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2023-24年地中海»49日目 国境-イスタンブール-ブルサ
2024年01月28日(Sun)
49日目 国境-イスタンブール-ブルサ
ギリシャ側の国境を出るとすぐに川があり、それを越えるとトルコである。国境間は約10分だが、時差が1時間あり、トルコ時間の3時50分にトルコ側のイミグレーション到着となる。入国手続きはスムーズに終わり、バスの手続き終了までトルコ側の免税店にはいる。別に欲しいものはないが、外があまりに寒く、運ちゃんが呼びに来るまで免税店で待機していた。
出発は4時20分。途中2都市で停まったはずだが、寝ていて良く分からず。気がついたらイスタンブールの郊外を走っていた。バスターミナル到着は7時25分、定刻よりも2時間遅い。バス会社のオフィスが延々と並んでいる巨大なバスターミナルだ。
長かった旅もあと4泊、ずっとイスタンブールにいても良かったが、だらけてしまいそうなので、オスマン帝国の初期に首都であったブルサを訪問することにする。ブルサはトルコ第4の都市で、トルコ最大の都市イスタンブールに近いこともあり、この区間はバスが頻発している。一応ウェブサイトのあるバス会社数社のチェックはしてあったが、短い距離なのでこだわりはなく、最初に呼び込まれたバス会社に入る。値段はチェックしてあったどの会社よりも安い。すぐに出るというのでその会社のバスで行くことにしたが、座席は最後部でリクライニングの効かない席しかない。一本待っても良かったが、妻が早く行こうというので、しぶしぶ最後部座席に。
7時45分にバスは出発する。思っていた方向ではなく、空港の方に向かうので、ますますバス選びに失敗した気分になるが、渋滞を避けて大回りをしたようで、空港近くのターミナルに寄る訳ではなかった。現在ヨーロッパとアジアを隔てるボスポラス海峡を渡る橋は3本あり、トンネルも1本ある。橋2本とトンネルはイスタンブールの中心部を結ぶだけあって、いつも渋滞をしているらしい。2016年に完成した3本目は黒海に近いところを通っており、渋滞はまず発生しないのだそう。渡るのは初めてだったので、これはこれで良かった。橋を渡るとアジアになる。
途中1度の休憩をはさみ、ブルサ到着は10時半。ブルサも大都市なのでバスターミナルは郊外にある。朝食をとっていないのでターミナル内を少し歩くが、妻の食べたいという名物が見つからなかったので、そのまま街に向かう。
ブルサの公共交通はイスタンブール同様にカード式だが、イスタンブールと違ってクレジットカードのタッチ決済が使える。独自カードを買わなくても済むのはありがたい。予約してある宿のある旧市街に向かう直行の市バスで出発だ。
旧市街に着いてバスを降りるとすぐ近くにグランドモスクがあり、その左側からバザールが続いている。この辺りが、「ブルサとジュマルクズック:オスマン帝国発祥の地」として登録されている世界遺産の中心だ。
グランドモスクのすぐ近く、世界遺産の緩衝地帯にあるホテルにチェックイン。空腹だったが夜行バスの疲れもあり、一休みする。
13時、ようやく出掛けてまず昼食だ。妻の食べたかったというブルサ名物のイスケンデルケバブは、19世紀後半にブルサで考案された羊の焼肉で、トマトソースとバターが特徴だ。
食事が終わり、世界遺産のバザールへ。イスケンデルケバブの店が軒を並べ、観光客を呼び込んでいる。土産になりそうなものが並ぶ店も多く、ここは意外に大人気の観光地の様だ。
14世紀末に建てられたグランドモスクに入る。巨大なモスクで、イスタンブールのブルーモスクよりも大きくて賑わっている。中央に大きな噴水のある珍しいモスクだ。
モスクを出てグランドバザールを東に歩くと、左手に昔の隊商宿であるコザハンがある。建物にある商店では衣類や生地が売られており、中庭はカフェで占められている。
バザールでドルマを巻く器具の実演販売をしていた。具をブドウの葉でくるんだ食べ物で巻くのが手間なはずが、その器具を使うとあっという間に巻ける。面白くて見ていたら出来たドルマをいくつかくれた。
バザールを抜け、川を渡って坂を登って行くと大きなイエシルジャミがあり、観光客でにぎわっている。この辺りも「ブルサとジュマルクズック:オスマン帝国発祥の地」に含まれている。周辺には土産物屋が軒を並べている。写真は土産物屋の屋根。
緑のモスクを意味するイエシルジャミは、15世紀に建てられた非常に美しいモスクだ。外壁は白で、ミナレットなどはレンガ色。
中に入るとその名の通り緑が基調と文様が素晴らしい。
隣の六角形の塔に収められている廟は、オスマン帝国の第5代スルタンであるメフメト1世の霊廟で、1421年に建てられたもの。
次の世界遺産の登録地区に向かう途中で住宅地を歩いているとお茶に誘われた。ちょうど疲れて休みたかったこともあり、近くの茶店へ。地元のおじさんたちの集まるローカル茶店だ。外国人の訪問で皆さん大喜びで歓迎してくれた。
14世紀に建てられたユルドゥルムバヤズィッドジャーミィ(バヤズィト 1 世モスク)とその周辺地域も世界遺産登録地域だ。グランドモスクと周辺のグランドバザールの地区や先ほどの緑のモスクの地区は非常に賑やかだったが、ここは閑散としている。
内部装飾の美しさはグランドモスクや緑のモスクと同様に素晴らしく、人がいない分落ち着いてみることが出来た。
ユルドゥルムの廟は、1406 年にユルドゥルムの息子によって建てられたもの。
戻りは巨大なカムベルレル公園を突っ切り、トラムの線に沿って商店街を歩く。
グランドバザールを抜け、急斜面の道を登り、今度は旧市街の西にある高台へ。
丘の上の時計塔は1905年に完成したもので、高さは33メートルある。周辺はカフェが並び、市民の憩いの場になっている。
オスマン帝国の創始者オスマンガズイの廟もこの高台にある。
廟に入場規制をしているなと思っていたら、オスマン帝国時代の軍人の姿をした人々が廟から出てきて、驚いた。
古い城壁が一部分だけ残っている。
チャキールハマムは、15世紀に建てられたハマムで、現在も銭湯として営業している。
17時半頃ホテルに戻り、一休み。18時半頃から今度は夕食に出る。近くのスープ屋へ。
イシュケンベは牛モツのスープ。熱々のニンニクスープと溶かしバターを後からテーブルにかけに来てくれる。濃厚なスープで素晴らしい。
ケレスユシュ(kelle söğüş)は、羊頭を使った冷菜。茹でただけの脳みそ、ホホ肉、タンに薬味として、レモン、玉ねぎ、トマト、青唐辛子が付いてきた。。
夜中の国境越えを含む夜行バスからの移動に、長時間の観光で疲れたが、充実した一日が終わった。