:: 旅265日め : 世界旅52ヶ国め : 和人214ヶ国め : あづさ73ヶ国め ::
■クタマク、バタマリバトレッキング
そこはタンベルマの谷Tamberma Valleyにある、クタマクKoutammakouと呼ばれる土地、バタマリバBatammariba人の住まう土地。
私たちは昨夜、バッサンバBassambaの村で、タタtataと呼ばれる、世界に類を見ない、独自の複合家屋に宿泊できるという、非常に幸せな体験を得ることができました。
質素ながらもお腹がいっぱいになる朝食をいただいたら、今日は、いよいよベナンへ向けての道のりを歩きます。
マリの旅では、ドゴントレッキングを体験していますが、それは最小限の荷物で身軽な歩きだった・・・。でも今日は、旅の全ての荷物を背負って、歩かなければなりません。私たちはもうトーゴには戻らず、次の国ベナンへ抜ける予定でいるためです。
朝10時、トレッキング開始。
1時間ほどしてワテルマWartermaの村につき、井戸水を飲ませてもらいました。路上で現地の伝統的なお酒である「バナ」を飲んだので、元気復活です(*^-^*)
クタマクの中心地であるナドバNadobaに到着したのは、丁度お昼どきでした。ここまで10km歩いたから、もうへとへとーーー。ところで今日は水曜日で、ここナドバで、バタマリバ人の集うマーケットが開かれる日なのです。賑わうマーケットでお昼ごはんを食べて、マーケット内を散策したら・・・、驚くことに、そこは、他のマーケットでは見たこともない、巨大な酒場の集合体だったのです。
酒場は、どこもかしこも人でごった返しています。そして老若男女の全員が、伝統的なお酒である「バナ」を飲んでいます。バナ(別名チュクトゥまたはチョコト)とは、ミル(麦の一種)を砕いて水を加えて発酵させた、彼らの命の水とも言える、伝統的なお酒。
嗚呼、きっとこの光景は、何年も何十年も変わらないのでしょう・・・ただ一点、彼らの服装を除いて・・・。
■失われた裸族、今も生きる裸族
古えより、バタマリバ人は、裸族として生きてきました。しかし1970年代に入り、フォトジャーナリストの撮った写真が世間に広まるようになり、次第に彼らは服を着るようになってしまいました。
その影響が強く残っているのでしょう、カメラを向けられることに、非常に嫌悪感を感じる・・・というよりも、カメラを向けられるとそのフォーカスエリアから身を隠す人が多いのも、特徴だと思いました(もちろん、カメラに嫌悪感をもたない人も大勢います)。
(※今まで他国では、カメラに嫌悪感をもつ場合、ダメダメといった素振りでカメラを“とがめ”、拒否する人が多いように思います。でも今回は、カメラを“とがめず”自分が身を隠すという行為があり、今までとどこか違うのです)。
もと裸族である彼ら。胸をはだける女性が多いのも、その象徴でしょう。更に特筆すべきは、高齢の女性だけが、唇の下に穴を開けて牙を刺している点です。非常に珍しい、大変に独特な文化と思います。そして、高齢の人だけがその姿をしているということは、彼女たちが没した瞬間がその文化の終焉となる、まさにそれは、“アフリカから消え行く姿”。
下の写真は、広大な酒場の一角。右下の2人のおばあちゃんに、唇の牙が・・・。
今回の旅で、最もタイムスリップを感じたのが、ナドバの水曜市でした。
何年も何年も、市が開かれる日にはお酒を飲みながら集い、語り合う彼ら。
何十年も前は、みんなが裸で、でも今私たちが見ているのと同じ光景のように集っていたことでしょう。それは、ひょっとしたら、何百年も前から、この場所で、集い、語り合っていたのかもしれない・・・。そうそう、女性は、唇に、牙を刺しながら・・・。
あづさが夢の土地と思って、和人と2人で歩いてきた、クタマクの地。
そこは、古代裸族が今を生きる、地上の別世界、“異世界”の連続でした。
他の人類と同じ大地に生きながら、まるで彼らの精神社会は、他の人類とは違う高さ、違う階層を生きているよう。
私たちは、ナドバを出たあと、更に5km歩きました。いつのまにか国境を越え、隣国ベナンの、ブクンベBoukoumbeの村に到着していました。
■クタマク、バタマリバ人の地のトレッキングを終えて
いつからだろう いつの間にか 行きたい行かなくちゃと 思っていた
世界遺産名は 『クタマク、バタマリバ人の土地』
でも世界遺産かどうかなんて 心から湧き上がる行きたい気持ちには 関係ない
移動手段がなくたって 私たちには 歩く足がある
そのほうが 彼らが住まうのと同じ目線で夢の土地を見られるから なお 良い
“ 陸 の 竜 宮 城 ”
あづさが素直にそう思った泥の館タタは その大きさ以上に大きく見えた
竜宮城で出会うすべての人との出会いが 旅 だった
なんとも 服の着心地が 悪そうよ
だから 裸族としての精神社会は いまだ彼らの中に生きているのだろう
そして人々は 貝の装飾を 皆 誇らしげにまとう
“ナドバの水曜市”
酒場ばかりが集まる そこはバタマリバ人の社交場
おばあちゃん 唇の下は なあに?
