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2020 マカロネシア&UK
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日記»
カナリア諸島、マデイラ諸島、アゾレス諸島、ブリテン島
12日目 フンシャル-リベイロフリオ-フンシャル
朝食はホテル横のカフェでとり、市バスで市の中心部へ。市バスの一日券が今日の13時まで残っているが、使うのはこれが最後となった。下車した場所の道路下に遺跡があった。2010年の洪水で出て来たもので、16世紀の城壁やその後の新しい要塞の跡である。
通り道なので今日も市場に立ち寄ると市場の中心で今日は骨董品市が開かれている。
この後、バスに乗って世界遺産登録された「マデイラ島の照葉樹林」に向かう。照葉樹林というのは、温帯における常緑広葉樹林の一形態であり、中国南西部から日本列島にかけて広く分布している。欧州大陸では氷河期に消滅し、マカロネシアの島々にしかないため、ここがポルトガルでは唯一の自然遺産として世界遺産に登録されている。しかし、実際今住んでいる家の周りも人工のスギ林を除けば、ほぼ照葉樹林である。見慣れた森林形態をわざわざ見に行かなくてもとは思うが、この島の見どころとして訪れておくことにする。
世界遺産登録範囲は広く島の内陸部を覆っているが、フンシャルからバスで日帰りできるトレイルは、リベイロフリオから歩く2本のみ。バスの本数は少なく、朝10時発のバスが唯一の選択肢だ。早めにバスターミナルに行き、我々は問題はなかったが、このバスは座席数しか客を乗せることが出来ず、乗れない人が大勢いた。
満席のバスはターミナル以外にある市内のバス停は素通り。途中のバス停で必死に合図している人もいたが、乗せてもらえなかった。バスは急坂をぐんぐんと登り、昨日訪れたモンテ地区のバス停を過ぎると森林に入ってゆく。下界は晴れていたのに、標高をあげていくと雲の中に入り、リベイロフリオに着いた時にはかなりの雨が降っている。仕方なく、しばらくバス停前のカフェで雨宿りしたが、止まないので歩きだす。歩きだしてすぐに雨は小降りになり、ついには止んで、やっどカメラを取り出す。雰囲気は山陰道を歩いた時とそっくりで、写真を混ぜたら分からないのではないかと思うほど。
展望台への往復トレイルだが、展望台の辺りは霧が立ち込め、見えるはずの下界は見えない。ただ、この島の固有種であるマデイラチャフィンチがたくさんいて、近寄ってくるのが楽しい。太平洋の南米沖にあるガラパゴス諸島では島ごとに違う種のフィンチがおり、これがダーウィンに進化論のヒントを与えたといわれている。ガラパゴスの島ごとにフィンチの写真を撮ろうとし、結構苦労した思い出があるが、ここのフィンチは人懐っこくて、いくらでも写真が撮れる!
バス停付近まで戻るとまた雨で、だんだん強くなってくる。帰りのバスが満席で乗れなかったら嫌なので雨の中、バス停で待つ。無事に乗れたが、30分近く遅れてきたのですっかり濡れてしまった。
街に戻ってレストランを探して歩くが、多くの店が観光客用。オフィス街の地元民が入るような店はランチタイムが終わっている。結局宿近くまで戻ったところで、良さ気なレストランが見つかった。
妻が注文したのはマデイラ名物のエシュペターダ。エシュペターダというのは串焼きを意味し、肉だけでなく一匹魚を焼いたりする。マデイラでは、肉を立方体に切り、グリルする前に、塩、コショウ、ニンニク、月桂樹の葉で味付けする。伝統的には月桂樹の棒を串として使用するが、今は鉄またはアルミニウムの串が使用される。しかし、これほど豪快に出てくるとは思わず、びっくり。
専用のスタンドに串肉がセットされ、フォークとナイフで串から外して食べていく。写真手前が私の注文したビーフステーキ、これでも十分な量がある。エシュペターダは二人で一本でも多いくらいで、見た瞬間に食べ切れないと思った。しかし、肉は柔らかで、味付けも良く、二人で全部食べてしまった。
食べ過ぎたので、宿に戻って昼寝。
夕方からはのんびり部屋でパソコン作業。夕食は今日も近くのバーのつもりだったが、いつまでたってもお腹がいっぱいのまま。ワインだけでもと思ったが、それも欲しくならず、寝るまで何も食べず、ずっと部屋で過ごした。