午前1時40分、再出発する。ここからはクロンダイクハイウェイだ。
じつは、24時間一気に走るというのを一度やってみたかった。しかし私は酷い乱視で対向車のライトがまぶしすぎて、夜間まともに運転できない。ならばトライするのは北極圏近くで夏至の日に近い今しかない。という訳で、この区間は「エンジョイ白夜耐久運転、イヌビクからホワイトホースまで1200キロ!!」なのだった。自転車部だった大学時代に学園祭の時にノンストップランと称して仙台から東京を自転車で寝ずに走ったりしていたのと同じノリである。
妻とどんどん交代しながらのつもりだったが、寝不足だった妻はもともと未舗装道が好きでないのに対し、私は未舗装道の運転が大好きということもあり、デンプスターハイウェイはほとんど私が運転していた。私はそれで満足してしまい、気が抜けた。一方、妻はここから元気になり、イヌホラリー(イヌビク・ホワイトホースラリー)と言いながらホワイトホースまで走り続ける気が満々だ。暗い時間で助手席に移った私は寝てしまったが、北の空はずっと明るく、2時頃から明るくなってきたのだそう。
気が着いたら4時で、スチュワートクロッシングのレストエリアに停まったところだった。先ほどガソリンが入れられなければここのガソリンスタンドだと思っていた場所で、24時間営業中のガソリンスタンドも見えていた。運転交代を申し出るが、断られ、10分の休憩だけで、再出発。
ここからの道はウサギが多くて、何度も出てくる。
5時20分、ペリークロッシングのビューポイント到着。ここでも運転交代を申し出るが、断られた。

もう運転を頼んでしまっても良いかと思い、ここからは開き直って寝る。途中3度ほど停車して妻も仮眠をとっていた。毎回停車によって目覚める私は運転を変わろうかと聞くが、断られた。夜通し走るという体験を頑張りたかったのだそう。
今回のルートで一番賑やかでツーリストもいる町を通過。カーマックスだ。ここでユーコン川とクロンダイクハイウェイが交差する。ユーコン川下りはカヌーイストあこがれの人気コースだが、その中でもホワイトホースからカーマックスまでが特に人気の区間となっている。1週間以上かけてカヌーで下ってきた旅人が上陸する場所がこのカーマックス。ここではユーコン川のほとりでのんびりと思っていたのだが、私が目覚めたのは通過中で、寝ぼけている間に通り過ぎてしまった。

カーマックスを過ぎて私も完全に目覚めた。
9時過ぎ、史跡モンタギューロードハウスに到着する。1915年に建てられて1950年ころまで使われていたロードハウスがここには残っている。ロードハウスは、当時の州都だったドーソンシティーに至るトレイルの3-40キロごとに設けられた宿場のような役割を果たした場所で、ここには今も丸太で建てられた建物の一部が残っている。

ここで朝食をとり、9時半に出発。出発前に車の泥を少し取ろうとしてみたが、どうしようもないほど泥がついている。

モンタギューロードハウスで運転を交代。妻は仮眠時間も含むが7時間以上一人で運転していたことになる。私はほとんど寝ていたので非常に元気。ここからの道は何度もホッキョクジリスが姿を現した。数えただけでも14回!
10時20分、フォックス湖で写真ストップ。氷食の谷にできた細長い形の美しい湖だ。

11時15分、ホワイトホース到着。無事1211キロをほぼ24時間で走り切った。まずはスーパーに。妻お目当てのカナダ料理がデリコーナーにあったので、イートインで昼食。そのあとビジターセンターに行って洗車場の位置を聞いたり、明日のカナダデーの行事について聞いたりした。洗車場に行くも並んでおり時間がかかりそうだったので止めた。もう一度、今度は別のスーパーに行って買い出し。
14時半、本日の宿であるビーズニーズバックパッカーズに到着。2日間の走行距離は1221キロだった。ドミトリーだが疲れているのでよく眠れそう。

シャワーを浴びて、一休み。部屋にいると寝てしまって夜に眠れなくなりそうなので、共同キッチンでコーヒーを飲みながら写真の整理などする。

夕食は、バッファローチキンウイング、エジプシャンサラダ、豆ポタージュに食パン。
