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2022 欧州 北極圏から地中海まで
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ノルウェー,オランダ,ドイツ,フランス,ルクセンブルク,ベルギー,スペインの旅
7日目 レーヌ-フィヨルドクルーズ-レーヌ-オー-レーヌ
目覚めると朝日に赤く照らされた美しい山が見えた。深夜着で昨夜は気がつかなかったが、ベッドから窓越しに見える景色が素晴らしい部屋だ。赤色が薄まるまでこの景色をボーと眺めて過ごす。
久しぶりにしっかりと朝食を食べる。ライ麦パンと北極印の平たいパン、魚卵のペースト&ジャム&バターをパンに塗り、付け合わせはノルウェーの伝統的青かびチーズと人参、そしてコーヒー。久しぶりのゆったりとした朝食時間だ。
午前中は船に乗ってフィヨルドを見に行くことにする。まずは昨夜バスを降りた村の中心にある広場へ。気持ちの良い公園になっている。この辺りは少し前の地図では海になっている。それどころか現在のグーグルマップでも海で、最近埋め立てし、公園にした場所なのだ。グーグルマップでは海の上にバス停マークがついている。
埋め立てに伴って船の乗り場が変わっていて、地図の場所に船がない。近くのホテルで教えてもらった方向に歩くが、路地を抜けてもあるのは伝統家屋やタラの干場があるのみ。
とりあえず見晴らしの良い海辺に出ると遠くに桟橋が見える。急いだが桟橋まで5分くらいかかり、着いた時にはもう乗船が始まっていた。オフシーズンなのに乗り切れないのではないかと思うくらいの人が並んでいたが、なんとか全員が乗船できた。満席のためか、定刻よりも早く出港。
船は結構スピードが出て、最後部でも結構しぶきが飛んでいる。基本的に乗客は船室から出られないが、犬を連れた乗客がおり、犬連れは船室に入れない。おかげで後部の入口は開けたままで、景色はよく見える。船は高速船のようで、レーヌ村はあっという間に遠ざかってゆく。
すぐに船は橋をくぐり、レーヌフィヨルドに入っていく。オルスティンデン山の絶壁を見ながら山を巻いて、ケルクフィヨルド(Kjerkfjorden)へと進んでゆく。最初の寄港地はケルクフィヨルドにあるロスタッド。非常に小さな集落で、人の乗り降りはほんの少し。
さらに船はケルクフィヨルドの最奥まで進み、ケルクフィヨルドの桟橋に着く。ここではキャンプ装備を持ったグループが何組か降りた。この先にはトレッキング道が続いているのだ。
少し船内に余裕ができたので、滝などの景色もゆっくり見ることができる。
ケルクフィヨルドでUターンし、先ほど通過したフォースフィヨルドとの分岐をフォースフィヨルド側に進んでゆく。フォースフィヨルドとブネスフィヨルドとの分岐にあるのがビンスタドの集落。ここでほぼ全員の乗客が下船した。その大半は学校行事で来ている生徒達だった。それ以外にもハイカーが何組かいる。ここから片道4キロほど歩くと外海に出て、そこはビーチとなっている。日帰りピクニックで午後の船で戻るも良し、キャンプで泊まるも良しの人気の場所なのだ。元の計画では我々も日帰りピクニックをするはずだったが、レーヌ滞在を一日削ったので、我々はフィヨルドクルーズのみで、同じ船でレーヌに戻る。
約1時間のクルーズを終え、レーヌ村に戻ってきた。
午後は島の最西端にあたるオー村を訪れるが、バスの時間まで1時間あるので、土産物屋などを見る。名物の干しダラが売っているが、高い! キロ当たりで950クローネ≒1万4千円。100g1400円はさすがに高すぎるだろう。
時間があるので一旦宿に戻る。宿には入り口が2つあり、中の階段も2つ。一応1階で繋がっているが、深夜に来た時には気がつかず、中々部屋が見つからなかったのだった。
