旅して » 旅紀行 »旅日記 » 2019 東チベット »日記»

2019 東チベット

カムとアムド
日記:2019年05月21日(Tue)

13日目 朗木寺→彭渓(ペンチ)→紅星(ホンシン)→若爾蓋(ルオアルガイ、ゾルゲ)

 6時前に起床。30分後にはホテルをチェックアウトし、バス乗り場に着いていたが、逆方向である合作行きのバスが一台あるだけ。そのバスの運ちゃんが、ゾルゲ行は行っちゃったぞ、行くならタクシーですぐに行けというが、7時と聞いていたのにおかしいとしばらくバスを待つ。7時発なら15分前には来るはずなので、バスの運転手がいっていることが正しいのだろうと思ったが、かといって時間はあるのにタクシーチャーターする気にはならない。
 食堂に入り、朝食を取りながら対策を考える。我々がゾルゲに行きたがっていると聞いたタクシーの運ちゃんが声を掛けてくる。ゾルゲまで200元だそうだ。バスなら一人25元、乗り合いタクシーなら30元の区間なので、乗り合いなら行くと答えたが、ダメらしい。昨日我々がここに着いた昼には乗り合いタクシーの呼び込みがあったので、昼まで待てば30元で行けるはず。3キロ先のメイン道路まで歩いて出れば、合作方面から来るバスや乗り合いタクシーもあるはず。今日は移動距離が短いし、ゾルゲは小さな町で観光に時間がかかる訳でもない。この街で半日過ごして、昼に乗り合いを探すか、3キロ歩いて、路上で当てもなく待つか。
 しばらくして日本語の話せるチベット人がタクシーの運ちゃんに呼ばれてやってきた。今日は道路工事でゾルゲへ行く道が通行止めになるので、通行止め区間を工事開始よりも早く通るためにバスが定時よりも早く行ってしまったのだそう。タクシーの運ちゃんはまだいるので小さな車ならわき道を通れるのだろうか? その質問には答えを濁しているし、運ちゃんは行ってしまったので、もう間に合わないのかもしれない。しばらくチベット人と日本語で会話するが、彼は昨日日本から帰ったばかりだということで、工事のことなども良く知らないようだった。
 夕方まで通行止めで行けなくなるのは嫌なので、3キロ先まで行って、そこでまた考えることにし、歩きだす。するとすぐに車が停まって、ゾルゲまでの乗り合いタクシーで一人30元だよという。乗客は他におらず、客待ちをどこかでするのだろうとは思ったが、とりあえず7時45分、このタクシーで朗木寺を出発する。
 町中では客探しをせず、3キロ先の分岐も客はいない。どうするんだろうと思ったが、車はそのまま峠を越えて四川省に入る。四川側はなだらかな草原が続く。草原ツアーの一行が乗馬を楽しんでいた。
19/05/21 08:54:06
 最初に見えた彭渓(ペンチ)という集落に車は入って行く。車は集落のはずれの家で停まり、荷物を降ろす。ここが運ちゃんの家で、朗木寺から持ってきた荷物を降ろしに来たのだ。
19/05/21 09:03:58
 再出発してすぐに運ちゃんに電話が入った。運ちゃんの隣に住む妹からで、車が見えたのでお茶でもと誘ってくれたのだ。再びUターンし、妹の家へ。ヤクを飼っており、庭にはヤクチーズが干してある。
19/05/21 09:05:02
 燃料はヤク糞。水道はなく、汲み置き水を洗面器で受けて手を洗ったりする。
19/05/21 09:05:24
 キッチン兼暖房用のストーブは、薪ストーブのように見えるが、燃料はヤク糞だ。
19/05/21 09:05:42
 まずはストーブで沸かしてあったミルクティーをいただく。そして、ヤクヨーグルト、揚げパン。ナツメや干しブドウの入ったポテトサラダなどをいただく。
19/05/21 09:16:44
 チベット人の家庭に訪問できたのは初めてで、色々見て喜んでいたら、ツァンパ箱を持って来てくれた。これこそチベットの伝統だ! ツァンパの粉とバター、そしてヤクチーズ。これをお茶で混ぜてツァンパにする。
19/05/21 09:28:02
