目覚めるとやたらと鳥の声がする。一番近くに泣いている鳥のさえずりが Are you ready? とひたすら聞こえる。どんな鳥だろうとテントから顔を出すとさえずりはぴたりと止んで、笑ってしまった。蚊がやたらと多いので、テントをたたんで車の中で軽い朝食をとる。
9時に出発。約1時間走ってパイン湖にやって来た。湖畔にあるキャンプ場はユーコン準州の管理する人気のキャンプ場だ。湖畔にはビーチや波止場があり、遠くには雪山が見えている。

1泊1サイトで18ドルする有料キャンプ場だが、設備は整っていて心地よさそう。料金には薪代も入っているが、ここの薪も輪切りにしただけの太い薪なので、斧は持参が前提だ。

子供たちが遊べる施設も整っており、先住民の子供が楽しげに遊んでいた。

30分ほど休んで再出発。そこからわずか10分でヘインズジャンクションに到着した。アラスカハイウェイから米国のヘインズに延びる道が分岐する町で、交通の要所になっている。今日の宿はこの町のモーテルだ。
当初の計画は、昨日のうちにこの先まで進み、今日はヘインズまで往復してここに泊まるだった。しかし、妻がけがをした時点で、このキツイ計画は断念している。このあたりは、周辺にある3つの国立公園と一つの州立公園を合わせ、クルアーニー/ランゲル-セント・イライアス/グレーシャー・ベイ/タッチェンシニー-アルセクという名で、世界遺産登録されている。ランゲル-セント・イライアス国立公園とグレイシャー・ベイ国立公園はアラスカ側にあり、2つの国にまたがった広大な世界遺産となっている。この世界遺産のどこか一ヶ所でも行ければと思っていただけなので、グレイシャー・ベイの基点となるヘインズに行く必要はそれほどなく、手前のタッチェンシニー=アルセク州立公園で少し散歩して戻ってこようと元の計画は出発前に修正していた。しかし、ここまで毎日たくさん走って疲れており、この修正案も却下。今日はもうここでのんびりすることに決めた。世界遺産は明日のルート上となるクルアーニー国立公園に立ち寄ることにする。
宿に行くには早すぎるので、まずはヘインズジャンクションのツーリストセンターを訪れる。ユーコン準州の観光資料だけでなく、カナダとアラスカ全土の資料がそろっている観光案内所で、展示物の数も多く、見応えのある場所だ。まずはクルアーニー国立公園でアラスカハイウェイからすぐに行けて、短いトレッキングルートを教えてもらい、明日の計画を考える。そして、アラスカから戻った後で行きたい場所の質問もいくつか出来、先々のルートが決まってきた気がする。その後は、ゆっくりと展示物の観賞。先住民に関する展示が多く、十分に楽しめた。

この後、給油し、さらにレストランへ移動する。お昼は、モントリオールビーフパニーニとチキンポットパイ。モントリオールビーフパニーニは、モントリオールハムとチーズ、ほうれん草を挟んだホットサンド。チキンポットパイは、ポットに入ったシチューにパイ生地をかぶせて焼いており、濃厚で美味しいパイだった。

そして食料の買い出し。この町にスーパーはなく、ガソリンスタンド併設の商店が2軒あるだけ。もっとも明日は国境を越えてアラスカに入るが、基本的に食料の持ち込みは厳しいので、それほど買い込めない。結局、手作りのソーセージやパンを買っただけだった。

マウンテン山羊とマウンテン羊、ヘラジカ、熊などのモニュメントが町の中心にあった。この先こういった動物が見たいものだが、どうなることやら。

15時前、予約してあったモーテルにチェックイン。本日の走行は118キロだけ。初めての休息日だ。
部屋の前ではリスがウロチョロ。こちらの食べ物を狙っているのだろう。

部屋の前に停めた車の向こうにはクルアーニー国立公園の山々が見えている。

何日も前に買って食べていなかった豚皮の揚げ菓子とひまわりの種を開け、ティータイムを楽しむ。

明日は国境を越えアラスカに入る。荷物検査があるかもしれないので、荷物の整理を少しした。
夕食は、ジャムバターパンとコーヒーのみ。
寝る時まで外は一切暗くならないので、時間の感覚が狂ってきていたが、今夜は久しぶりにしっかりした建物だ。カーテンを閉めると暗くなるので、ゆっくり眠ることが出来そう。