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■ダニ族の村トレッキング・1日目
ダニ族に会いに、バリエムBaliemの谷の旅。
ダニ族の村へ訪問する日がやってきました。
ちなみに帰りの飛行機のチケットを取ってある以上ワメナWamenaにいるのは丸3日+前後半日ずつであることは確定していますので、数日がかりのトレッキングはありません。コテカという、男性のペニスケース姿の男性がいる村に行くのはワメナからの日帰りを繰り返す予定です。
今日はクリマKurima方面を目指そうと思います。ガイドブックの地図を紙に写して、準備万端、ミニバス乗り場へ向かいました。ミニバスにはなんと20人!もの乗客がいてびっくりしました。9人乗りの車なのに・・・。私たちを除いて全員がメラネシア人です。
インドネシアの主要民族はジャワ人です。日本人にも中国人にも似た、いかにもアジアっぽい顔立ちをした人々です。ここインドネシアの東の果てのニューギニア島は、すぐお隣のパプアニューギニアと同じくメラネシア人の土地ですが、今やジャワ人の進出も激しい。見たところ、メラネシア人は貧困層というか、郊外の村で自給自足で生きている人々という印象を受けました。商売上手でお金を握って繁栄していくように見えるジャワ人とは全然違います。
というわけで、コテカを身につける伝統的な人々の暮らしを見に行くにあたり、車内では私たちの周囲が見事に全員メラネシア人だったのです。ちりちり髪の毛、原人や猿人に近い顎の骨格、背の低い人々。車内にいるおじさん2人が、鳥の羽をたくさん施した帽子をかぶっていて、これもまた土着的な印象を与えました。
クリマに到着すると、砂利の荒野に、ポツンと小屋がいくつか建っていて、女性たちがにんじんを砂利の上に広げて座っています。今日はマーケットデーということは知っていましたが(むしろそれを知っていたのでここに来ているのですが)、にんじんが並ぶだけのマーケットは寂しいな。男性たちが屯(たむろ)するあたりに、2人ほどコテカ1つだけを見につけるおじさんを見かけました。
同じ車に乗っていた家族が歩く方向へ、私たちも一緒に歩きました。道は舗装されていて、苦なく歩けます。マーケットが賑わうのはきっと今からなのでしょうね、同じ方向に歩く人よりも、すれ違う人の数のほうが圧倒的に多くて、4人のコテカおじさんともすれ違いました。
ちなみにペニスケースがぶらんぶらんしないように、しかもキリッと上を向くように(これ大事なことなのかもしれない!)、コテカの先っぽは胴体にくくりつけてあります。歩いていてついすっぽ抜けたりしないんでしょうか。また精嚢に細いヒモをくくりつけてペニスケースを固定して、歩くときに足を動かしたら擦れないんでしょうか。痛くないんでしょうか。
今日まで10人弱のコテカおじさんと出会ったものの、その全員が高齢者でした。若い人はこんな格好していません。これは明らかに地球から消えていく姿と言えるでしょう。こんな地域は平均寿命も短いでしょうから、私たち高齢者大国の日本人が想像するより遥かに早く消失のときが来るのではないかと思います。
村の市場に到着~。のどかな畑の風景を見ながら歩けて、楽しかったです。市場では女性が細々と野菜などを売っていました。少し休憩をして、もっと歩くことにしました。舗装道路が切れるところ、すなわちクリマの村が終わって次の村に入る地点まで行きました。はいここが折り返し地点~っと。
折り返して、1人の老婆とすれ違った。ぎこちなく手をふってくれた。いったんは通り過ぎたけれど、・・・その手には、・・・・・・がなかった。すぐには認識できなかった。通り過ぎた。
和人と会話して、気づいた。
英語ガイドブックの説明しか読む本がないので、詳しいことは帰国したら民族学博物館にでも行って蔵書を見たいなと思うのですが、とりあえず今持っている知識としては、ダニ族の女性は、
1)身内が1人死んだら指を1本切り落とす(第二関節上での切断)。
2)本当に近しい親族が死んだら、泥と粘土を鼻や口に詰めて自分も窒息死する。
3)今はその風習は政府より禁止されている。
となっています。政府がどうのこうの言ったって、こういう土着的な民族集団では法律なんかより伝統のほうが遥かに大事だったりするから、今もその習慣が残っている地域もあるでしょう。ないのかもしれません。そこは分かりません。
でも、ペニスケースの男性よりも、「身内が死んだら1本ずつ指を切り落とす」慣わしを見たときのほうが、ぞくっとした。
振り返って追いかけて(50mくらいです)、その老婆の写真を撮らせてもらった。
これだけ旅をしていても、今日ほど衝撃的な1日など、そうそうない。
おばあちゃん・・・、長生きしてね。 ありがとうね。
本日の旅
行動 :クリマ日帰り観光
朝食 :ウピゴレン(芋の天ぷら)、サユルゴレン(油揚げの中に春雨と野菜炒めを詰めたものの天ぷら)、ピサンゴレン(バナナの天ぷら)/ワメナの路上
昼食 :ピサン(バナナ)/クリマの食堂
夕食 :ブレナンカ(ジャックフルーツのココナッツカレースープ)、ダウンシンコン(ゆでキャッサバ葉)、nasi pecel lele(ナシプスルレレ、ごはんとナマズフライ)、nasi ayam goreng(ナシアヤンゴレン、ごはんとフライドチキン)/ワメナの食堂
宿泊 :ホテルスリカンディHotel Srikandi
旅情報
1ルピア=0.01円
*コテカをつける人の撮影
観光客が来るところほど、写真撮影に対してお金を払うシステムができている。ワメナの町でコテカをつける人の写真を撮る場合の相場は10000ルピアだそうだ。トレッキング拠点にもなるクリマ(本日の日記)では1人10000ルピアを要求する人もいたが、そうでない人と交渉したら2000ルピアでOKだった。明日訪問するキンビンはツーリストがあまり来ない村で、お金を払わずに写真を撮れている。
*クリマへの行き方
ワメナの町から離れるように空港の滑走路沿いの道を歩き、滑走路が切れた地点の次の交差点を右折してしばらく歩くと、ミニバス乗り場が見えてくる。「スゴクモ方面」のミニバスに乗る。1人15000ルピア、所要40分。クリマの村の手前の川岸が終着なので、村まで行くには川を渡って徒歩30分。火曜日と金曜日はミニバス終着地点でマーケットが開かれており、コテカをつけた人も見られるだろう。