涙が出てきた
おばあちゃんは 唇に穴をあけて 牙を生やしていた
西アフリカの旅で それほどに美しい女性に逢えるなんて 思っていなかったから
「おねがい おばあちゃん 死なないで」
「若い女性は牙を生やしていないよ? だからおばあちゃん 死んじゃいやだよ」
そして
“おばあちゃんが死んじゃったら その姿が 地球から なくなっちゃう”
そう思ったとき 次の涙が 出てきた
酒場では 人がみな 同じお酒を飲んでいる
穀物と水から作ったそのお酒は 何十年も何百年も 彼らの命の水なのだろう
そう思って目をつむると 同じ軒下で 同じ石に座る彼らの姿が
裸族がみな 同じ色の肌を寄せ合ってお酒を飲む姿が
どうしよう ありありと目に浮かぶ
こんなタイムスリップ はじめて
目をつむるだけで 何百年も前の姿が見えるなんて はじめて
クタマク そこはバタマリバ人の土地
例えばマリのドゴントレッキングは 貴方の旅の興味に合うでしょうか?
もしYESなら ドゴン村の家よりもっとすごい家 タタがここにあります
例えばエチオピアのムルシ族 唇に皿をはめる民族は 貴方の旅の興味に合うでしょうか?
もしYESなら ここには唇に牙を生やす女性が 静かに生きています
観光客があまり来ないその土地は 居心地 空気 人 何をとっても 心満たされることばかり・・・!
和人が言った言葉 「ドゴンよりすごいよ」
あづさが言った言葉 「エチオピアよりいいよ」
あづさは こんな夢のような旅を終えた今
ここクタマクの土地は 西アフリカ最大の 夢が見られる旅の地と 確信しています
目をつむると 今でもありありと目に浮かんでしまう
バタマリバ人の集う声 飲みかわす音 止まぬざわめき 古来の姿
「消え行くアフリカを見たい」
そう思ってアフリカへ来るために頑張ってきた今までのすべてが
この土地で燃え尽きてしまうんじゃないかと思うほど
この旅は “ 地 上 の 異 世 界 ” は 心を揺さぶりました
バタマリバトレッキングを終え この日記を書いている今 心は熱く
私は 今も 泣いています
本日の旅
行動 :バッサンバ村からブクンベ村までトレッキング、ナドバ観光、トーゴからベナンへ移動
朝食 :ゆでヤム芋に塩と油をかけたもの/バッサンバ村
昼食 :カッファ(プチヤともいう、精製とうもろこし粉をなめらかに溶いて加熱して冷却し、ゼリー状にしたもの)にプンツ(プンティともいう、緑色ビサップのような野菜の入ったピーナッツソース)をかけて食べる、バオバブのジュース、ティトーティー(ミル(麦)の粉をお湯に入れて混ぜたおかゆ、砂糖を加えて食べる)/ナドバのマーケット
夕食 :イモク(ガーナのワチと同じ、豆とごはんの炊き込み)にヤトゥナ(湯葉と厚揚げの中間のようなチーズ)の入ったディナカニ(トマトベースの辛味あるシチュー)をかけて食べる、サラダスパゲティ/ブクンベの路上ごはん屋
宿泊 :ミシオンカソリックMission Catholique
旅情報
1セーファーフラン=0.25円
*小さなタンベルマ語
バタマリバ人は独自の言語をもつ。トーゴ側のクタマクでも、ベナン側のブクンベの村でも通じた。同じ民族なのだから当然ですね。この地方を旅するなら、是非!
こんにちは --- アイエナ
こんばんは --- アトゥナ(昼間でもアトゥナと言う人も多い)
ありがとう --- ラプトムン
good! --- ダウエニ
very good! --- ダウエニバサ
さようなら --- ラティソワ
この名前は何ですか? --- バイユンナトベ?
(nameはアユトゥリーという))