッコ)もアラブ。しかし、ガルフ、レバント、マグレブって並べ、思い起こすと、文化や生活様式は随分と違うのです。

今歩いている迷宮は、マグレブないし北アフリカの記憶を呼び起こす。

そうか!

気が付いた!

アマルフィがアラブっぽいんじゃなくて、
アマルフィがモロッコやリビアっぽいんじゃなくて、

北アフリカやこのイタリア海商都市地域を含めて・・・、

今見ている世界が、地中海の文化なんだ!

 * * *

アマルフィ大聖堂へ行きました。入る前から、その堂々とした見映えには圧倒されます。白黒のしましまの造りが独特で、それはアラブの建築様式なのだそうです。入口のてっぺんに見えるモザイク画も素晴らしい。そして中に入ると、内部の装飾も素晴らしく立派なものでした。

大聖堂を出たら、次は大聖堂の前から南北に続く目抜き通りであるカルティエーレ通りを歩きました。目抜き通りだけあって観光客であふれています。そして、その目抜き通りから1本入れば、その地中海の文化を彷彿とする、細い狭い迷宮のような道が広がります。

目抜き通り沿いにもレストランは幾つもありましたが、私たちは迷宮の中に隠れるようにたたずむお店を見つけたので、今日のお昼ごはんはそこでいただくことにしました。

ああ、レストランの建物内部が、これまた素敵です。漆喰の白い壁。天井の造りは、いつか写真で見たスペインのアルハンブラ宮殿の写真を思い出します。・・・そうなんですよね。アルハンブラ宮殿があるのもスペインのグラナダという地中海文化の場所。モロッコも、リビアも、イタリアも、スペインも、昔はこうして地中海の海の交易でつながっていたんだろうなと、こうして屋根1つ、天井1つ見るたびに感じられるのです。

今日は、「海鮮イタリア料理を食べる」と決めて来たので、メニューにお目当てのボンゴレスパゲティー(あさりのスパゲティー)があって大喜び。イタリアに来てから覚えた「コッツェ」(ムール貝)のスパゲティーも注文して、前菜も海鮮料理にして、飲み物は海鮮に合わせてもちろん白ワイン♪

今日はアマルフィの良さを堪能して、大満足です。

もしきれいな海岸風景目的でアマルフィに行くなら半日あれば十分で、ほかの海岸の町の観光も必要かと思って事前に行き方などを調べておいたのですが、まるきりそれは不要でした。地中海様式のメディナのような街路をあちこち歩いて観光すると、半日では足りませんでした。

 * * *

なお、「風景がきれい」というだけでは、世界遺産になることはありません。アマルフィの世界遺産としての良さは、風景だけなどではない。行ってみてそれは十分に分かりました。

下の記述は、世界遺産登録基準のうちアマルフィが満たしたものです。
・建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
・人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
・伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。

もしきれいな海岸風景目的でアマルフィに行くなら、夕暮れ時の西日に当たる海岸の美しさを見て写真を撮るものだと思っていたのですが、実際は、午後2時半くらいだったかな? 夕暮れどきを待つまでもなく、市バスに乗って、再びサレルノへ戻りました。

アマルフィ。海商都市として栄え、地中海文化の街づくりとその発展。こういったことを、観光によってしっかりと理解することができたからこそ、感動したからこそ、そしてこれまで旅したことのある、地中海の海を越えた反対側とここがつながっていることがとても納得できた満足感もあった。そうしたら、夕陽、見なくてよくなっちゃったんです。

さあ、宿に帰りました。

いよいよ、最後の荷支度をしましょう。

明日はローマへ戻って、夜にはもう帰国の飛行機に乗っているのですから。