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2019 東チベット
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カムとアムド
12日目 夏河(シャーハ)→朗木寺(ランムス、タクツァン・ラモ)
朝7時前に宿を出てバスターミナルに向かう。街はまだ静かだったが、ターミナル前はにぎやかで、色んなバスが客引きしている。切符売り場は長蛇の列で、昨日切符を買っておいて良かったと思った。朝7時40分発のバスなのに、7時15分には乗車させられる。朝食用の食糧を買おうと思っていたのにそのタイミングもない。7時半には席が埋まってきて、ターミナルの人がチケット確認にくる。甘粛省のバスも四川省と一緒で定時に出発だ。しかし、定時にターミナルを出たものの、ターミナルの外で残りの数席が埋まるまで客待ちをし、実際には5分ほど遅れての出発となった。
夏河を含む甘南チベット族自治州の州府がある中心都市が合作市で、夏河から合作まではバスが頻発している。1時間ほどで合作に到着する。バスから見ただけだがツェ・ゴンパは大きくて見応えあり。時間があればこの街に立ち寄るのもおもしろかっただろう。
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大きなモスクも見えた。
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合作のバスターミナルでトイレ休憩、ここで半分ほど下車した。乗ってくる人は少なく、バスは空席が目立つようになったが、それほど時間を潰さずに再出発する。高度は徐々に上がり、チベットらしい草原が広がってくる。
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碌曲(ルチュ)の街でさらに半分以上の乗客が下車し、バスはガラガラになる。しばらく停車して客を待つ様子だったが、全く来ずに再出発。
本日の目的地である朗木寺到着は11時50分。バスターミナルではなく、単なる交差点で降ろされた。ここは甘粛省と四川省にまたがる街で、それぞれに有名なチベット仏教の寺院がある。
まずは昼食をとる。有名なチベット料理でまだ食べていない手抓羊肉(ショウバーヤンロー)をどうしても食べたいと妻がいうので、ついにここで注文する。手抓羊肉は、チベット人だけでなく、モンゴルやウイグルの人々も食べている料理で、中国西域の代表料理の一つだ。内蒙古や新疆で食べた時はもう少し味がついていた記憶があるが、ここのはほぼ茹でただけの羊肉が出て来た。あっさり味だが、肉は柔らかで美味しかった。
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食事の後、ホテルに行くが、鍵が閉まっている。5階建てで数十部屋ある大きなホテルなのに・・・。以前イタリアでも前払いした宿が閉鎖していたことがあり、またかーって思った。とりあえず近くの民家に行って相談してみる。するとその家の人が子供に付いて行けというので付いて行くと、かなり離れた家まで連れて行かれた。そして、そこがホテル従業員の家だった。客が居なかったので鍵を閉めて家に戻って昼食をとっていたらしい。大きなホテルなのに他に客が居ないとは・・・。
部屋は良かったので、気を取り直し、観光に出る。まずはホテルの部屋から見えていた甘粛省側のゴンパを目指す。途中の水路に古い水車小屋があった。麦を挽いてツァンパをここで作ったのだろう。
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ゴンパは有料で、一人30元。切符売り場の前でもうあまり中国元がないのを思い出した。夏河でキャッシングしても良かったが、何度かカードを吸い込まれた経験からATMを週末に使うのはなるべく避けている。この街にもキャッシングできるATMがあるのをチェックして、ここまで来たのだ。もしここのATMが使えなくても次の町までは大丈夫という計算はしてあったが、先ほどのランチが100元したので、寺院30元x2人x2ヶ所=120元を払うと、明日のバス代くらいしか残らない計算になる。寺は夏河で堪能したので、どうしても見たいという気分でもない。外から写真を撮っただけく、入るのを止め、ATMに向かった。
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無事に街のATMで現金を入手。先ほどの寺に戻っても良かったが、そういう気にならず、四川省側の寺院に向かう。こちらも入場料30元だ。入口入ってすぐのマニ車、巡礼者も僧侶もおらず、さびしい。
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寺院の脇で若い僧たちが討論をしている。学校のようなものだろうか。
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ここもたくさんの建物があり、一番高いところからメインの寺院方向を見る。寺院の奥に続く渓谷がきれいで人気があるそうだ。
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メインの寺院にも人が少なくさびしい。
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中にはたくさんの仏像が並んでいるが、ここの仏像の表情はこれまでの温和な感じがなく、インドっぽい気がする。
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そして寺院奥の渓谷へ。妻は疲れたと先に帰ったので、ここからは一人だ。
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きれいな渓流で橋もちゃんとかけられているが、少しの雨で進めなくなりそう。川の水量はかなり安定しているのだろうか。
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崖の上の洞窟に上がってみる。ロープはあるが、転落事故が起きそうな斜面をよじ登る。
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30分くらいで草原に出て、道は分からなくなった。進むかどうか迷ったが、この先特に何かありそうという感じもしないので引き返す。
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2、3種類の動物がいたが、日本では見かけないような動物だ。
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きれいな渓流だが、時々ゴミがあるのが中国の観光地なので仕方ない。
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寺院のところまで戻ると先ほどまではほとんど見かけなかった巡礼者がたくさんいて少しうれしくなる。
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表には新しい建物が並ぶが、裏通りに入ると古い建物がたくさん残っている。
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地面に白い粉で模様を描くのもインドと似ている。少なくとも今回の旅では初めてだが、ここの僧坊には何ヶ所かあった。
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最後に丘へ上り、のんびりする。入らなかった向かいの寺院の裏には鳥葬台があるそうだが、後ろの山の上だろうか。場所が分からないか探してみたが、遠すぎて分からない。
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寺院の敷地を出ると外の道を五体投地で進む巡礼者たちがいた。ここも寺の外周にコルラ道があるのだろう。
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コルラ道らしき道を進むとマニ車もあり、僧侶がそちらから降りてきた。
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宿の前の道は観光開発で整備されたようだが、完全に寂れている。街全体に、宿や食堂が多いのに全然客がいない。ブームが去った観光地なのだろうか。
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いったん宿に戻ってから、また一人で町へ。明日のバスを探しに行ったが、やはりバスターミナルはない様子。四川側に行くバスは一日一本のみで7時にでるという。事前に切符を買えないと不安になるが、仕方なし。
日没頃に宿近くのモスクに行ってみた。ここでもナツメなどは配っていたようだが、一足遅かったようだ。
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お土産用干しヤク肉屋に入り、色々試食をする。美味しくて、しかも乾燥肉なのにキロ単価が昼の羊より安いのでつい買ってしまった。しかし、今は検疫が厳しくなって、干し肉を土産に持って帰れないはず。帰国までに食べねば。
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夕食はまたもテンツク。チベットでは、困ったときのテンツクという感じで、もう何度も食べている。