 26年前、私は初めて訪れたチベットでトレッキングをした。道行く人はほぼ巡礼者のみ、途中に店などほとんどなく、持参の食糧は初日に食べ尽くし、以降食べ物はこのツァンパ箱に頼っていたのだ。巡礼者用の宿が、一日歩けばあり、部屋にはバター茶の入った魔法瓶とツァンパ箱が置いてある。宿に着いたらまず茶を飲んで、ツァンパをこねる。翌朝も同じツァンパしかないし、昼の弁当用に少し運んだりもしていた。当時でもこの箱を見たのは巡礼宿とお寺のみで普通の宿にはなかった。当然今回泊まった宿でも見ることはなく、市場でも箱を探したが見かけなかった。もう今は無いのかと思っていたら、旅の終盤で出会えるとは! 非常に懐かしくて、うれしい出来事だ。
 あまりに大喜びしているので運ちゃんがツァンパをこねてくれることになる。まずはバターを入れて、その上にツァンパとチーズを入れる。
19/05/21 09:28:54
 バター茶はないので、ミルクティーを加えながら手でこねる。
19/05/21 09:29:22
 完成形は夏河の食堂と同じだ。バター茶ではないが、チーズを加えているので美味しい。
19/05/21 09:30:56
 お土産にミルクティーをいただく。このミルクもヤクミルクで濃厚な味で美味いのだ
19/05/21 09:43:50
 使ったお椀は、舐めて洗わずに食器棚に戻す。水が貴重なモンゴルでも見た習慣だ。日本でも水道が普及する以前には一般的な習慣だったらしい。
19/05/21 09:44:08
 普段使いの食器棚は虫など入らぬ構造だが、別の食器棚は、戸のない構造で、きれいな器がたくさん飾ってあった。
19/05/21 09:45:22
 冷凍庫の中身はヤク肉でいっぱい。そしてヤクバター。
19/05/21 09:44:44
 村には電線があったが、端にあるこの家には電気が来ていない様子。その代わりソーラパネルがたくさん置いてあり、冷凍庫の電気などはこれだけで賄っているのだろう。最後に手を振ってくれているのはこの家のご主人=運ちゃんの妹の夫。
19/05/21 09:46:08
 9時頃ペンチを出発、すぐに紅星の町が見えてきた。町への分岐で車はストップ。この先が工事で通行止めなので2時間半ほどここで待つという。朝聞いた通行止めはやっぱりやっていたのだ。ペンチは、ここ紅星郷に属する集落で、我々の運ちゃんはこことゾルゲを結ぶ乗り合いタクシーの運ちゃんだったのだ。
19/05/21 12:43:44
 2時間半というので町まで行こうとしたら止められた。車の近くにいて欲しいのだろう。暇なので丘に登って景色を見ていたら、車が動き出した。戻って来るつもりだろうが荷物があるので、車の進んだ方に歩いてゆくと自動車修理工場に車は入っていた。パンクしていたので直してもらうのだ。
19/05/21 10:05:52
 パンク修理が終わると今度は洗車場へ移動。チベット人のおばさんが中も外もピカピカにしてくれた。中の掃除のために荷物を降ろしたのでやはり居て良かったかな。
19/05/21 12:03:08
 タクシー乗り場に再び戻ると待っていた他のドライバーに明日成都に行くのかと尋ねられた。明日ゾルゲから成都に行く乗り合いタクシーの運転手だそうだ。今朝までの予定だと成都の前にもう一日どこか小さな村に行こうと思っていたが、ペンチでの家庭訪問でチベットは満足してしまった。最後は一日早く成都に戻ってゆっくりしようという気になって来ていたところだ。車は良い車だったし、値段も相場通り。助手席と2列目の窓側も確保できたので、彼の車を予約した。
 紅星で3時間、12時になってようやく出発だ。道路工事は昼休みがあり、その時間は通れるということのようだ。相客は他に2人来ただけ。乗客定員7人の車に4人だから快適である。
 道の両側草原で、ヤクがたくさんいる。ここの牧童はバイクでなく、ちゃんと馬に乗っていた。
19/05/21 13:27:34
