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2022 欧州 北極圏から地中海まで
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ノルウェー,オランダ,ドイツ,フランス,ルクセンブルク,ベルギー,スペインの旅
14日目 ハールレム-スパールンダム-デンウフェル-アフスリュイド堤防-ハーリンゲン-ディーフェル
実質今日から始まるレンタカーの旅は1週間で5か国回る計画だ。昨夜オランダに到着したばかりだが、明日にはもうドイツに向かう予定なので、じっくりオランダを見れるのは今日一日だけとなる。
車中泊なので、明るくなると自然と目が覚める。もうしばらく車で寝ているという妻を残し、一人でザイトケネメルラント国立公園を散歩することにする。早朝からサイクリングを楽しむ人やランニングをする人、ウォーキングをしている人などが大勢いる。林を抜けるとその先にはヘットヴェット(Het Wed)と呼ばれる湖があった。息が白くなるような寒さなのに泳いでいる人が大勢いて、唖然とする。私は服を何枚も着こんでいて、それでも寒いと感じているのに…。
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湖の周辺には砂丘が広がっており、空には朝焼けが残っている。のんびりと散歩を続けたくなる風景だが、泳ぐ人々を見た衝撃で落ち着かず、ここから引き返し、車に戻ることにする。
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15分車を走らせ、朝食は人気のカフェバーに入る。壁と天井には所せましと並べられたアンティークな品々。店の片隅にスロットマシーンがあるのがオランダの特徴だ。
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店の裏は運河に面し、運河を眺めながら飲食することもできるが、寒いのでこの時間は皆さん中に座っている。
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今回のレンタカー旅は妻の食収集が目的で色んな名物を食べることにしている。エンドウ豆のポタージュスープとライ麦パンにベーコンを乗せたものは朝食の定番だ。
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大きなミートボールもオランダ名物。サンドイッチにすることが多い。
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雰囲気の良い店で、のんびりしてしまい、コーヒーもお代わりする。物価がめちゃくちゃ高かったノルウェーから飛んできたので、食事代がすごく安く感じてしまう。
天井のベルを鳴らすのは、居合わせた客全員に御馳走するという合図になるそうで、知らずに鳴らした妻が止められていた。
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水が漏れている堤防を発見した少年が自らの手を使って一晩中その穴を塞ぎ続けて堤防の決壊を防いだという話は、日本で道徳の教科書に取り入れられていた時代があり、日本でも多くの人が知っている話だ。実話ではなく、アメリカで出版された小説の話で、オランダではあまり知られていない。それでも、この主人公であるハンスブリンカーの像が、オランダ国内で何ヶ所か建てられている。スパールンダムにある像が近くにあるので立ち寄ってみた。ストーリーの記憶では、ハンスは腕を堤防の穴に突っ込んでふさいだと思うが、この像では手で泥をすくい、埋めている。
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そこから車は一路北へ。牧場が続き、牛が多く買われている。酪農の国オランダだ。風力発電の風車も多い。
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渋滞したと思ったら、運河にかかる跳ね橋が上がって船が通過していく。これもオランダらしい風景だ。
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オランダの地図を見るとまず目につくのが、北部でアイセル湖とワッデン海を隔てる細い線だ。アフスライトダイク(Afsluitdijk)、日本語では締め切り大堤防と呼ばれる世界最大の堤防である。せっかく車でオランダを走るのだから、この堤防を走ってみたい。という訳で、まずは堤防の西にある港町デンウフェル(Den oever)にやって来た。
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豊かな動物相、鳥類相、植物相で知られているワッデン海は世界遺産登録されている。広大な干潟が現れることでも知られており、デンウフェルからも干潟が広がっているのがよく見える。海岸まで出て世界遺産訪問をしようと思っているが、ここは海まで遠かったので、行けなかった。
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落ち着いたデンウフェルの街を歩くと前方に伝統的な風車が見えた。
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風車まで行ってみると何人かの老人がたむろしており、中を案内してくれた。この風車は1672年にトウモロコシ製粉所として建設され、1930年代の終わりに壊れるまで使用されていた。1960年に修復され、再び稼働を始める。石臼のある部分を見ることができる風車は多いが、ここでは2階から3階へと上がらせてくれ、羽根車を支える軸まで触ることができ、非常に面白い体験となる。
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正面から見ると非常にきれいで、いろんな部分を新しくしながら維持してきたのが良く分かる。
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デンウフェルで昼食をとるつもりだったが、レストランが閉まっており、そのまま出発する。すぐに締め切り大堤防の上へと入っていく。ワッデン海側は一段高くなっており、アイセル湖側を見ながら進むことになる。
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中間点にガソリンスタンドやキャンプ場がある休憩場があり、ここで一休み。アイセル湖上には風車が無数に立っており、壮観だ。
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14時半に対岸の都市ハーリンゲンに到着する。遅くなったが、ここのレストランで昼食をとる。クロケテンオプブロード(Kroketten op Brood)は、コロッケとパンで、オランダでよくある食事だ。
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キベリン(Kibbeling)は、スケトウダラのフライで非常に美味しい。英国でいうところのフィッシュアンドチップスだ。
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帆船レースの為に大きな帆船が集結しており、埠頭は非常ににぎやか。
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ここの海も世界遺産ワッデン海の登録地域である。見ているだけと大差ないが、しっかり干潟まで降り、世界遺産に足を踏み入れたことにする。
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スーパーの駐車場脇に運河があり、ちょうど跳ね橋が上がるところだ。せっかくなのでゆっくりと観察する。車や歩行者にとっては日常のことで、単なる赤信号と変わらない様子。わざわざ嬉しそうに見ているのは我々だけである。
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スーパーで買い出しし、宿を予約してあるディーフェル(Diever)に向かう。オランダの安い宿のリストを見ているとピポワゲン(Pipowagen)なるものが目に付いた。写真を見るとトレーラハウスのようなものである。写真を見る限り快適そうだし面白そうで、大きな農場の敷地に建てられたピポワゲンを選んでいる。
農場には羊や馬が数多く飼われていて、我々を歓迎してくれる。羊は呼ぶと近寄って来て撫でると喜ぶので本当にかわいい。一方、馬は競走馬で、あまり刺激を与えないでということで、近寄れず。
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車はピポワゲンのそばまで乗り入れることができる。ピポワゲンには、一応車輪が付いており、動かせる構造物だが、実際に動かすのは難しそう。宿としての面白さを出すためなのか、建築物でないということで税金対策になるのか、良く分からないが、面白い。
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中はきれいで普通の宿と変わらないが、キッチンがあるのに水道が外となっている。トイレやシャワーも別の建物だ。
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物価の高いノルウェーでアルコールを我慢していたので、久しぶりのビールは2人で2リットル。味比べをしようと4種類買ってみた。
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夕食は明るい時間から屋外で始めた。オレンジ色のものは生牛肉のピューレで、絶品。ゴーダチーズ、ナッツの乗ったパン、紫キャベツ、マッシュポテト、肉シチューなどもすべてオランダ名物である。
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トイレやシャワーが遠いのとインターネット環境がないのはマイナス点だが、それを上回る素敵な宿だ。車中泊で寝不足気味だったこともあり、夜はぐっすりと眠ることができた。