朝9時起床。早朝は車の音もなく熟睡していた。昨夜は午前2時まで走っていたので疲れていたのだろう。ずっと明るいままなので明るくなったら目覚めるという感覚が失われているのも仕方ない。
軽い朝食を車内でとり、9時半に出発。この区間でもホッキョクジリスやライチョウに会えた。

ピール川のフェリーポイントには10時45分に到着する。

キャンプ地からここまで集落はない。始発フェリーが9時半だから寝ている間にほぼ車が来なかったのは当然だろう。

5分ほど待ってフェリーに乗船。ここも無料なのはありがたい。

川幅は狭く、5分ほどで対岸着き、再出発。10キロほど走るとデンプスターハイウェイ最初の集落であるフォートマクファーソンに到着する。
まずは帰りに泊まろうかと思っている無料キャンプ場を見に行く。快適そうで良いキャンプ場だ。そしてガソリンスタンドへ。北に行くほど高くなるのだと思っていたが、1.89CAD/L。リットル当たり200円以上とはいえ、ドーソンのガソリンスタンドと同じ値段だ。イーグルプレインの2.39CAD/Lよりもずっと安い。昨夜は満タンにしなかったが今日は満タンにしておいた。
そして妻がスーパーに行っている間に私は集落内を散策する。スーパーの横で、いきなりホッキョクギツネがやって来た。彼らは夏と冬では色が違って、今の季節は写真のような黒っぽい色。尻尾がふさふさでデカかった。

フォートマクファーソンは先住民であるグウィッチン族の村だ。このモニュメントは1921年にカナダ政府と先住民の首長が調印した条約の記念碑。この条約はカナダ政府が先住民をコントロールして国を拡大していくために各先住民の代表と個別に結んだ一連の条約の1つ。後に強制的に結ばされた不利な条約であると先住民側からの声が上がったが、内容は地域によって違っていた。この地域は白人が入植を試みていなかったこともあり、特段の問題がない平和裏の条約であると今も考えられている。

アングリカン教会。現在この地域に住む人々は皆さんクリスチャンになっている。

ドーソンと同様に木の歩道が設けられている。

先ほどと同じ条約を記念した看板もあった。

11時40分再出発。ランチでもと思って停車したが、蚊が多いのでトイレだけ済ませて再出発。今日は道が乾いていて、あっという間に車はホコリだらけだ。

天気は良く、まっすぐで平らな未舗装道なので非常に走りやすい。しかし他の車は我々以上に飛ばしており、すれ違いや抜かされるときの跳ね石やホコリにはまいった。

前方にマッケンジー川が見えてきた。マッケンジー川は、カナダ最長の川であり、その流域面積はカナダの面積の五分の一を占めている。

13時にフェリー乗り場到着。ここはアークティックレッド川がマッケンジー川に合流する地点であり、フェリーは三ヶ所を結んでいる。
船を待つ間に車内で昼食。

直接マッケンジー川の対岸には向かわず、先にアークティックレッド川を渡る。ここにもグウィッチン族の集落があり、乗り降りの車があった。そして大河であるマッケンジー川を渡る。対岸まで全部で15分かかった。

再出発は13時半。そしてデンプスターハイウェイの終点イヌビクを目指してひた走る。最後、イヌビク空港への分岐を過ぎると久しぶりの舗装路だ。15時半、イヌビク到着。デンプスターハイウェイを無問題で完走だ。

イヌビクは北極圏の観光拠点として人気のある町で、多くの人は飛行機でやってくる。それなのに今は元々3軒しかないホテルの1つが改装で休止中。一昨日にドーソンでチェックした時点で、残り2軒のうち1軒は満室。もう1軒はインターネットで空きが分からず。とりあえず空きが分からなかったホテルに行くが満室だった。参考までにと値段を聞いたら4万円以上。仕方ないのでもう1軒に行くがやはり満室。こちらは2万6千円くらい。先ほどの値段を聞いた後なので安いとホッとした。元々極北の地で物価が高いことは覚悟していたのだ。明日の空きを聞くと大丈夫だというので、明日の予約をする。そして洗面所を借り、妻の傷口の手当てをさせてもらった。毎日きれいな水でしなければならない処置が出来たので、今夜もキャンプでOKだ。
インフォメーションに立ち寄って情報収集。そしてこのまま北極海に面したイヌイット(エスキモー)の集落トゥクトヤクトゥクに向かうことに決めた。
****この日は長いので前半と後半に分けます****