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2023年インド»10日目 -チャンディガール-アムリトサル
2023年06月03日(Sat)
10日目 -チャンディガール-アムリトサル
英領時代のパンジャブ地方は現在のラホールを中心とした広大な地域であったが、1947年の独立時にパキスタンとインドに2分されてしまう。その後、インド側のパンジャブ州の州都として新しく建設された都市が、チャンディガールである。1966年にそれまでのパンジャブ州は、パンジャブ語を話す人々の住む西側が新しいパンジャブ州となり、ヒンディー語系統の言葉を話す人々の多い東側はハリヤーナ州となった。分離に際し、2州の境界上にあった州都チャンディガールは連邦直轄領となり、今もパンジャブ州の州都であり、ハリヤーナ州の州都でもある。
チャンディガールは近代建築三大巨匠の一人とされるル・コルビュジエが設計した計画都市であり、「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」として世界遺産に登録されている。この世界遺産は日本を含む7か国にまたがっており、日本の登録物件は上野にある西洋美術館となっている。
朝6時40分、定刻にチャンディガール到着だ。当初は駅近くにあるホームステイを予約していた。しかし、早朝に荷物を預かってもらえるかどうかの質問をしたのに返事がないので、宿の予約をキャンセルしてしまっている。1泊2日の計画を変更し、滞在は夕方まで。16時40分の列車でアムリトサル(アムリッツァー)に移動する予定である。
待合室でしばらく休んだ後、大きな荷物は駅の荷物預かり所に預ける。
市バスに乗って、街に出る。もうほとんどインドルピーがなかったので、駅でATMを探すがなく、街の中心でも中々見つけられずに苦労した。
現金を手に入れてから再び市バスに乗って、キャピトルコンプレックスまで移動する。
キャピトルコンプレックスは、ル・コルビュジエが設計した行政機関やモニュメントが集まるエリアを指し、高等裁判所、議会棟、行政庁舎、オープンハンドモニュメント、影の塔と呼ばれる建造物などがある。今も役所として使われている建物群なので自由に見学することはできず、一日3回行われるツアーに参加せねばならない。ウェブサイト上でツアーの予約ができるが、予約にはインドの電話番号が必須なので、出発前に予約はできず。SIMカードをを入手したムンバイで予約しようとしたが、直前予約は受け付けておらず、予約なしでオフィスを訪れた。一日3回あるツアーの最初である10時を目指し訪れたが、他の見学者はおらず、10時から案内してもらえることになった。
最初に訪れたのは高等裁判所、この日は週末だったので開いておらず、外観を見ながら解説を聞く。
チャンディーガルの紋章ともなっているオープンハンドモニュメントもル・コルビュジエ自身が設計したもの。見た目は手というよりも鳥に見える。
高等裁判所の逆側の広場に面し、左にあるのが影の塔。太陽の位置がどこに来ても中まで日光が入らないように計算されているそうで、中に入ると涼しかった。奥にあるのが立法議会棟で左の3角に見えるのがハリヤナ州の議会で右の円柱に見えるのがパンジャブ州の議会だそう。
立法議会棟も週末は閉まっており、ペインティングされた入口までしか見学できなかった。
40分ほどのツアーを終え、エアコンの効いたオフィスで一休み。暑いのでありがたい。
再び市バスに乗って、その他の世界遺産登録物件が集まる博物館地区へ。エッフェル塔のモニュメントにはインド人観光客が大勢おり、写真を撮っていた。
建築博物館も世界遺産登録物件。事前情報で無料だったので中に入って見ていたら、切符を買うように言われ、びっくりして値段を確かめずに出てきてしまった。
政府博物館・美術館もル・コルビュジエが設計した建物で世界遺産。大きな博物館でここはゆっくりと見学した。
昼食はチョレバトゥラ(Chole Bature,チョーレー・バトゥーレー)。バトゥラが揚げパンで、それをチャナマサラで食べる料理をチョレバトゥラといい、パンジャブ地方で人気の屋台料理となっている。
少し早いが、バスで駅に戻る。駅前には時間がなくて行くのを諦めたロックガーデンで人気がある人形のモニュメントが駅前にあった。
駅への到着は14時半、列車の出発まで2時間あったが、待合室はいっぱいで外のベンチで出発を待つ。本日の列車はチャンディガール始発のアムリトサル行き急行。昼間だけの列車なので寝台はないが、指定席の2等座席はリクライニングがあり、ムンバイからヴァピに乗った列車より乗り心地が良かった。
アムリトサル到着は21時45分、定刻よりも30分遅れた。ウーバーで呼んだタクシーとうまく待ち合わせできず、時間をロスする。おまけに遠回りされ、歩いても時間は変わらなかったと思える時間にシーク教徒の総本山であるゴールデンテンプルに到着する。
大きなシーク寺院は無料で泊まれることで知られている。特にここは外国人観光客用の部屋がある。個室もあるが、個室は満室で、ドミトリーになってしまった。それでもエアコンが効いており、快適だ。
部屋にシャワーや冷水器はあるが、トイレは離れた場所で、トイレに行くのにローカルの人々が寝ている場所を横切らねばならない。建物の各部屋は個室でそこも無料だが、満室であぶれた人々が寝ているホールを通ってトイレに行くことになる。30年前に泊まった時にはもちろんエアコンはなかったし、外国人専用部屋にシャワーなどなかった。おかげでシャワーもローカルと同じ。シーク教徒は一生頭髪を切らず、ターバンの下に巻いている。シャワー室で髪をほどいたシーク教徒を見て、その髪の長さに驚いた記憶があるが、今回は見る機会がなかった。
一休みしたらもう23時だったが、そのまま寺院を見に行く。この時間でも大勢の参拝客でごった返しているが、ライトアップされた寺院は本当に美しかった。
参拝客用に無料でふるまわれているシャビール(shabeel)をいただく。甘くておいしい。別の場所で今度は白いシャビールもいただく。これも美味しかった。
ゴールデンテンプルでは食事も無料でふるまわれている。夜中でも大勢の人が食べており、私たちも一緒にいただいた。昼食後何も食べていなかったので空腹で、お代わりを何度もいただいてしまう。
食事をしている間に日が変わった。部屋に戻り、シャワーを浴びたりしていたので、寝たのは午前2時頃だった。