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2022 欧州 北極圏から地中海まで
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ノルウェー,オランダ,ドイツ,フランス,ルクセンブルク,ベルギー,スペインの旅
25日目 パルマ
朝目覚めると窓の外の受胎告知聖母マリア教会が朝日に赤く染まっていた。時刻は8時を過ぎているが、まだ日が出てすぐなのだ。秋分から3週間経っても夏時間を継続しているので夜明けが遅く、起きてすぐに時計を見ると寝坊をした気分になる。しかし、実際には早朝でこういう景色を見ることができ、時間のずれもまた面白いと感じる。
昨夜食べ残したソブラサーダをパンに塗り、コーヒーをいれ、朝食にする。
9時半に宿を出発し、まずは近くにある聖カタリーナマジョルカ市場へ。大きくてにぎやかな食料品市場だ。
コルシカ島同様に生ハムの原木が並んでいたり、各種ソーセージ、チーズなどもある。同じ地中海の島だが、魚介類はこちらの方が豊富で種類が多い。あん肝が見えるように売られているアンコウは、日本のアンコウ鍋を思い出し、食べたくなる。
食事のできるカフェも市場にたくさん入っており、皆さん美味しそうなものを食べているが、朝食をとったばかりなので、食べずに我慢。
昨日も歩いたサフェイシーナ公園を抜け、水路を越えると城壁があり、そこからが本当の旧市街となる。
歴史ある路地を北東に進む。写真の建物は10世紀に建てられたもので、中には泉がある。
教会や巨木を見た後、公園の一角で開かれている青物市場へ。近郊の農家が直接販売する有機栽培の野菜市だ。
公園の近くにあったマジョルカ料理レストランはまだ午前中なので営業はしていなかったが、入口にはまるで博物館のようにアンティークが飾られており、自由に見学できるようになっていた。
スペイン広場に面したソーリェル鉄道の駅に行ってみる。この鉄道は1911年に開通したもので、パルマとソーリェルを結んでいる。観光客に人気の鉄道で、年間100万人以上が乗車するそうだ。一日5往復しかないのにすごい数だ。出発時刻が近いというのに駅の外まで切符を求める人々が行列している。
乗る気はなかったが、改札はホームの途中で、一応ホームからスペイン最古の列車といわれる木造車体を見学した。出発時間が間近だったので、駅から出て、外で列車が来るのを待つ。しかし、出発時間を過ぎでも列車は中々来ない。結局出発は10分遅れ。立ち席の人はいなかったが、ほぼ全席埋まっている感じ。改札でマスクチェックをしていたのに、すでに大半の人が外していて、笑ってしまった。
スペイン広場を通って、パルマの中央市場ともいうべきオリバール市場に入る。
ここの市場でも魚が目に付く。
お昼が近づいて来たので何か食べたいと思い、朝の市場よりも真剣に食べ物を吟味する。予想外に種類が多く、また美味しそうだ。
天井から吊り下げられた魚の頭に見とれていると店のお兄ちゃんに話しかけられた。数年前に日本に行って楽しかったそうで、なんと日本酒を仕入れてメニューに入れている。
調理していた貝のマリネの味見をさせてもらっていたら、他を見ていた妻がやって来た。妻がマジョルカ料理についていろいろ質問を始めるとお兄ちゃんは嬉しげに色々教えてくれる。そしてそのままの勢いで、味見ではなく一皿の料理とワインをごちそうしてくれた。海鮮や豆の入ったスープは非常に美味く、冷えた白ワインがよく合った。
中途半端な量の食事となったが、空腹ではなくなったので、この市場での食事は止めた。サンアントニオアバド教会や聖ミカエル教会を見て、マヨール広場へ。17世紀にできたマヨール広場はパルマ旧市街の中心地だ。
カンフォルテザレイ(Can Forteza Rey)は、19世紀の初頭にガウディの影響を強く受けたユニークな建物。現地では看板を誤訳して、ガウディの作品かと思って見ていた。実際には、当時パルマ大聖堂の修復のために滞在していたガウディと知り合った宝石商がガウディの影響を強く受け、自ら設計した建物ということだ。
パルマ市議会の建物まで妻と一緒に観光したが、疲れた妻はここから宿に戻るという。せっかくなので私はもう少し観光を続ける。
11世紀に造られたアラブ風呂の遺跡前を通過し、カン・フォルミゲラを通って、中世のラポルテッラ門をくぐる。
門の外側には公園が広がり、遠くに巨大なクルーズ船が何艘も停泊中だ。観光客がたくさんいるのも当然だ。
巨大なパルマ大聖堂までやって来た。1229年にイスラム教徒から支配権を取り戻したキリスト教勢力が翌年に建築を始めた大聖堂が完成したのは1601年のこと。完成までに370年以上かかっている。
南側入り口のレリーフや像は見事だ。この入口はネット予約した人の入り口となっており、ここには行列はないが、当然前売りチケットが必要となる。
西側が正面入口だが、そこから入ることはできない。ただ有名なステンドグラスはここから覗き見ることができる。現在のメインの入口は北側だが、切符売り場が長蛇の列で値段を見に行く気にもならなかった。
大聖堂に西にある王宮の北にある階段を下りて、旧市街の路地を宿の方に向かって歩く。現代アート美術館などに立ち寄って、宿に戻ったのが14時前。
スーパーで買っておいた総菜や先に宿に戻った妻が作っておいてくれた白ワインのサングリアなどで昼食にする。
また昼から酒を飲んでしまったので少し昼寝。そして18時半頃から再び出掛ける。海岸のヤシ並木の道を通って大聖堂を目指す。
パルマ大聖堂では土曜日夜にミサが行われ、その時は無料で入れるので、ミサのためにやって来たのだ。開場は18時半でミサが19時から。19時ギリギリに着いたので、中を見て回ることはできず、座席について、ミサに参加した。
ミサが終わって街を散歩する。観光地なので20時前からレストランは開いているが、飲んでいる人ばかりで、まだ食事時間とはならないようだ。
日が暮れてくると宿近くに風車が浮かび上がっていた。
飲み屋街などを散歩し、宿に戻る。夕食は昼間に買った総菜やワインだ。久しぶりに良く歩いた一日だった。