2人の世界旅 日々の記録

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セネガル>2007年12月03日(Mon)
★カオラク→クールアイーブ→メディナサバー→ルイエン→シンンガイエン
:: 旅207日め : 世界旅42ヶ国め : 和人214ヶ国め : あづさ63ヶ国め ::

■アフリカのストーンサークル
セネガルには世界遺産として登録されている場所が幾つかあります。その1つに、“セネガンビアの環状列石”という、セネガルとガンビアの国境地帯に点在するストーンサークル群があります。ストーンサークルといえば世界的に英国が有名で、私たちもオークニー諸島やフェトラー島でストーンサークルを見てきましたが、そういった文明跡をアフリカで見られることは大変興味深いですよね。

ガンビア側にあるストーンサークルはアクセスも容易でガイドブックにも行き方が載っているのですが、今回私たちは、セネガル側にあるストーンサークルを訪問しようと試み、昨日カオラクKaolackに移動してきたのです。こちらは対照的に十分な情報が無いのだけれど・・・。

■ガイドブックにない村へ
カオラクのガールルティエール(バスターミナル)で、「メディナサバー?、メディナサバー?」とドライバーに声をかけます。そうして「この車に乗れ」と言われた乗り合いの車に乗り、約3時間ほどセネガルを南下したところで、ガンビアとの国境の町クールアイーブKeur Ayibで降ろされました。

・・・もう、この感覚が久しぶり! 嬉しくてたまらない!

本来、ガイドブックを追いかける旅といったことが苦手なあづさです。旅は、夢を見る土地へ向けてさすらうように身をまかせてこそ旅、と思う気持ちが心の底のどこかにあるのです。だから、今日のように、夢見る行き先へ向けて自力で行き方を探り当てながら、「次はどんなところで降ろされるんだろう(ドキドキ)」といった湧き上がる気持ちと共に旅をしたいのです。今日の感触は大変にそれに近く、そしてどこか懐かしく、久々に“旅をしている”という気分にくすぐられる心地よさがありました。

でもその分苦労もいっぱいあります。先が見えないし、行くところがどんなところかすら分からないのですからね。

さて、クールアイーブからメディナサバーMedina Sabakhへは乗り合いの馬車に乗って移動するそうです。セネガルも田舎は田舎に来ているのか、馬車が主たる公共の移動手段となっているのですね。馬車は乗り心地は良くないし、ムチでたたかれる動物を見ることは好きではないけれど、これがこの町の姿なのだ、と言い聞かせながら、20分ほど馬車に乗ってメディナサバーの町に到着しました。

ストーンサークルがある村は、シンンガイエンSine Ngayeneと言います。メディナサバーまでは手持ちのミシュラン地図(縮尺1:4,000,000)に載っていますが、シンンガイエンなどは到底載っていません。似た名前のンガイエNgayene行きの乗り合いの車を見つけますが、同乗者が集まらず、かなり長いこと寝て待ったあとの夕方、ようやくその乗り合いバスが発車しました。しかし、車内で高い荷物運賃料 -荷物代の請求が、15kgほどのバッグに言い値は人間3人分以上、交渉しても人間と同じ料金にまでしか下がらず- を依然要求され続け、それを拒否したら何もないところでケンカ別れのように降りる結末になってしまいました。・・・やばいなあ・・・まわりに何もない、どうしましょ(T_T)

畑のおじさんに、シンンガイエン村への行き方を聞いたら、道の先を指差し、ルイエンという村を越えた先にあると教えられました。もうまもなく日没という時間帯での移動は恐いのですが、それでも引き返したって途中で日没となるでしょうから、私たちは目的の村を目指すことにしました。

荷物を持って歩き、途中ヒッチ馬車。ルイエンの村を通り、再び歩き、ヒッチ馬車・・・途中同じ方向に歩くおじさんに出会えたからこそ分岐も間違わずに、シンンガイエンの村に到着しました。時刻は18時をすぎていて、もうまもなく日没!というタイミングだったから、観光にはぎりぎりセーフです。

■シンンガイエン村のストーンサークル
“ストーンサークル”は英語なので当然誰にも通じません。フランス語だったら“ピエールセルクル(石の輪)”かなー?と尋ねても、うまく通じません。絵を描いて見せると分かってくれ、現地の言葉は“ジャレンベレ”ということもそのとき教わりました。そして、おじさんに村の端にあるジャレンベレに連れて行ってもらい、夕刻の素晴らしい色の光が当たるストーンサークルを、写真に撮りながら見納めることができました。

