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2019 東チベット
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カムとアムド
8日目 玉樹(ユウシュ)→
中国の上級クラスのホテルでは、無料の朝食が付くことが多い。お湯シャワーさえまともに出ない今の拉布寺賓館だが、一応5つ星ホテルなので、無料朝食が付いている。大した内容ではなかったがバイキングなので、お腹いっぱい食べることができ、満足する。
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この街の最大の見どころであるジャナマニは、世界最大の面積を持つマニ石塚だ。市の中心部から3キロほど西にあるので、歩くには遠い。バス停でバスを待っていたら、先に乗り合いタクシーが来たので、それに乗ってジャナマニへ。
タクシーから降り立つと、中国的な新しい街並みの中心部からは景色が一変し、そこは巡礼者でにぎわうチベット世界だ。外からはどこまで広がっているのか分からない広大な石積みの周りを巡礼者が大勢歩いている。
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まずは1周、巡礼者と一緒に歩いて見ようと思ったが、中にいざなう通路が途中で何ヶ所もあり、我慢しきれず入ることにした。通路とはいえ、経文の書かれたマニ石の上を歩くことになり、敬虔な気持ちが自然とわいてくる。本来は新たなマニ石を積み上げるための通路であり、観光用の通路では決してない。
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中は一面のマニ石で圧巻だ。この景色を見たくてチベットの奥地までやってきた。
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マニ石塚の東側に大きな寺院があり、洗面器に花を浮かべたお供え物がずらりと並べてある。
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仏像の前にもお供え物がいっぱい。
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寺院の中では大勢の僧がお経を唱えており、信者は五体投地などをしながら、そこで熱心に祈りを捧げている。
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香台で燃やされているのは主食でもあるツァンパ。良い匂いがする
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マニ車を回しながら歩く巡礼者。
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灯火はバター。
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最大のマニ石塚と生きた寺院を見学し、十分に満たされた気分となった。これで、心置きなく今日この街を出発できる。
バスでホテルに戻り、チェックアウトリミットの12時までひと休み。チェックアウトし、荷物をホテルに預けて、バスターミナルに向かう。宿からバスターミナルまで1.5キロほど。バスもあるが散歩がてら歩き、途中で市場などに立ち寄った。
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次の目的地である西寧(シーニン)までは約800キロ、12~18時間かかるという。昼間のバスにして景色を見たいところだが、始発でも8時半なので、最速の12時間で着いても到着は夜8時半。深夜に着いたりするのは嫌なので、夜行が良い。早すぎる到着も嫌なので、最終18時のチケットを購入した。
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朝食をたくさんとった私は食欲がなく、妻のみ昼食。代表的なチベット料理の一つである肉スープと花巻。肉はヤク肉だ。
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再び街に戻り、妻は博物館へ。
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私は丘の上の結古寺(ジェクゴンパ)を目指す。
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スマホの地図で所要時間を検索すると急がねば見学時間がなさそうだったが、地図にない斜面を登ったので、時間に余裕は出来た。
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このお寺も地震の後で再建されたものなので、新しい。僧坊がたくさんあるが、人の気配があまりない。
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寺は完成しているように見えたが、内部は工事中で入れなかった。
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上からの景色は非常によく、眺望のためだけでも登ってくる価値はある。
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下山し、博物館前まで戻ったのが16時15分くらい。博物館は無料だったので、少し見ようかと思ったが、最終入場時間が16時で入れてもらえず。博物館から道を隔てた広場で市場が開かれていたので、少し見学し、ホテルに戻る。
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16時半にホテルで妻と待ち合わせ。預けていた荷物を受け取って、市バスに乗ってバスターミナルに向かう。バスターミナルの南に地震で壊れた建物が保存してあったので、バスターミナルから戻って見学に行った。この建物は2009年9月に出来たホテルで、翌2010年4月に発生した青海地震まで半年ほどしか営業できずに崩壊したもので、崩れかけていた建物に補強をし、保存してある。その裏には地震博物館もあるが、時間が遅く、入ることは出来ず。
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寝台バスの料金を払ったのに、バスは普通の大型バスでがっかり。車両が変わっても返金などないのが中国だ。しかも、乗客が少なかったために、出発後バスターミナルの外で1時間も客集めをした。こんなことなら17時半のバスにすれば良かったが、仕方ない。
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走り出したのは19時頃だが、20時半頃までは明るいので十分に車窓風景は楽しめた。暗くなってから一度トイレ休憩があったが、何もない草原で、バスの左右に男女分かれてのトイレだ。お腹が空かなかったので問題なかったが、18時発のバスで食事休憩がないのには驚いた。標高が上がり、妻はGPSの数字を見続け、楽しんでいる。21時半頃に越えた約4850メートルの峠が、最高到達点となった。
この辺りがチベットのカム地方とアムド地方との境となっている。旅の前半として選んだカムの旅を終え、明日からはアムド地方の旅となる。