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2019 東チベット
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カムとアムド
4日目 丹巴(ダンバ、ロンダク)→梭坡(スオポ)郷→丹巴
中国内は時差がないので、北京よりもずいぶん西のこの辺りは朝が遅いと思っていた。ところが、6時に明るくなり、目が覚める。さすが5月だ。しかし、連日の短い睡眠時間のためか、妻が中々起きない。結局、出かけたのは8時半である。
まずは朝食。包子(パオズ)を4つ注文したところ、一つだけネギが乗っていてそれだけ違う種類かと思ったら、全部で3種類あった。何も言われずに出されると中身が分からず、あれって感じだ。
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バスターミナルに明日のバスチケットを買いに行くが、昨夕に続いて切符売り場に人がいない。中国人はネットや自動販売機で切符が買えるので、窓口をほとんど占めていても問題のないだろう。しかし、外国人はどうすれば切符を買えるのだ? 電光掲示板上ではまだ明日の便はガラガラなので、明日朝買っても大丈夫と思われるが心配だ。
バスターミナルは、ほぼ町外れにある。その先をしばらく歩くと新しい吊り橋がある。これを渡って本日は街から3キロだという梭坡郷を訪れる。
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中間あたりで岩に描かれた仏陀があり、ひと休み。
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梭坡郷は、美しい石塔で有名なチベット人の伝統集落だ。昨日の到着前にバスから見た中路郷、中国一美しい村に選ばれて中国人に大人気の甲居村と共に、この梭坡郷はツアーに組み込まれることの多い見どころだ。石塔の写真に魅せられて丹巴を訪れたので、まずはこの村を目指して歩く。
その梭坡郷が見える前に石塔がある対岸の村の見えてきた。遠目にも美しい村だ。有名でない村の方が素朴で楽しそうなので、午後時間があったら訪れたい。最近まで落ちて再建中だったという橋も完成しているので、梭坡から遠くはなさそうだ。
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梭坡郷が見えてきた。石塔も良いが、周りの斜面の村々がすごい。
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村に到着し、最初に会った村人は牛を追って歩く親子。
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石垣に囲まれた仏塔が石塔の近くにある。
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石塔を目指して歩いていたら民家の敷地に入ってしまった。良くあることのようで、家の人が道を教えてくれる。
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この石塔は、八角碉と呼ばれ、八つの角が出ている石塔で非常に珍しいものである。
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この辺りの道は石畳で入り組んでおり、村の作りの複雑さがうかがわれる。
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石塔の基部の石組みは非常にきれいだが、800~1000年前に作られた石塔ということで、かなり傾いて危なっかしいものが多い。
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隣の石塔に接している建物は、民家だが、博物館のようになっており観光客に入場料を課して中を見せてくれるらしい。上から来たので、中に入らずとも色々見えたし、人がいなかったので中には入らなかった。写真は丸太を削って作る階段。
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次は、牛を飼うスペースと牛頭蓋骨の装飾。
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各家庭で牛を飼っており、多くの家庭では1階スペースが牛小屋で、2階から上に人々は暮している。
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少し離れてみると塔が傾いているのが良く分かる。
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こちらの家は牛小屋スペースが別棟でたくさんの牛を飼っている。
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平らな土屋根の上は歩けるようになっており、通路をまたがって部分もある。本当に複雑な作りの集落で、迷ってしまいそう。
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今度は五角碉と呼ばれる石塔。五角形かと思ったら、3辺は4角の石塔と同じで、北側だけW型になっている。先ほどの八角碉と同様にでっぱりが五ヶ所なのだ。
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標高2000メートルを割っている村なので、チベットにしては菜園が多く、日本でも見る野菜が数多く植わっていた。
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石塔だけでなく伝統家屋を見て歩くのも楽しい村で、角に突き出た彫刻などもおもしろい。
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屋根材の中に空き瓶を使っていたり、石壁の上に土を積み、植物を植えていたりと、くふうが随所に見受けられ、楽しい村だ。
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1軒だけ食事処を見つけたが、あまり良いのがなかったので、川の向かいにある村は諦めて、再び歩いて丹巴に戻る。バスターミナルに立ち寄ると窓口が開いており、無事に切符は買えた。
昼食は、昨日見に行った高級ホテルのチベット食レストラン。注文したのは昨日作り方を見たバター茶とツァンパ餅。バター茶は昔の記憶にある味とは違って、すごく上品な味だ。ツァンパ餅は、こねたツァンパを餅の形にしただけで、見た目は上品だが、味は昔の記憶にある味だ。
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メインディッシュは、羊肉のバター炒め。肉が驚くほどトロトロで非常においしかった。
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贅沢な昼食に2時間もかかってしまい、午後に他の村に行く案はなくなった。まっすぐ宿に戻って休むことにする。
昨夕ダンスを踊っていた高級ホテル前の広場でおばあさんが、ヤクの毛を紡いでいた。昔ながらの糸紡ぎ機。
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夕方になったらまた広場に行こうと思っていたが、夕方から結構激しく雨が降り出した。今日のダンスは中止だろう。仕方ないので雨の中、夕食に出る。あまり選択の余地がなく、昨夕と同じような夕食をとる。夜はやっと時間が取れ、旅の日記を書き始めた。