シンンガイエン村のストーンサークル

「今日の夜、どうする・・・?」

・・・当然次に出てくる会話は、これです。

水だけもらって歩いて、暗くなったらテントを張るしかないかとも考えましたが、テントを張れるような場所の心当たりもありません。村のおじさんに「エスキリヤカンプマン?オーベルジュ?ウーオテル?」(ここにはキャンプメント、宿、それかホテルはありますか?)と尋ねると村の一角に連れていかれ・・・言われた通りに座って待っていると陽気な村長がやってきて、「学校に泊まっていきなさい」と言ってくれます。更に待っていると、珍しい来客の噂が広まったのか、村の人々がぞろぞろ集まり・・・なんかすごいことになってきたよ。

そうそう、世界遺産の遺跡があるところに行ったら、たいていの場合は「金をくれ」「物をくれ」という物乞いにつきまとわれたりしますよね。でもこの村は違います。アクセスが困難なこの村はガイドブックにも名前すら載っておらず、観光客が来るような雰囲気はありません。でもその分人々がとても優しいのです。

いつもなら「アメちょうだい」と手を差し出されるような場面でも、今日ばかりは、少年があづさに「アメあげる」と言わんばかりにミントキャンディーの乗った手を差し出すのです。・・・お店もないこの小さな村で、その甘いアメは貴重でしょう? 「ジャレジェフ」(ありがとう)の言葉とめいっぱいの笑みで、少年の気持ちを受け取りました。

おばさんがくれた山盛りのピーナッツを食べながら待っていると、学校の先生が鍵を持って現れてくれました。サンバ先生という男性は、私たちにとっては幸いなことに英語も話せました。学校の先生が寝泊りする部屋を私たちの寝床にしてくれるとのことです。質素な作りの建物は、室内も床が砂地です。そして部屋にはマットとシーツしかありません。虫も蚊もいるところですが、見知らぬ村にやってきて、そんな異人のような私たちをこんなに暖かく迎えてくれた心は、最高に嬉しいものです。

この村には、電気が流れていません。また、水がありません。遠くから水を運ばなければならないという話を聞いたとき、ショックを受けたその理由・・・だって、人が定住する集落は、水のあるところにできるものだと思っていたから・・・。でも、私たちに、質素ではありますがお腹が満たされるほどの夕食をもてなしてくれ、そして甘酸っぱいビサップのお茶も、食後のお茶アタイヤも、何もかもが美味しくて、夜が更けるまで、村の人々との交流は尽きませんでした。

サンバ先生は言いました。「この村に泊まる人は、今まで車で来たフランス人が1回。歩いてきたのは君たちが初めて。」

夜は電気がないから真っ暗です。空は満天の星、興奮に眠れないのか寄ってくる子供たちと遊びながら、またお茶をいただきながら大人たちとも交流を続ける夜。

「これぞ、旅」・・・すがすがしくそう思わせてくれる1日は、心から満足の1日です。
本日の旅
行動 :カオラクからシンンガイエンへ移動、シンンガイエンのストーンサークル観光
朝食 :ボラシャ(カーボベルデの厚ビスケット)、コーヒー/宿
昼食 :チャブジェン(赤いトマト炊き込みライスに揚げ魚と野菜(マニオクカボチャナストマトキャベツ赤辛ピーマン黄苦ピーマン緑ビサップ)の赤い煮込みをかけて食べる)/メディナサバーの食堂
夕食 :チェレ(ミル(麦)を砕いてふかしただけのもの)にミャウ(自然な甘みのミルク)をかけたもの/シンンガイエンの路上
宿泊 :学校の先生が寝泊りする部屋

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旅情報
1セーファーフラン=0.25円

*世界遺産「セネガンビアの環状列石」
「セネガンビアの環状列石」は、セネガルとガンビアの両国にまたがる“セネガンビア地域”にあるストーンサークル群である。約4万平方kmに多数点在するうち、世界遺産に登録されているものは次の4つ。(1)ワッスWassu(ガンビア)、(2)ケールバッチKerbatch(ガンビア)、(3)シンンガイエンSine Ngayène(セネガル)、(4)ワーナーWarnar(セネガル)。

*シンンガイエンのストーンサークルへの行き方
セネガルの首都ダカールから、カオラク経由でガンビア国境のクールアイーブまでは、バスや乗合タクシー多数。
クールアイーブから乗り合い馬車でメディナサバーまで100セーファーフラン。
メディナサバーからンガイエンまで乗り合いミニバスで300セーファーフラン。
ンガイエンから徒歩1時間でシンンガイエ村に着く。
(私たちはンガイエンとシンンガイエンの分岐で降ろされンガイエン村を経由せずにシンンガイエンへ到着した)。

帰りは、火曜を除く毎朝1本7時発で、シンンガイエンからクールアイーブまで直行ミニバスもあるらしい(500セーファーフラン)。私たちは訪問したのが月曜日、つまり帰りが火曜日だったのでその直行バスがなかった(涙)。だから歩いて1時間でンガイエ村まで行き、そこから乗り合いミニバス(300セーファーフラン)、乗り合い馬車(100セーファーフラン)でクールアイーブまで戻り、ガンビアへ入国した。