今日もテント泊予定なので、チェックアウト時間ギリギリまで宿でゆっくりと過ごす。10時過ぎに朝昼兼用の食事をし、11時前にチェックアウト。まずはスーパーで買い出し。そしてリカーショップにも立ち寄ってお酒も買っておく。
リカーショップの前にあったのがキッシングビルと呼ばれる斜めになった建物。1901年にホテルとして建てられたもので、ドーソンシティーの中でも数少ないオリジナルの建物として残されている。もちろん斜めに建てられたわけでなく、地盤の沈下で斜めになっている。廃屋でいつ取り壊されるか分からないが、今は人気の写真スポットになっている建物だ。

ドーソン郊外、クロンダイク川を渡ったところで給油。そこから40キロ弱走った所から北に延びているのがデンプスターハイウェイだ。今回の旅で最大の難所であり、最も楽しみにしていた場所がこのデンプスターハイウェイ(736km)とそこから北極海に続くITH(イヌビク-トゥクトヤクトゥクハイウェイ 144km)だ。カナダで唯一北極海につながる車道であり、北米で唯一自家用車で北極海につながる車道でもある。アラスカのダルトンハイウェイが北米でもう一ヶ所北極海につながる車道だが、こちらは最後の部分が私有地で、一般人はツアーバスでないと北極海には到達できない。最果て好きの旅人として、どうしても走りたくなるのがこの道なのだ。ここを走るために四輪駆動車を借り、メインのはずだったアラスカドライブを1週間で切り上げた。分岐に来ていよいよここから未舗装道往復1760キロの旅が始まると思うとわくわくして仕方ない。

走り出してすぐにクロンダイク川を再び渡る。ドーソンシティーで渡った時とは違って木製の路面なのがまた嬉しい。

どんよりした雲に空が覆われており、路面は濡れている。分岐のところに山火事発生の電光掲示もあったが、雨が降ったので心配ないだろう。雨のおかげでホコリが立たないのもありがたい。

道標にはユーコン準州の標語である YUKON LARGER THAN LIFE が記されている。そんなに大きなユーコンを車で縦断している!

トゥームストーン山脈のビューポイントで休憩。この辺りは州立公園になっており、キャンプ場やトレイルが整備されている。

ビューポイントから数キロ進んだところがノースフォーク峠。標高1289メートルの峠はベーリング海と北極海に水の行き先が分かれる分水嶺でもある。峠を越えるとなだらかな高原地帯が続いており、ライチョウや野ウサギを何度か見かける

17時、北極海にそそぐピール川沿いのレストエリアで夕食をとる。本当は川沿いに座って食べたかったが、蚊が多くて断念。車内での食事となる。このレストエリアにもウサギがいた。

さらに50分ほど走っているうちにも2度ウサギがいた。465KM(分岐を起点として465キロ地点)のオクリビー山脈ビューポイントで休憩。

天気はいつの間にか快晴に。道の状態は最初の辺りよりも良くなり、非常に走りやすい。

ピール側を渡る鉄橋。橋の前後はスピード制限がきつくなり砂ぼこりが少なくなっているが、それでもたくさん砂ぼこりを巻き上げて対向車は走っていく。すれ違う時は前が見えないくらいになり、車はどんどんほこりにまみれだした。

イヌビクまでの中間点にイーグルプレインズという交通の中継基地がある。初めてのガソリンスタンドとホテル、レストランもここだ。到着は20時半。次のガソリンスタンドのあるフォートマクファーソンまでガソリンは持ちそうだが、念のために入れることにする。無人だがクレジットカードで給油できるシステム。しかし、何度やってもうまく行かず、結局レストランまで行って店の人を呼び、給油した。キャンプ場もあり、ここで泊まっても良かったが、調子が良いのでもう少し進むことにする。
途中何ヶ所か道路が滑走路を兼ねている場所がある。滑走路上は道幅広く、直線で見通しも良いが、駐停車禁止になっている。

21時54分、北緯66度33分、北極圏に到達♪ 405KMの地点だ。ここでテントを張りたかったが、風が強くて断念。

さらに進んで465KM、ユーコン準州とノースウエスト準州の州境に到着。ユーコン準州時間で23時半の到着だが、時差がありノースウエスト準州では日付が変わって6月26日の0時半となる。

州境が峠のようになっていて、そこからどんどん標高を下げる。午前2時前、夕陽が山にかかってきた。北極圏に入ったがここでは太陽が沈むのか。いや、午前2時ならもう朝日でこれから太陽は昇って行くか。どちらだろうと考えながら車を走らせる。

さらに少し走って、テントを張る。本日の走行は512キロ。480キロ近くが未舗装の道だったが、けっこう距離は稼げた。期待以上に楽しい道でまだまだ元気。もっと進むこともできたが、この先に川があり、この時間はフェリーが動いていないのだ
蚊が多くて車外ではのんびりできない。急いでテントを張って中に入る。いつまでも明るい白夜を楽しみつつ、就寝。
