2人の世界旅 日々の記録

4年3ヶ月、1日も欠かさず綴った旅日記
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グリーンランド>2009年06月18日(Thu)
★クルスク
:: 旅770日め : 世界旅125ヶ国め : 和人219ヶ国め : あづさ144ヶ国め ::

■素晴らしきイヌイット村体験が続きます
すごく晴れてる!!!

ヤッター、こうなったら写真撮り直しよっ(*^.^*) 青い空だから海は青い。海が青いから氷山が美しい! 島の端までお散歩し、岩山を登って海峡を広く見渡しました。

実はね、昨日アザラシ料理をごちそうしてくれた家で、アザラシ漁やアザラシ解体の写真を見せてもらっていました。極北の民の伝統の生業(なりわい)に、すごく素敵だなーと感動していたら、ユシュトゥシュおじさんは、「明日12時にうちにおいで」と言ってくれました。

さて、12時です。

仕事を終えて帰宅したおじさんは、庭にあるアザラシを解体しています! 片手にナイフを持って、サクッサクッという感じで、手際よく鮮やかにアザラシをさばくのです。その動きに無駄はありません。

匂いを察知したか、周辺の犬がキューンキューン鳴いてうるさいの。内臓は「ドッグフード」と言ってバケツに放っていきます。

・・・そう、冬は犬ぞりが移動手段かつ狩猟手段となる人々ですから、犬は大事な大事なものなのです。アザラシも、もうちょっと頑張ればいろいろな部位が食べられそうですが、そういうことはせず、かなりの部分を犬のエサとして残すのですね。

そしてユシュトゥシュは、ドライミート(アザラシジャーキーってやつですね)を作るために赤身の肉を削ぎ切りにして網の上に乗せていました。

2頭の解体が、終わりました。
家に入ると、昨日のエルセママに、コリニウスくん、ディテちゃん、ライラちゃんと、家族が集まってお昼ごはんの準備ができていました。子供達は学校帰りです。

イヌイット

今日の昼食。
「アディシャハ」・・・日本で言う干ダラと同じか良く似たものです。塩味はありません。
「アマチャ」・・・日本で言う干しシシャモと同じか良く似たものです。塩味はありません。
「コヨ」・・・船に乗って本土に行き、山の中まで行って採るという、ほろ苦い花の芽。
「インニャク」・・・アザラシの脂(液体)。

彼らの、本当の日常食がここにあるのだろうと思いました。干した魚をドボンとインニャクに浸して、たっぷりの脂と共に食べます。コヨはおそらく採ったそばからインニャクに漬けてあるので、緑が鮮やかで、ビタミンが失われていません。

何を食べるにも、インニャクをたっぷりつけて食べるのです。だって彼ら、イヌイットだもの。アザラシの脂は貴重なカロリー源に間違いありません。

インニャクは、くせがなく(少ーし魚油風味?肝油風味?がする程度)、しかも健康に良いn-3系不飽和脂肪酸の宝庫! イヌイットは心筋梗塞等での死亡率が大変に少ないのは、この脂のもつ脂肪酸組成のおかげと言われています。

ちなみに、彼らは、かなり贅沢に魚の身を残します。日本なら例えば「お茶碗にごはん粒を残してはいけません」と教えるように、食べ物をできるだけきちんと食べるのがルールです。でもイヌイットは、例えばアマチャ(干しシシャモみたいなもの)なら、頭を落として、ヒレは肉つきで落として、内臓も肉つきで落とす・・・全体の半分くらいしか食べないんですね。

昨日もそう。鍋に残った料理は、たっぷり残っていてもきれいにゴミ箱に入っていくの。

食べ物を、残すのは、彼らの生活を支える犬のため。
これぞ、イヌイットの暮らしの大事な要素なのです。

さて私たちが、イヌイット料理を美味しく食べていたら、ユシュトゥシュおじさんが「ユリア(昨日晩ごはんを食べた2軒め)が、アマチャ(シシャモ)の料理を用意して待ってるよ」ですって(^^ゞ

私たちは次にユリアおばさんちに行って、今度はフレッシュなアマチャを塩ゆで(日本の潮汁のような)にしたものをたっぷりとごちそうしてくれたのでした。

さて、ユシュトゥシュおじさん、プトゥおじさん(今いる家のおじさん)、そしてコリニウス君(ユシュトゥシュの息子)は、今からアザラシ漁に出るのだそうです。まだ小学生?のコリニウス君も、こうして、アザラシ漁を覚えていき、親は息子にきちんとアザラシ漁を伝えているのだということが分かりました。

私たちはまだテントを張ったままだったので、昨日の約束の通り今日はこの家に泊めてもらうことから、いったんテントに戻って、絶景の流氷群をもういちど眺め、ユリアおばさんちに戻りました。

今日の夕食は、採れたてのムール貝です。なんと氷山の氷で、凍っていたのか、半解凍状態です。これもイヌイットの知恵だと思う。例えば北海道料理のルイベ(半凍結のサケの切り身)は、凍っているからこそ寄生虫の心配がないのですよね。貝を半凍結状態で食べるイヌイットも、そういったことを知っているのではないかと思いました。

イヌイットの家に滞在できるなんて、考えられないことが現実になりました。とっても不思議な感じです。相変わらず大人の皆さんはいつもトランプをして、短い夏の長い昼を楽しんでいました。
本日の旅
行動 :クルスク滞在
朝食 :パン、ラズベリージャム/流氷が見える岩盤の上
昼食 :アディシャハ(干ダラのようなもの)、アマチャ(干しシシャモ)、コヨ(ほろ苦い花の芽のアザラシ脂漬け)、インニャク(アザラシの脂、液体)/エルセママの家、アマチャ(新鮮なシシャモの塩煮、ゆで汁はスープとして)、ビスケット、コーヒー/プトゥおじさんち
夕食 :アマチャ、アディシャハ、アンマカ(アザラシの脂(固形))、キリラ(半凍結ムール貝)、紅茶、ビスケット、ソーセージ、サラミ、パン、コーヒー/プトゥおじさんち
宿泊 :イヌイットの家

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旅情報
1クローネ=18.2円

*クルスクのスーパーマーケット
クルスクには1軒のスーパーマーケットがあるので、食糧なしで訪問してもまず大丈夫だろうと思う。品数は多くないが、スーパーで直に焼いているパンなどもある。クレジットカード払いができる。