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2020 マカロネシア&UK
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日記»
カナリア諸島、マデイラ諸島、アゾレス諸島、ブリテン島
24日目 カーナヴォン-ブレンキャシードゥ-カエルレブ-ボドウェル-バルコリアドウガウラス-ツーマウル-ビューマレス-サンバイルポス-コンウィ-カーナヴォン
B&Bの朝食はウェールズでもイングリッシュブレックファーストと同じだ。これにコーンフレークなども付くので朝からお腹いっぱいになる。
今日は水路を隔てた先にあるアングルシー島を訪れる。この島は、巨石の遺跡であるドルメン(支石墓)やメンヒル(立石)が残ることで知られている。ウェールズを訪れるに当たり、首都であるカーディフを含む南部でなく、北部を選んだのは、この島を訪れたかったことが理由である。
島に渡ってまず訪れたのは、広い農場の一角にあるブレンキャシードゥの遺跡だ。10年ほど前に訪れたアイルランドのニューグレンジと同じ羨道墳(せんどうふん)と呼ばれるタイプで、年代もほぼ同じ5000年前のものだ。海を隔ててはいるが、ここからニューグレンジまでは百数十キロしかなく、同一文化圏だったのだろう。
石室の中まで自由に入ることができる。この規模の古墳で管理人もおらず自由に入れるところは少なく、中をゆっくりと見学できるのがうれしい。
次の訪れたのはカエルレブの遺跡。ここは2重の土塁に囲まれた居住地の遺跡で、紀元前2世紀頃までその歴史は遡る。紀元3世紀のローマ帝国コインが発見されるなど、長期間にわたって人が住んでいたという。今は土塁の盛り上がりがあるだけで、上空からでないとその形もよく分からない。ただ、土塁の上を歩けるので立ち寄る価値は十分にある場所だ。
お次はボドウェル。ここは牧場の中にあるドルメンだ。紀元前3-4世紀のものである。
近づくと中で寝ていた数十頭の子羊たちがパニックを起こし、大騒ぎ。最後に一頭だけ逃げ遅れた子羊は柵からの出方が分からず、何度も柵に頭をぶつけてかわいそう。
次の目的地はバルコリアドウガウラスの遺跡。ポートレカッセル海水浴場に車を停め、砂浜を守るように延びる半島の先端へ歩く。
バルコリアドウガウラスは、約4500年前の古墳で、ブレンキャシードゥよりも若干新しい。
墓室が十字型の古墳で、壁に装飾などが残っているようだが、柵があり、外からではよく分からず。
アングルシー島の先端に水路を隔て、ホーリー島がある。面積はアングルシー島の20分の1以下だが、2島からなるアングルシー州最大の街は、このホーリー島のホーリーヘッドとなっている。
橋を渡ってホーリーヘッドにやってきた。アイルランドと英国を結ぶ主要港がこのホーリーヘッドだ。ウェールズやイングランドと繋がる鉄道の終点が港になっており、アイルランドの首都ダブリンなどに船が出ている。昼食時でもあり、港近くには賑やかなレストランが何軒もあるが、朝食が多かったので腹が空いていない。そのまま街は素通りし、島の逆側に位置するツーマウルに向かった。
ツーマウルは、ウェールズ語で大きな家という意味で、ここは住居跡となる環状列石がたくさん残る遺跡となっている。霧が立ち込める湿地で環状列石を探すのはスコットランドの離島シェトランド以来だ。見つけるまではシェトランドそっくりと思っていたが、遺跡の実物は全く異なっている。ここは竪穴式住居の基礎が遺跡として残っているのである。10以上のサークルがあり、大きな集落だったと思われる。
ほとんどが土の床なのに、石を敷き詰めていある場所もあるのがおもしろい。
来た時とは違う道を通り、ホーリー島の村をいくつか見ながら古い橋を渡ってアングルシー島に戻る。ガソリンを入れた後は高速道路に入り、一気に島の反対側にあるビューマレスにやってきた。
世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」に登録された4城の一つビューマリス城を見に来たのだが、昨夜ニュースで見た通り、新型コロナウイルスの影響で閉鎖している。仕方がないので城の周りをぐるりと歩いただけで終わる。
街を歩いているとひと際目立って古そうな家がある。よく見ると英国で一番古い家の一つと書いてある。1400年頃に建てられた家だそう。
14時半頃にようやく昼食。海の街なので、シーフードビストロに入り、フィッシュアンドチップスのセットを食べる。テイクアウェイのイメージが強いフィッシュアンドチップスだが、こうやって出てくるとかなり豪華に見える。
食後も街を少し散歩する。お土産屋街は開いている店もあるが、コロナのために休業と張り紙をして閉めている店もある。賑やかな時ならおもしろそうな場所である。
先ほどのビストロのお姉さんに「観光なら世界一長い駅名の駅は行った?」と尋ねられた。我々は全く知らなかったが、非常に有名で、それ目当てに来る人もいるそう。近くなのでその「サンバイフックインゲヒコッケーロヘッロッボサンスセリオゴーゴーゴッホ」駅を訪れる。ちなみにこの発音は妻が何度も聞き直し、遂には録音。そして他の場所でもウェールズ人に発音してもらって再び録音。そうして書き出したカタカナだ。ちなみにウィキペディアだと「スランヴァイルプールグウインゲルゴウゲールウクウィールンドロブウリスランダスイハオゴゴゴッ」となっている。駅舎の看板は裏も表もこの Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch のみの表示となっている。
ホームの看板は読みやすいように下段は発音用の表記になっているが、それもウェールズ語表記なので読むのは困難だ 。
駅前広場の逆側には土産物屋があり、そこの看板には意味が英語で下段に書いてある。
橋を渡ってブリテン島に戻る。次の目的地も世界遺産「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」に登録された4城の一つ、今度はコンウィ城である。コンウィの街は、人口が1万4千人でホーリーヘッドやカナーヴォンよりも大きな街だ。車を停めてまずは城を目指すが、街並みの雰囲気も良く、時間があればのんびり歩きたいところだ。
コンウィ城もコロナで閉まっているので、外観のみ。
コンウィも港町で、ムール貝やロブスターで知られている。岸壁に積み上げられているのはロブスター漁の籠だ。
そのまま歩くと英国で一番小さな家がある。見どころになっているので行ってみたが、一番という割には大きい。5.5㎡というから10畳一間くらいのサイズはある。16世紀から1900年までは普通に民家として使われていたのだそう。ここも閉まっていたが、コロナとは書いておらず、4日後の3月21日まで休みとあったので、もともと休んでいたようだ。
街をしばらく散歩していたら城壁に登れる場所があった。ここなら城に来た気分にはなれる。
カーナヴォンに戻ってまだ明るいので少し街を歩く。城はやはり閉まっているが、昨日楽しんだパブは開いている。昼食が遅く量も多かったので、さすがにまだ食事気分ではない。宿に戻り休んでから、遅い時間に夕食をとることにする。
観光施設が閉まってしまい、この先旅が続けられるかどうかも分からない。先々のことを考えていたら食事に出るのも面倒になり、持っていた食料で夕食は軽く済ませた。この先パブが閉まったらもう行けないし、ビール飲みにだけ行こうかなと遅くまで迷うも結局出掛けず。