2人の世界旅 日々の記録

4年3ヶ月、1日も欠かさず綴った旅日記
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アルメニア>2009年03月07日(Sat)
エレバン→ゴグト→ゲガルド→ゴグト→エレバン
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■アルメニア歴史めぐり・2
昨日のエチミアジンEchmiadzin、ズヴァルトノッツZvartnotsというアルメニア正教の聖地めぐりに続き、今日はゲガルドGeghard修道院へ行くことにしました。やや遠いところにあり、エレバンYerevan市内から到着まで2時間以上もかかってしまいました。

一枚岩をくりぬいて作られた修道院は、岩と建築部分が融合する様子が見ごたえありました。中は暗いけれど、雪解け水? のようなものが流れていて、自然と一体になっている様子が感じられます。ゲガルドはアルメニア語で「槍」という意味なんだそうです。何でもキリストの脇腹を刺したと伝えられる槍がかつて収められていたのだそうです(現在その槍はエチアミジン大聖堂所有)。

ゲガルド修道院

外は、雪が積もっています。寒い中、山の中で観光をするのは辛いことなのですが、このゲガルド修道院は雪景色にたたずむ姿があまりに美しかった。お土産物用の絵葉書には新緑いっぱいに包まれる修道院の写真が載っていたのですが、正直、今日の雪景色のほうが、美しさの点で一枚上手! と思ったほどです。訪問して良かった世界遺産の1つとなりました。

■ナゴルノカラバフ共和国考
私たちは、アルメニアに入国してから、ナゴルノカラバフNagorno-Karabakh共和国へ行くか行かないかを、ずっと考え続けてきました。世界のいろいろな国を見たいのだから、目の前に国があれば、そこに行くことを検討するのはもちろんのこと。

でも、私たちの答えは、「ナゴルノカラバフへは、行かない」でした。

ナゴルノカラバフとは、ネットを見ていると、時折、妙なキャッチと共に登場する名前です。「世界で1つの国にしか承認されていない国」とか、「自称独立国ナゴルノカラバフ」、みたいな。背景を知らないと、そのユニークさを強調するキャッチだけで、面白く見えてしまいそうなところ。

自称独立国というのは間違いで(国際法に基づき独立宣言しているので)、世界で1つの国にしか承認されていないというのは部分的に正しいです。でも・・・その承認とは・・・。

例えばの話し。仮の話し。
ある日、どっかの国の理解不能な強制命令で、北海道がA国の領土にされてしまいました。どうしましょう。北海道には日本人ばかりが住んでいるのに、強制的にA国になってしまう、そんな不可解なことがあったら、日本は返還要求、してもおかしくないですよね? でもA国は北海道の領土欲しさから北海道の日本人を大量虐殺しはじめてしまったら、日Aの戦争になってもおかしくないですよね?(憲法第9条はさておいて、の発言)

そんなとき、北海道をA国主権から逃れさせるためにどういう方法があるか。「北海道は日本だ」、「北海道はほかの国にするもんか!」と、そのために日本は北海道に独立宣言をさせ、自治権をもたせ、A国支配でない形を作るのです。

3月5日日記にも、同じことを書きました。ナゴルノカラバフとロシアとアゼルバイジャンとアルメニアの関係として。今回は、耳慣れないカタカナばかりの馴染みの薄い国だと分かりにくいかと思い、敢えて、日本の国土を使って一例を作ってみたわけです。北海道とどっかの国とA国と日本の関係を。


ナゴルノカラバフは、アルメニアから離れたいのではなくアルメニアでありたいのよ!
  北海道は、日本から離れたいのではなく、日本でありたいのよ!

でもナゴルノカラバフという国を立てないと取られてしまう。だから、立てる。
  北海道という国を立てないと取られてしまう。だから、立てる。

アルメニアは、決してナゴルノカラバフを分離したくて独立を承認したんじゃないのよ。
  日本は、決して北海道を分離したくて独立を承認したんじゃないのよ。

ナゴルノカラバフは、アルメニアから離れたいのではなくアルメニアでありたいのよ!
  北海道は、日本から離れたいのではなく、日本でありたいのよ!

・・・ナゴルノカラバフは、そう考えると、やっぱりアルメニア。

    北海道は、・・・やっぱり日本だもの。


世界各国はそれを分かっているのでしょう。どの国も「ナゴルノカラバフとアルメニアを別国」と認めないのは、「ナゴルノカラバフはアルメニアだ」すなわち「北海道は日本だ」と分かっているのですね。

そして今後も、ナゴルノカラバフが世界の多くの国から独立国として承認される可能性は、現状が覆らない限りありえないと思いました。


私たちは、旅する中で、民族というつながりや民族特性を強く意識していますから、どうしてもそういう結論になってしまいます。「世界でアルメニアだけしか承認していない」点も、その歴史背景を、スターリン民族政策よりもずっと前のことからちゃんと勉強すれば、通常の承認とはやっぱり違う、尋常のなさに気付くでしょう。だから、もしカラバフに行ったとしても、1ヶ国には数えられません。数えるほうが尋常じゃない。

そして、歴史のことはもちろん、今後の日程やその他の諸々を考慮して、私たちはナゴルノカラバフには、「敢えて」行かないことにしました。観光できる見所もあるのですが、ちょっと、今の状態では、気持ち的にも、行き難かったから・・・。


ナゴルノカラバフビザの取得方法など、いろいろと調べてくれたマロちゃん、ありがとう。その好意を形にできなくてごめんなさい。でも、マロちゃんと出会って、アルメニア人が本当に大好きになれたので、アルメニア人が多数血を流したカラバフには、行きません。

夜、名物料理のスジュが美味しすぎてウォッカを飲みすぎたあづさは、「アルメニア人の気持ちになると悲しい」とか、「北海道の気持ちになると悲しい」と言って、酔って寝ながら泣いていたそうです。←和人談、あづさ記憶なし(爆)

まあ事のつまりは、それだけ真剣にナゴルノカラバフ問題について熟考を重ねた数日間だった、ということにしておいてください(苦笑) 熟考に決着がついて、なんか、飲みたくなったのです(、ということにしておこう。本当はスジュが美味しいせい、笑)。
本日の旅
行動 :ゲガルド修道院観光
朝食 :アップルシナモンソテーonオートミール、紅茶/マロちゃんち
昼食 :ハチャプリ、ラマジョ/エレバンのパン屋
夕食 :スジュ(黒サラミ)、basturma(バストゥルマ、牛肉にねっとりスパイスを厚くぬり日干しにして薄切りにしたもの)にネギ乗せ、ウォッカ、チャチャ(グルジアの蒸留酒)、ミサオ(マダガスカルのカレー風味炒めパスタ)/マロちゃんち
宿泊 :マロちゃんち

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旅情報
1ドラム=0.283円

*ゲガルト修道院への行き方
エレバンの中心部からは、市バス、ミニバス、トラム(1番)のいずれかに乗って、進行方向右手にメルセデスベンツディーラーが見えるところで下車。ディーラーの横にターミナルがある。そこから266番バス(orミニバス)に乗り、ゴグト下車、そこから更に徒歩1時間(orヒッチハイク)。