 12時半頃から次々と車とすれ違う。通行止めだった場所はその先だ。
19/05/21 13:36:28
 13時前にゾルゲの街が見えてきた。相変わらずヤクが多い。ここも朗木寺も標高3300メートルというからほぼ同じだ。
19/05/21 13:48:02
 ゾルゲは、若爾蓋と書き、中国語の発音はルオアルガイとなる。チベット語のゾルゲの方が我々にも発音しやすく、普通に通じるのでありがたい。行政的には四川省アバ・チベット族チャン族自治州に属し、その一番北にある県がゾルゲ県となる。単にゾルゲいえば県全域ではなく、ゾルゲ県の中心である達扎寺鎮をさす。そして、単に達扎寺といえばゾルゲの街ではなく、ここにある達扎寺(タツァ・ゴンパ)を指す。バスの行先看板は、若爾蓋と達扎寺が混在しているが同じバスターミナルに着くそう。もっとも我々は乗り合いタクシーでホテルまで送ってもらえたので、バスは見ていない。
 予約している宿に着くとフロントの前で宿の人たちが昼食をとっているところだった。チェックインよりも先に食事はどう? と誘われ、ありがたくいただく。
19/05/21 14:11:14
 満腹になり、きれいな部屋に入るとつい昼寝をしてしまった。明日早朝出発だというのに出かけたのは夕方の5時である。街並みは普通の中国の街っぽいが、ゾルゲ県の人口の9割はチベット人だ。
19/05/21 18:10:10
 タライに生きた魚を入れて路上で売っている。海からは遠く離れているので、川魚だろう。
19/05/21 18:23:00
 タツァ・ゴンパに到着。チベット寺院はこれで最後だからと再び妻は五体投地を試みる。
19/05/21 18:24:58
 ここの仏塔は金色だ。数は多くないがチベット人があちらこちらにいる。
19/05/21 18:27:34
 大きな建物もたくさんあり、有料だった朗木寺よりも無料のこちらの方が見応えがある。
19/05/21 19:06:14
 広大な寺院の敷地周辺にコルラ道が見え、歩いている人が散見できる。6時を過ぎてしまっているが歩こうかなと迷っていたら、雲行きが怪しくなり、雨がポツポツで、断念する。
 少し雨宿りしたら雨は上がり、街を散歩する。食べ物屋が並ぶ通りがあり、少し早いが夕食をとる。
19/05/21 20:06:04
 ヤクのモツ肉がたっぷり入ったトゥクパは美味かった~。
19/05/21 19:47:22
 市場には平地と同じような野菜がたくさん並んでいる。この辺りでは作らないので全部遠方から運んでくるのだろう。
19/05/21 20:06:58
 麺屋さんの店先にはテンツク用の麺がどっさり。
19/05/21 20:07:12
 街並みは中国風だが、男性も女性も民族衣装を着ている人が多く、やはりチベットを感じるところだ。
19/05/21 20:14:54
 宿に戻って写真の整理をしていたら、妻がモスクに行きたいという。ラマダン月における日没時の様子は場所によってまちまちなので、ここでも見たいそうだ。食事して戻ったばかりだし、明日の宿の予約などもしたいと思っていたので、私は行く気にならないが、一人でも行くという。地図でモスクを探すと近くだったので、一人で行かせ、私は留守番。
 小規模な街なのでモスクも小さいのだろうと思ったが、意外に立派だったよう。
19/05/21 21:09:24
 そして厨房があり、大人数の振るまい食が用意されていたそう。
19/05/21 20:18:48
 ロシアでのように男女は別室での食事。ゾルゲらしくヤク肉たっぷりで美味しかったようだ。
19/05/21 20:32:52
 男性はモスク内のバンケットルームのような場所で食べていたらしい。
19/05/21 21:11:58
 これだけ大規模なら私も見に行けば良かったなと思ったが、仕方なし。
« 12日目 夏河(シャーハ)→朗木寺(ランムス、タクツァン・ラモ)