11時50分のバスでオーに向かう。天気が良いこともあり、周りの景色が本当に美しい。30分のバスはあっという間で、もう着いてしまったのかと思ったほどだ。
バスの終点は最西端の村の西側にある。村に行く前に、そのまま西に延びるトレッキング道を進み、外海のビューポイントまで歩く。
ビューポイントでピクニックランチ。朝の残りに追加で買ったポテトサラダとビスケット。
ハイキングやキャンプが似合う自然の中を少し歩くだけでも非常に気持ち良い。
集落の入り口にあった郵便受け。ヨーロッパの田舎では昔から見るが、最近は増えた気がする。
オー村は集落全体が野外博物館のようだと称される美しい村だ。海の上には伝統的な漁師小屋がたくさん建つ。スボルバル同様に、多くは宿になっているが、今も漁師小屋として使われているものも多い。写真の中央は村で唯一のレストラン。旅行シーズンは観光客でごった返し、待ち時間が長すぎると散々なクチコミだったので、我々は避けてピクニックランチを用意していた。しかし、オフシーズンとあってレストランは適度な込み具合で、感じも良く、ここで食べても良かったかなと思った。
タラを干すシーズンは早春2月から5月なので、どこに行っても干す様子が見られなかったが、ここでは観光客用に吊るしてあった。売られているものよりも乾燥が進んでしまっているのはずっと干したままなので気のせいではないだろう。
村で唯一のパン屋は、今も伝統的な薪窯でパンを焼いていて、店内は博物館のよう。集落全体が野外博物館といわれるのも分かる気がする。
商店でノルウェー伝統食SODDの缶詰を妻が見つけた。ノルウェーを代表する国民食として紹介されていたが、レストランのメニューをいくら探しても見つからなかったらしい。それが見つかったので大喜び。今晩はレーヌで食べるレストランまで決めていたが変更し、購入することに。
この商店の一角に、干しダラと塩干しダラの違いなどが詳しく書かれていた。これも集落全体が野外博物館に感じられる要素となっている。
オーには干しダラ博物館があり、ここは訪れようと思ってたが、すでにオフシーズンで休業中。博物館への近道となる浮桟橋が途中で切れていた。
帰りのバスの時間までに村は見終わってしまったので、大回りし、閉まっている干しダラ博物館をのぞく。建物周辺の展示物や中の干しダラも見え面白かったので、閉まっていても行く価値はあると思う。
時間はまだあり、一日かけていたら歩いていたはずのトレッキングルートに少し足を踏み入れる。この氷河湖の周りを一周する計画だったのだ。
この村にもタラ干場がたくさんあったが、スボルバルで見たような見事な三角形ではなく、単純なもの。でもこの辺りのタラ干場の写真も大量に干されている様子は壮観で、実物を見てみたいものだ。
16時のバスでレーヌに戻り、少し食料を買い足そうと商店に入る。村の規模としてはオーよりもレーヌが大きいが、レーヌは郊外に大きなスーパーがあるためか、村の中の商店はオーよりも小規模なものでたいしたものは買えずに終わる。
早めに宿に戻り、きつい日程の上に体調不良で溜まっていた雑用を色々とこなす。写真のバックアップで既に場所が分からなくなっているものもあり、やっぱり注意力が低下していたのだと改めて思った。
夕食はオーで買ったソー(Sodd)。ラム肉の角切り、ミートボール、人参、ジャガイモが入ったスープ料理だが、定番の具であるラム肉の角切りがハムの角切りに変わっていた。自分でもできそうな単純な味のスープで、やはり家庭料理なのだろう。
夜10時頃、ふと外を見るとオーロラが出ていた。部屋からも同じように見えるが、窓の大きいリビングから眺める。街灯や船の灯りが邪魔をしてはいるが、部屋からぬくぬく暖房に当たりながらオーロラを見られるなんて最高! 時間を忘れ、数時間見入ってしまった。