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2020 マカロネシア&UK
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カナリア諸島、マデイラ諸島、アゾレス諸島、ブリテン島
18日目 ポルト
宿で朝食をとった後、メトロに乗ってモロー公園へ。ポルトの旧市街などが見渡せる景色の良い公園だ。
旧市街とは逆側には、セラ・ド・ピラール修道院が見える。博物館や教会は新型コロナウイルスの影響で閉まっていると聞いていたが、人の姿が見えるので登ることにする。
セラ・ド・ピラール修道院前の展望台の眺望は工事クレーンなどの影響で期待外れだったが、閉まっていると聞いていた修道院は開いている。一部のみの営業だよと言われるが、世界遺産「ポルト歴史地区、ルイス1世橋およびセラ・ド・ピラール修道院」として世界遺産登録されている場所なので、一人2ユーロ払って中に入った。しかし、開いていたのは中の広場のみでがっかり。
もう一ヶ所、世界遺産登録名になっているルイス1世橋を渡る。ルイス1世橋は、19世紀に渡された2層式の橋で、下層が車道で、上層はメトロと歩道になっている。当初は上下とも車道で、川沿いの低い街を結ぶ道と丘の上の街どうしを結ぶ道の2重構造になっていた。上層部にメトロが開通したのは2005年のことで、それに伴い丘の高さには別の橋が架けられている。
橋の上からの景色は本当に素晴らしく、大勢の観光客が集まっている。
メトロがあるので橋の上を横断できないかと思ったら、線路に柵などなく、横断は自由だ。メトロは徐行して走るので、メトロからも景色非常に良い。北岸の東側には橋の上層と下層を結ぶ高さにケーブルカーも走っている。
橋を渡り、ポルトの旧市街に入ってゆく。この辺りからが世界遺産に登録されたポルト歴史地区だ。まずは青いタイルの外観で知られるサンタクララ教会へ。しかし、ここは工事中で外からもほとんど見えず。
次に訪れたのがポルト大聖堂。13世紀に完成した巨大な建物で、ポルトで現存する最古の建物だ。
高台にある大聖堂から旧市街の街並みは美しく、多くの人が景色を見ている。下るルートの見当をつけ、階段や路地を下って行く。坂の途中にあるサン・ロウレンソ教会も見応えのある教会である。
ポルトは坂の街で趣きある路地が無数にあり、フラフラ散歩するのが楽しい街だ。
フェレイラボルヘス市場も閉まっている。しかし、良く見ると昨日の市場同様すでに市場としての機能はなく、開いている時でも食堂街とイベント会場になっている。
フェレイラボルヘス市場の南側には、航海王子エンリケ広場がある。15世紀の大航海時代幕開けに尽力したポルトガルの王子がエンリケだ。そしてその西側にあるのがボルサ宮殿。宮殿と呼ばれるが、宮殿ではなく18世紀に建てられた証券取引所だった建物だ。
ドール川から一本奥に入ったレボレイラ通りには食事処や土産物屋が並ぶ賑やかな通りだ。そしてこの路地を東に進むとレボレイラ広場に出る。観光客の集まる賑やかな広場だ。
広場に面した川岸には対岸に渡る船着き場があり、ルイス1世橋やセラ・ド・ピラール修道院も良く見える。この辺りが旧市街のまさに中心だ。
川沿いを少し散歩した後、今度は丘の上にそびえる時計台をめざし、路地を選びながら坂道を登ってゆく。この鐘楼は「クレリゴスの塔」と呼ばれ、ポルトの市内各所から見える18世紀の建物だ。
塔の周辺にもレストランや土産物屋が密集している。昼時になり、レストランはどこも混んでいる。朝からたくさん食べたので、お腹が空かず、さらに観光を続ける。塔から東に坂を下るとサンベント駅だ。20世紀初頭に建てられた鉄道駅は、構内の壁を彩る約2万枚のアズレージョ(装飾タイル)で知られている。多くの博物館や教会が閉鎖していることもあり、何組ものツアー客が訪れており、各絵の前で説明を受けていた。
サンベント駅から北に向かい、ボリャン市場に向かう。しかし、この市場も工事中で入れず。もうポルトには伝統的な市場はないのだろうか?
ポルト市庁舎を訪れ、「世界遺産ポルト歴史地区、ルイス1世橋およびセラ・ド・ピラール修道院」の観光は終了だ。一日では時間が足りないと思い、昨日も来る計画にしていたが、新型コロナの影響で建物内に入れなかったので、予想外に早く終了してしまった。
遅い昼食を市庁舎近くのカフェでとる。私の頼んだのは海鮮のクリームコロッケ。ライスともポテトともあう味だ。
妻はポルト名物のフランスジーニャ。ステーキやハムなどを挟んだトーストにチーズを乗せて融かし、ピリ辛ソースがかかっている。
世界遺産地区から出ている場所なので観光客の姿は見えず、ローカルでにぎわう落ち着いたカフェで、居心地が良かったのでついのんびりしてしまう。
そのまま歩いて宿に戻り、明るい時間から昨日残ったポルトワインを飲みだす。「アルコールが20%もあるワインなので、ポルトワイン専用の小さいグラスで飲みなさい」と宿の人が専用グラスを出してくれ、今日は小さいグラス。といっても明日出発なので、今日飲み干すには変わりない。
昨日食べ切れない量の燻製肉や米を買っているので、夕食は昨日とほぼ同じ。
* * *
3月3日に帰りの大韓航空機の欠航が決まり、予定通り帰国することが不可能になってから、コロナ関連のニュースを毎晩見て、帰国手段を検討していた。3月3日に乗り継げない便に変更され、問い合わせのメールは出したが、その返信が来ないまま、日本政府がソウル福岡の便を止めてしまった。そして6日にソウル福岡が、ソウル成田に変更された。これで乗り継ぎは出来るようになったが、当初予定の帰宅日から2日遅れになる。空席状況を見るとロンドンソウルは受付を停止で、週3便に減らされた運航日にも連日残席なし。ソウル成田は一日一便にはなったが、ほとんどの日で空席がある。勝手に変えるなら帰着日を変えないで早く飛びたいと連絡したが、これには返信なし。旅をポルトで終了して帰国することを検討しつつ、日々過ごしてきた。
今日、ポルトの街を歩いて、やっと決心がついた。旅を続けよう。観光地が閉まっていても観光客で街はあふれ、普段通りの街の姿を見せてくれている。そして幸いなことに、新型コロナ感染者数は、ポルトガルが30人、英国も300人台で日本よりも少ないのだ。急きょ新たな切符を買うなら、直行便のないポルトガルよりも英国の方が簡単というのもある。
キャンセルしていた英国のレンタカーを予約し直した。前日なのでもうキャンセルは効かない。後は遅くまで、英国旅の行程を再検討し、滞っている日記も再開させた。