2人の世界旅 日々の記録

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セントヘレナ>2008年09月02日(Tue)
ローズマリープレーン→ジェームスタウン→セントヘレナクルーズ船
:: 旅481日め : 世界旅74ヶ国め : 和人215ヶ国め : あづさ95ヶ国め ::

■セントヘレナの旅を終えて
今日の行動。
 9:34 パブリックバス乗車
 9:56 ジェームスタウンJamestown下車
 10:57 クルーズ船に乗る

私たちは、この素晴らしいセントヘレナとお別れしました。

名前は聞いたことがあっても、どこにあるのかなかなか知られない国。
アフリカの遠い沖に、アトランティックな海の孤島として、英領のその国はありました。
ここは「ISO 3166-1」(ISO=国際標準化機構)において国コードが規定されており、ガバメント(政府)をももっています。

正直、この国への訪問を達成することで、犠牲になるものもありました。簡単に言うと、高いクルーズ代と、時間です。

でも、そんな葛藤を薄れさせてくれたのが、「テラスノール」、高齢の夫妻ボビィとダルシーが愛をこめて管理するお宿でした。

朝起きたら丘と丘の間から青い海が見える。
静寂でも寂しくないのは、鳥の声、遠くの畑の音、そういった、天然素材的な音があるから。
晴れたら、如何様にも歩けるトレッキング、ハイキング。
歩くのが大好きな和人は、特に喜んでいたっけ。

あづさはというと、丘を歩くのもいいんだけど、小麦粉とイーストがあればパン作りも楽しい、そんなインドアな面も持っているから、何と言っても、「暮らすように旅をする」「旅するように暮らす」この家での滞在はとても自分に合っていました。

なんかね、小ぶりの家で、きれいで新品の家具に囲まれて、使い慣れないキッチンや調理道具でとまどいながら料理をするのが、新婚さんのようで、嬉しかったんですよね。

日本だと、暮らしは自然と離れがちです。

生ゴミはビニール袋に入れて、ゴミ回収の日まで屋内に置いておく。忙しい日ばかりで、なかなか時間をかける料理を作れなかったり、家事にも手間をかけられなかったり。働いていたから、そういうものだと思ってしまったりも、していた。

パン粉やごはん粒が床に落ちたら、それは燃えるゴミ、行き先はそこだけ。
窓の外だって特に素晴らしい風景があるわけでもなく、食事は、いつも同じ屋内。

ホント、日本だと、暮らしは自然と離れがちですよね。

でもね、この「テラスノール」は、まるで理想郷。

明るい使いやすいキッチンに、2人がけのテーブル。ここが一番居心地が良いんだけど、晴れて海が見えるときは、お料理を屋外テラスに運んで、ワインをキュッと開けたりしていました。

すがすがしい空気に嬉しくなっては台所の床を掃き、そのチリトリはテラスにポンと置いておくのです。やがて、この家に慣れ親しんでいる番(つがい)の野鳥が、チリトリに集まったパン粉やごはん粒を食べにやってきます。これがとても素晴らしいこと。

この島と、この家は、自然と共に暮らすことがどれだけ素晴らしいか、その一端を教えてくれました。



最後のお別れの日の朝、ボビィとダルシーと4人でバスを待っていました。ダルシーが「Have a nice journey」と言ってくれ、続けて「これは日本語で何と言うの?」と聞いてくれました。「よいたびを」と私たちは答えました。

ダルシーとはバスを乗るときにお別れし、80歳を越えるボビィと3人でバスに乗りました。

用のある場所へ向かうため、途中でバスを降りるボビィ。

窓越しに立つ彼は、微笑みながらバスが出るまで私たちを見ていてくれました。そして -あまりよく聞こえなかったけれど- 小さく私たちの耳に、「ヨイトビワ」、みたいな彼の声が届きました。彼の「Have a nice journey」、ボビィは、優しく優しく微笑んでいました。初めて聞く日本語は難しいのに、何十分も忘れずにいてくれた、・・・家を出るときは、「次は、お金いらないから、またおいで」と言ってくれた優しさと重なって、涙がじわんと出てしまった。

「テラスノール」があまりに暖かいところで、セントヘレナの国土がどこをとっても素晴らしいところで、和人は今でも、「やっと、住みたいと思える国を見つけた」と言っています。

「ヨイトビワ」と、ボビィが優しく言ってくれた私たちの旅は、いつまで続くでしょう? でももし再び、セントヘレナへ行けることがあれば、ボビィとダルシーが元気で今と変わらないうちに、訪れたい。

テラスノール

この写真を見ると、また会いたい気持ちが募って、涙が出そうです。

本日の旅
行動 :セントヘレナからクルーズ船に乗船
朝食 :野菜炒め乗せエビラーメン、コーヒー/宿
昼食 :パン、Gaspachio(トマトきゅうりにんにくミキサーの冷たいスペインスープ)、Ox Tongue(舌の上でとろける牛タンソテー)、Thick Cut Potate Wedges(くし型ポテトフライ)、Cut Corn and Peppers(コーンソテー)、Roasted Aubergine(大きなナス輪切りのとろとろソテー)、Pineapple Fritters(パインフリッター、バニラアイス、メープルシロップ)、ポテトサラダ、キャベツにんじんコールスローサラダ、ミックスピクルス、チーズ各種、オニオントマトレタスきゅうり、ツナサラダ、卵サラダ、コールドミート各種/セントヘレナクルーズ船
夕食 :パン、Duck Livers and Cashew Nut Terrine(グリーンペッパーとカシューナッツ入りフォワグラテリーヌ)、Chicken Noodle(野菜と短いパスタ入りチキンスープ)、Roast Pork Loin(ポークステーキ皮パリのアップル&グレービーソース)、Byron and Monsolette Potatoes(じゃがいもスライスときのこのクリーム絡め)、Braised Red Cabbage(蒸し赤キャベツ)、Red Berry Mousse(ベリーのムース、生クリーム添えチョコレートシェーブがけ)、Coupe Montage(コーヒーアイスにオレンジリキュールソース、生クリーム、ワッフル)/セントヘレナクルーズ船
宿泊 :セントヘレナクルーズ船RMS St.Helena

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旅情報
1ポンド=221円

*セントヘレナの出国手続き
入国よりも審査・検査は楽で、パスポートにスタンプをポンと押して、乗船荷物をX線検査機に通すだけ。出国カードのようなものも書かなかった。