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2023年インドネシア»3日目 ジャカルタ-テルナテ
2023年08月29日(Tue)
3日目 ジャカルタ-テルナテ
定刻午前2時40分のテルナテ行きバティックエアーで、ジャカルタを出発。LCCではないので、Vietjetよりも座席が広くて、ホッとする。深夜便で何も出ないと思っていたが、クリームパン等の軽食が出た。
定刻よりも若干早く出発したのに到着は40分遅れの8時40分。ジャカルタとテルナテには2時間の時差があるのでジャカルタ時間なら6時40分となる。約4時間のフライトである。完全な寝不足だが、2人とも結構元気だ。
空港から宿までは、配車アプリであるGrabを使って、タクシーに乗るつもりだったが、表示された料金が予想外に高い。少し先からならアンコットと呼ばれるミニバスが走っていることを確認してあったので、10分ほど歩いてミニバス乗り場へ。乗り場に着いたところでちょうどミニバスが来たので乗り込んで、街の中心にあるターミナルまで移動した。
ここから予約してあったホームステイまでは約2キロ。散歩がてら歩いていくことにする。ターミナルを出てすぐに、オラニェ砦がある。13世紀に成立したテルナテ王国は、クローブ(丁子)の産地であり、隣のティドレ王国と共にクローブの生産を世界的に独占し、数百年に渡って繫栄した。17世紀に入ってポルトガルと組んだティドレ王国に対抗するためにテルナテ王国はオランダと組み、1607年にオランダの要塞となるオラニェ砦が建設された。現在も城壁などは残っているオラニェ砦だが、市の中心部にあるにもかかわらず整備されておらず、荒れるがままになっている。
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海岸部にあるミニバスターミナルから内陸部にあるホームステイまでは予想外に登り坂で、2キロといえどきつい道。朝食をとっていなかったこともあり、途中で休憩かねて食堂に入った。
注文したのはナシクニンイカン。ナシクニンは、米をウコンとココナッツミルクで炊いたご飯で黄色い色をしている。インドネシアで黄色は幸運や繁栄を象徴しており、黄色いナシクニンは祝いの席などで良く出される食事だ。イカンは魚で、この時はカツオの煮魚だった。
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もう一品は、ロントンサユールイカントゥルール。ロントンは、米をバナナの葉で包んで蒸し、圧縮して餅のような形状にしたもの。サユールは野菜。ロントンサユールはロントンに野菜スープを掛けたもの。そこにイカン(魚)とトゥルール(卵)を乗せたものが、ロントンサユールイカントゥルールとなる。
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インドネシアの安食堂は、作り置きのおかずがずらりと並べられており、主食にナシやナシクニン、ロントンなどをまず選び、そこに乗せるおかずを見ながら選ぶ形式が多い。持ち帰りも人気で、この店では持ち帰りの方が多かった。
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11時前にチェックインし、シャワーを浴びて洗濯、そして昼寝。
14時頃から出掛ける。街の中心へは下り道。今度は荷物もないので足取りも軽い。途中、ペンペ屋台で軽い食事をとる。ペンペはインドネシア各地で食べられている魚のすり身の練り物で、さつまあげのようなもの。タピオカの粉をつなぎに使ったスマトラ風が良く紹介されているが、ここではつなぎにサゴ粉を使っている。サゴ椰子からとれるサゴ粉は、ここマルク諸島からニューギニア島にかけての人々にとって重要な主食となっているものだ。ペンペにはいろんな種類があり、少しづつ味が異なっていた。
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街に出て、まずは船会社へ。国営船会社のペルニはインドネシアの庶民には国内を移動する重要な足となって来た。食事も出る大型船は揺れもなく快適で、私はこれまで何度も使っている。しかし、近年は安い航空路線が充実し、時間のかかるペルニの船は徐々に人気がなくなっている。そこにコロナのパンデミックで人々の移動が制限されたため、船便はかなり間引かれてしまっていた。今年になって航路が復活しだしたものの、航空路の発達しているジャワ、スマトラ、カリマンタンの航路は少なくなり、パプアの僻地への船が増えている。北マルク州からパプアに飛ぶには、直行便がなく、スラウェシ島やジャワ島に戻って飛ばざるを得ない。戻るのは嫌だったので、この区間はどうしても直行できる船に乗りたかったのだ。船は基本的に2週間に一巡する周回コースなので、日程の合う船は中々ない。テルナテからパプアに行く船は今朝出たばかりで、次の船は10日以上先となる。しかし、隣のティドレからパプアへの船が、5日後に出るので、その切符をここで購入したかったのだ。今はペルニの船もインターネット予約を受け付けているが、インドネシア発行のクレジットカードしか受け付けていなかった。購入寸前までトライし、満員でないのは確認したものの、実際に買うまで安心はできない。船会社は多くの人が切符を買うために並んでいたが、外国人を優先してくれ、並ばずに無事切符は買えた。
海際まで来ていたので、海岸の散歩道を歩く。どんよりした空模様だが、海は澄んでいて、地元民が楽しげに泳いでいる。
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ヤシ並木の遊歩道が続いており、ベンチも各所に設置されている。快適な散歩道だ。
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2010年に完成したアルムナワワールグランドモスクは一度に1万5千人が礼拝できる大きなモスクで、テルナテの新しいランドマークとなっている。御祈りの時間が近づき、礼拝を呼びかけるアザーンが延々と大音量で流れてきた。
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さらに歩くと大きな市場に出た。インドネシアでも僻地である島で、見慣れないものがたくさん並んでいる。
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市場のレストランの看板にパペダ(ポペダ)の文字。パペダはサゴ粉をお湯に溶かし、凝固するまでかき混ぜることによって作られる主食で、マルク諸島やパプアで食べられている。まだお腹は空いていなかったが、妻がどうしても見つけた時に食べておきたいという。まあ軽い食事なら食べられるかなと店に入ると野菜のおかずがずらりと並んでいる。そして席に着くと、野菜料理の上に魚料理を積み重ね、まるでパダン料理店かのようなテーブルとなった。パダン料理のように食べた分だけチャージされるのかと思ったが、食べ放題のシステムらしい。空腹でないときに入る店ではなかったが仕方ない。
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パペダは別注文で、食べ始めてから作り始めた。最後はテーブルに持って来て箸を2本使って丸めていく。パペダは上の写真左のスープに浸して食べる。パペダ自体の味はあまりないが美味しいスープに絡めると非常に食べやすい食事となる。
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野菜料理は素材の味を生かしたもので、完全な生野菜もある。種類が多く、いろんな味を楽しめて大満足。苦しくなるまで食べてしまった。これで1人400円は安い!
食事中にスコールが来たので、帰りはGrabでタクシーかなと思ったが、店を出るころには止んでいた。食べ過ぎたので腹ごなしもかねて散歩を続ける。
市場で見たことのない赤いブロックがあるなと思ったら、これがサゴ澱粉の塊だそう。調理に使っていたサゴ粉は真っ白だったが、こちらが本来の色なのか?
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約30分の帰り道は問題なかったが、宿に着くなり、スコール。そのまま深夜まで雨が降り続いていた。明日は宿のバイクを借りることにし、夜は行先を検討する。船でパプアに行くことが決まったので、先々の計画も色々考えたかったが、2夜連続でまともに寝ていないので、早い時間から眠ってしまった。