夜中に寒さで目覚める。つけっぱなしにしていた薪ストーブが消えかけていたのだ。追加で薪を入れ、部屋が温まりだしてから、再び眠る。そしてまた目覚める。同じことの繰り返し。この辺りの木は全部針葉樹なので当然薪は針葉樹。日本で薪ストーブに使われる薪は、通常広葉樹だ。針葉樹は燃焼時間が短いのでキャンプファイヤーなどに向いていると聞いていたが、ここまで燃焼時間が短いとは知らなかった。2時間もたないのだ。その代わり火が点きやすいとはいっても、寒くなったテント内を暖めて眠れるようになるまでには30分近くかかる。薪ストーブがあるのに大きなガスストーブが備え付けられていたのを不思議に思ったが、寝る時はガスストーブを使うのが前提だったのだろう。3度目くらいで気がついたが、薪を燃やすのも楽しくなっており、一晩中これを繰り返してしまった。一方、スチュワートのキャンプでは寒くて眠れなかったといっていた妻は、何故かこの日は朝までぐっすり。
昨日の露天風呂が楽しかったのでもう一度入ろうと朝から準備を始める。

8時に朝食をとる。コーンフレーク、牛乳、目玉焼き、ブドウジュース、コーヒー。十分な量なので、宿の朝食としてはあったサラダは昼に回す。

ストーブは順調に燃えているが、昨日よりも気温が低いこともあり、中々水温が上がらない。

昼までに間に合いそうになくなってきたので、途中で湯の量を減らしたが、結局間に合わず朝風呂には入れず。
昼食は、食パン、バター、地元のジャム、グレープジュース、サラダに紅茶。パンは運んできたパンだが、他は朝食用に用意されていたものだ。

13時前に出発する。30分ほど走ったグッドホープレイクで休憩。ここもファーストネイション(先住民)の小さなコミュニティー。人口は50人を割っており、ガソリンスタンドや郵便局があるだけの場所だ。日曜日でどちらも閉まっていたが、郵便局がフリーWIFIを出していた。昨日から一日半もインターネットに接していなかったので、ありがたく使わせてもらう。グランピングの宿が素晴らしくて、出発を遅らせたので、今日は当初予定の場所まで行けそうにない。手前でキャンプできそうな場所をインターネットでひたすら調べたのだった。
あっという間に1時間経ってしまい、14時半に再出発。この辺りは人がほとんど住んでおらず、交通量は非常にすくない。
15時50分、ユーコン準州に入った。州境を越えると数キロでハイウェイ37号線は終了し、アラスカハイウェイに到達する。カナダのブリティッシュコロンビア州ドーソンクリークと米国のアラスカ州デルタジャンクションを結ぶこのハイウェイは、米国の本土とアラスカを結ぶ大動脈である。
ジャンクションにあるガソリンスタンドで給油。久しぶりに店があり、オープンのランプは点いているが、営業は15時までで閉まっていた。

霞がかかったような空気の中を走っていると前方に動物が見えた、近くになった時になんだ犬かと思ったが、堂々と道の真ん中をこちらに向かって歩いてくる。さらに近くなり、異様に大きな犬であることに気がつく。最後、すれ違った時にオオカミだと分かったが、とっさのことで写真は取れず。

昨夜あまり眠れなかったので、今日はさほど走っていないが眠くてしようがない。妻に運転を代わってもらうと未舗装の工事中区間が続き、大変そうだなぁとは思いつつも、いつの間にか眠っていた。目が覚めるとフロントガラスに傷が付いている。追い抜いて行った車に石を飛ばされたのが原因だそう。走行に支障はないが、車の返却時には修理代がかかるだろう。まあ仕方ない、前々回でもあったことだ。
18時半、橋を渡るとテズリンの町だ。調べた中ではここのキャンプ地が良さそうだったが、ここも工事をしており、テントを張るとホコリだらけになりそうで、断念する。

その先にも何ヶ所かキャンプ候補地はあったが、テズリンを素通りしてしまったので、食料が手に入るところが中々ない。
ユーコン準州の州都ホワイトホースが近くなると電柱がハイウェイ沿いに並び、街灯まで出現した。久しぶりの街だ。20時15分の写真だが、霞の向こうに見える太陽はまだまだ高い。

20時30分、ホワイトホースに到着する。州都だけあって巨大なスーパーマーケットがいくつもあるが、一番手前が会員にもなったセーブオンなので、入ってみる。デリでソーセージロールを買って、イートインのコーナーで食べる。ここでもフリーWIFIがあり、色々調べもの。ちなみに今日の日没は23時半、明日の日の出は4時前だ。昨夜の感じではもっと夜が短いと思ったが、4時間半もある。太陽の沈む角度が水平に近いので、水平線の下に太陽があっても明るい時間が長いのだろう。

店の閉まる22時近くまでイートインで休み、出発。22時半にタキーニ川に到着した。本日の走行は587キロ。午後に出て、早目に終わるつもりだったが、結構頑張った。
ここはキャンプ場ではなく、単なる野営可能地。水は川で汲めるし、たき火あとはいくつもあるが、いわゆるワイルドキャンプである。もう寝るだけなので、さっさとテントを張って眠るのみ。
