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2023年冬オーストラリア»26日目 プンカリー-マンゴ国立公園
タスマニア州、ビクトリア州、南オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州
2023年03月01日(Wed)
26日目 プンカリー-マンゴ国立公園
朝起きてダーリング川を見ようと川に出られる場所を探したが、どこも乾きかけの泥で埋まっており、川には近づけない。釣りで人気のキャンプ場なのに岸に出る道がことごとく埋まっているのだ。
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朝食はパン、チーズ、コーヒー、ブドウ、洋なし。ワイナリーでいただいた果物が毎日食べられ、ありがたい。
10時に出発。30キロほど昨日来た道を戻り、そこからは未舗装道を東に進む。赤土の道はアウトバックのイメージそのものだ。少しでも雨が降ると二輪駆動車では走れなくなるので、事前に何度も道路コンディションを確認している。最近は晴れ続きとはいえ、砂の浮いたダートの運転は初めてで、最初は少しビビっていた。しかし走ってみるとメチャメチャ楽しい。スリップしてタイヤが流れても砂道なら自然に立ち直るようで、慣れると全く怖さがない。元々運転は好きでないのだが、初めて運転が楽しいと感じる。こんな道なら一日中運転したいと思ったほどだ。
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未舗装路を半分くらい来たところで世界遺産ウィランドラ湖群地域に入る。干上がった湖群で、今はほとんど水はない。看板の辺りから道路は湖を横切っているが、どこから湖底なのか注意深く見ても違いは分からない。
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世界遺産登録地域の中心部にあるマンゴ国立公園(Mungo N.P.)の入り口には11時40分に到着した。公園内をぐるりと回るドライブコース(看板のオレンジ色)が人気だったが、数年前に洪水で道が崩れ、そのまま一周コースは閉鎖されている。この最初に見た看板には閉鎖を書いていなかったので復旧したのかとちょっとだけ期待した。
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1キロほど進んで、周回コースに合流する。左側はやはり通行止めになっている。事前に分かっていたことではあるが、公園入口の看板に張っておけよとは思ってしまう。
周回コースで何度か野生のスイカを見かけた。
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周回コースの道は狭いが、一方通行なので安心して走れる。ガタガタしたところもなく、整備された道。
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ザンチ農場跡(Zanci Homestead site)は、牧羊農家の跡で、毛刈小屋や貯水タンク、煙突などが見られる。印象に残ったのは地下の生活空間。暑い日差しを避けて人は地下で暮らしたようだ。
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さらに進むと緑の大地と青い空の間に白い線が見えてくる。昔の湖岸で、今はチャイナウォールと呼ばれる名所となっている。草原にはカンガルーやエミューが時折姿を現す。
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エミューの大群がこちらを見てくるので、車を停めて観察をする。ひときわ大きなエミューがリーダーで、他はリーダーの指示に従って動いている。
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近寄ってくるので面白いなーと思っていたら、道路を横切りたかったようで、急に走り出して集団で道路を横切って行った。渡り終えると集まり、ゆっくりと遠ざかっていく。
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12時半にビジターセンター到着。係員はおらず、入場料はインターネットで支払うか、現金を備え付けの封筒に入れて支払うか。カード払いの方が良いのでインターネットで支払った。資料館の展示物を見学し、建物の裏にあったきれいなバーベキュー台でパンをトーストし、昼食にする。
周辺道路の通行可否の状況を示す紙が掲示してあったが、ブロークンヒルやウエントワースの観光案内所で見たものと同じでひと月前のもの。案内所なら最新情報を聞けるが、ここは無人なのに困ったものだ。赤文字の通行止め道路がかなり多く、いずれも洪水の影響。ブロークンヒルからプンカリーへの道もクローズで、我々もかなりの遠回りを余儀なくされたのだった。この表は4輪駆動前提なので、2輪駆動だと閉鎖していない道でも通れないことがあるのが怖いところだ。
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昼食後はチャイナウォールの方に向かう。近づくと走っているのが湖底で湖岸の壁がチャイナウォールだったのいうのがなんとなくわかる気もしてくる。
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チャイナウォールを登り、レッドトップルックアウトまでやって来た。上から見ると湖の範囲が少しは分かる。崖になっている部分は水で削られ、地形生成のモデルみたいになっており、見ていて飽きないおもしろさだ。
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ここから先の周回コースは通行止めだ。数年に渡り通行止めで、工事の車が通る様子もない。
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同じ道を戻り、チャイナウォールに近いピクニックエリアに立ち寄る。車を停めて遊歩道を進む。途中面白い模様のトカゲがいた。
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この辺りで2万年前の遺跡が多数発掘されている。人類最古の火葬された女性の骨なども見つかり、ウィランドラ湖群地域は、単なる自然遺産ではなく、複合遺産として登録されている。数年前まではここも自由に歩けていたが、現在はガイド付きツアーに参加しないと立ち入ることが出来なくなっている。
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すぐ近くの木陰でカンガルーの親子が休んでおり、近づいても全く逃げなかった。
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16時過ぎにビジターセンターに戻り、さらに先にあるキャンプ場へ。ここも無人で事前にインターネット予約をして支払う必要があり、昨日支払っておいた。キャンプ場の様子をまずチェック。シャワーがなく、インターネットの電波が入らないことを確認し、いったんビジターセンターに戻った。
紅茶をいれ、ビスケットを食べながら少しインターネットで調べもの。そして、シャワーを浴び、洗濯してから、19時前にキャンプサイトに戻った。
キャンプサイトにもカンガルーやエミューがたくさんおり、楽しい。
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草にはトゲがあり、またトゲだらけの実もたくさん落ちている。これでテントを張るのは難しく、駐車スペースにテントを張る。洗濯物を干してから、夕食準備に炊事棟へ行く。
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炊事棟前でカンガルーが授乳中だった。乳首は袋の中で子カンガルーは顔を袋にうずめている。
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かなりの長時間授乳で、終わると子カンガルーは少し離れたが、母親はしばらく動けず、やっと動いてもふらついている。授乳って大変なんだなーと感心したが。その後も動かず様子がおかしい。妻が少しづつ近づいても反応もあまりない。
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後ろに回るとカンガルーも方向を変えて妻を見つめる。奥の藪にいるのがさっき乳を飲んでいた子カンガルー。じっとこちらを見ている。
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こんなに見つめてくるのは何か訴えたいに違いない。水が欲しい?
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いったん妻を下がらせたところ、母カンガルーは再びふらふらと給水タンクの前へ。ここで水だろうと確信。栓をひねってあげると待ってましたとばかりに、手から水を飲んだ!!!
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コンクリートに水が溜まるとすぐに下がって、溜まった水を飲む母カンガルー。ごくごく飲めるわけでなく、舌でぺろぺろ舐めるように飲むので、少しづつしか飲めず、時間がかかっている。
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十分に水を飲んだ後はふらつくわけでもなく、元気にジャンプし、去って行った。本当に喉が渇いていたんだろう。気が付けて良かった。
夕食は缶詰のチリビーフにパン。
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先ほどとは違うカンガルーも水を飲みに来ている。オウムも水に集まって来た。動物を見ながら食べる夕食は、実に楽しい。しかし、新しく来たカンガルーは警戒心が強く、かなりの距離でもカメラを構えると逃げる。先ほどのカンガルーが逃げなかったのはよほど切羽詰まっていたということか。
夕陽を見ていたらカンガルー親子が元気にジャンプをしていた。皆元気になってよかった~。
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値段の割には設備が整っていないキャンプ場だったが、思いがけない体験ができたので、大満足。動物のいる国立公園でのキャンプは素晴らしい。