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2023-24年地中海»46日目 大ラブラ修道院-聖アン修道院-アギウパヴル修道院-ディオニシウ修道院
2024年01月25日(Thu)
46日目 大ラブラ修道院-聖アン修道院-アギウパヴル修道院-ディオニシウ修道院
2時からお祈りの時間といわれていたけど、寝不足で歩けなくなるのが怖いので、5時半までアラームは鳴らさず。礼拝に顔を出そうかと迷ったが、遅くなるのが嫌だったので、そのまま出発準備し、6時過ぎにスタートした。
真っ暗な中、懐中電灯の灯りだけが頼りなのに、数分で山道となった。足元を照らしながら出ないと踏み出せないような道で、牛のような歩みしかできない。少々遠回りだが、車道もあったのに、巡礼道を夜明け前に選んだのは失敗。車道に出るまでの1キロに30分もかかってしまった。
車道は500メートルくらいで、ここからは完全に車道と離れていく山越えの道へと入ってゆく。
7時過ぎにようやく明るくなってきた。快晴だが、かなり標高が低いところまで積雪があり、先行きが不安になる。
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8時過ぎ、海の方にプロドロモス修道院が見える。ここはモナステリではなく、スキートだが、規模が大きく、巡礼者の宿泊も受け入れている。
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8時20分、早くも道の上に残雪が現れた。GPSで位置を確認すると標高約540メートルの地点だ。これからどんどん登って行くのに大丈夫かと不安になる。
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さらに10分も進まないうちに雪の上を歩かざるを得なくなってくる。
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あっという間に雪道となり、辺り一面真っ白に。これまではいつも海外に行くときはトレッキングシューズだったのに、今回はランニングシューズにしている。靴の中にどんどん雪が入って来て、やばいとは思うが、そのまま進む。
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気温がそれほど低くなく、日本の春山のような感覚で、靴さえ問題なければもっと楽しく歩ける道だが、装備がないので、どんどん不安が増してくる。雪を踏み抜けば膝上まで沈むので、慎重に踏み跡をたどって進む。
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9時20分、周辺の各修道院に水を供給している水源に到着した。雪どけ水で水はあふれ、周辺は水浸し。迂回を試みるが、雪は1メートル以上積もっており、無理。靴は中までビショビショになってしまった。
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新しい足跡は水源地までで終わってしまった。最近ここまで来た人は水源地の点検に来た人だったのだろう。この辺りは既に標高750メートルを越えており、あともう少しで下りに入るはず。しかし、新しい足跡がないと、足跡には新しい雪が積もっており、非常に歩き難い。
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標高790メートルが最高地点。特に峠のようにはなっておらず、だらだらとアップダウンがその後も続く。半島の南西端から続く尾根のところが峠となっている。標高は760メートル。ここからアトス山山頂への登山道が分岐している。ただし、毎年11月1日から4月末は登山禁止との看板が出ている。
風向きの関係か、峠を越えると一気に雪は消えた。東側の海が初めて見える場所に十字架があり、良い休憩ポイントとなっている。出発してここまで5時間15分、無事に雪山を抜けることが出来た。しかし、予定外に時間がかかったので、本日宿泊予定のシモノペトラ修道院に明るい時間に歩いて着くのはほぼ不可能になった。
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ここからは聖アン修道院まで一気に下ることになる。急な下り坂は疲れた足には厳しそう。
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下り坂の途中で、今日初めて人にあった。ラバに乗って、鉄骨などの資材を運んでいる。この辺りは車道がないので建築資材もこうやって運んでいるのだ。
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12時過ぎに聖アン修道院に到着した。ここもモナステリではなく、スキートだ。見学しようか迷ったが、道から教会までの階段が嫌になるほど、ここまでの急な下り坂で足がガクガクしている。しばらく上から眺めていたが、中には入らず先に進むことにする。
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ここからは半島の西側を北上していくが、険しい地形のために道は何度も上下を繰り返している。夕方に北上するフェリーがあるはずなので、行けるところまで行って、フェリーに乗るしかなさそうである。
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1時過ぎにアギウパヴル修道院が見えてきた。
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もともと無雪期でも今日のコースを歩く人は、アギウパヴル修道院が宿泊地だ。シモノペトラ修道院に予約しておいて、このコースを歩くのは雪がなくても難しかっただろう。
アギウパヴル修道院は道路からかなり上った場所にあり、登る気力はもうないので、見上げられる場所でしばらく休憩する。そして、海岸のところに架けられた木道を渡る。
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川を渡るとその先は急な崖。ここからまた100メートルほど一気に登るのだ。
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再び海岸部まで降りてディオニシウ修道院にやって来た。
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15時頃に夕方のフェリーがあるはずなので、ディオニシウ修道院を見学してフェリーを待つことにする。ゲートにきれいな壁画があった。
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中に入っても壁画が建物の外にあったので写真を撮っていると、ここはゲートの中は全部撮影禁止だよと修道士に注意された。仕方ないなと思いながら、フェリーの正確な時間を尋ねると、今日はないよといわれてしまった。そんなはずはないと思うが、住んでいていつも使っているはずの修道士に言われては仕方ない。この時間から歩いてシモノペトラ修道院に行くのは無理だともいわれてしまう。ここで泊まりなさいと諭されながら、受付に連れていかれると、そこでも泊まりなさいと言われ、ウェルカムドリンクのシプロとお菓子が出された。本当は写真ダメなんだけどといいつつ、この写真は許可してもらう。
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先に着いていた人はコーヒーも飲んでいたが、時間がないからとシプロは一気飲みさせられ、お菓子を手に持ったまま、部屋に案内される。狭い部屋だが、きれいな2人部屋を個室で使わせてくれた。15時から礼拝だから来るように言われる。後10分しかない・・・。靴の中が濡れているので、まずは脱いで靴下を替える。そのまま履きたくはないが、仕方ない。そして、予約してあるシモノペトラ修道院に着けなかったのでキャンセルにしてくださいとのメールを出す。テッサロニキにいる妻にも途中で着きそうにないと連絡してあったので、連絡をする。
少し遅れてしまったが、15時からの礼拝に参加する。この教会も一番奥の部屋には入れなかったが、その手前にストーブがあり、暖かで助かった。疲れすぎのために眠くはならず、椅子に座ってお祈りの声を聴いているとふわふわした感じで心地よかった。30分ほどで礼拝が終わり、夕食となる。昨日もこの時間で驚いたが、まさか今日も15時半に夕食とは。昨日よりもさらに質素な気はするが、悪くないワインがお代わりできたので、満足である。
夕食が終わると外は雨。無理して次まで歩かないで良かった。再び教会で礼拝。疲れているし着替えたかったので、途中で抜けて部屋に戻る。しかし、ここのシャワーは水だった。がっかり、着替えをして濡れた靴下を洗って部屋でのんびり。
宿泊する予定でなかったので調べていなかったが、ここは行政上の主席を交互に選出している5大修道院の1つだった。ちなみに初日のイヴィロンも昨日の大ラブラも5大修道院に含まれている。意識していた訳ではないが、宿泊した3ヶ所がすべて5大修道院に含まれている。