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2023年インドネシア»8日目 ティドレ
2023年09月03日(Sun)
8日目 ティドレ
朝から晴れている。インドネシアに来て一番の天気かもしれない。山にかかる雲も途切れて頂が見える。
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日曜日の朝だからか、宿近くの店は全く開いておらず、朝食探しに苦労する。諦めて宿に戻ってきたところ、すぐ近くの民家で朝食を販売していた。売っているのはペチェルピサンのみ。ペチェルはピーナツ味のソースで、昨夜も食べたガドガドのソースとよく似た味だ。ピサンはバナナ、ここでは青バナナを丸ごと茹でている。朝食にあう軽い食事だ。朝食にこれしか選択肢がないなら昨日ガドガドを選ぶんじゃなかったが、仕方ない。
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10時頃宿に戻った。今日は深夜出発の船に乗るので、チェックアウト時間までのんびり過ごす。
午後からはティドレの観光。16世紀、欧州人が香辛料を求めインドネシアに進出してきた時代に香辛料栽培を独占し栄えていたのが、テルナテ王国とティドレ王国だ。17世紀に入り、欧州勢力の侵略戦争に両国とも何度も抵抗し、オランダの保護国化するものの国の体裁は保ち続けた。Wikipediaにある下の地図は19世紀に入るころの両国の領土を描いている。赤がテルナテ王国、オレンジはティドレ王国、薄いオレンジはティドレ王国の属国。隣り合う小さな島の王国が、こんなに広い勢力範囲を保ち続けたのは驚きだ。南マルクからパプアにいたる広大な地域を治めたティドレ王国の中心が、今宿泊している宿の周辺だ。
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荷物を宿に預け、のんびり歩いていたら民家に庭先で木に登っている人がいる。美味しそうな実がたくさん実っているグアバを収穫しているのだ。
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見ていたら味見をさせてくれた。もともと私は好物なので喜んでいたら、食べろ食べろと次々と勧めてくれる。たくさん食べて、昼食は遅くなっても良いかなと思うくらいに満たされた。礼を言って立ち去ろうとすると収穫したグアバを全部持って行けと押し付けられた。遠慮したがまだまだなっているからといわれ、グアバをもって観光することに。
宿の近くにあったモスクはムソラアンヌル。この街のモスクには写真の右にあるような筒がたいてい置いてある。
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スルタンティドレモスクは、王のモスクである。今世紀になって再建されたモスクは、きれいにしてあるが、こじんまりしている。
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博物館はコロナ対策で休業したまま再開されておらず、見学はできなかった。
前方の丘の上にテフラ要塞が見えてきた。1609年にスペインが建てた要塞だ。1662年にオランダの東インド会社がスペインからこの要塞を奪い、ティドレ王国のスルタンの居城にしている。
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要塞の直下にクローブのモニュメントがある。妻は少し足を痛めており、階段を上る時に痛いということで、モニュメント周辺で待つことになった。
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私が登っている間、クローブのモニュメントでクローブの匂いがするので探したところクローブが干してあったそう。近所のおばさんが干したもので、色々話しを聞いたらしい。
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要塞の上からはディドレの街が一望でき、対岸のハルマヘラ島もよく見えた。石組はしっかり残っており、休み小屋もある。風が吹いて涼しく、汗だくになって登った身には気持ち良かった。
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次の訪れたのはティドレ王国の王宮であるカダトキエ。元の宮殿は、17世紀に建設され、19世紀に拡張されていたが、1912年に破壊された。旧王宮のあった場所に2004年から再建が始まり、2010年以完成したのが今のきれいな王宮だ。
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メインの建物には入れないが、外壁のない広間は解放されており、のんびり休むことが出来た。ここで持っていた残りのグアバも昼食代わりに食べてしまった。
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最後に訪れたのが、王宮の背後の丘にあるトーレ要塞。テフラ要塞よりも古く、1528年にスペインが建てたティドレ最古の要塞だ。完成翌年にポルトガルの支配下となっている。これだけ欧州勢同士の戦いの場になったにもかかわらず、テルナテもティドレよくぞ国を守ったものだと、歴史を読むと改めて感心してしまう。ここも急坂の上にあるので一人で登ったが、静かな場所だった。
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この後、ベントールに乗って市場に移動。昨日は荷物があったので雰囲気を楽しんだだけで、よく見なかったが、色々と珍しい食べ物も多い。クラッカーのような白い板は、サグ。元はサゴ粉で作られた乾パンのような伝統食で、原料名そのままにサグ(サゴ)と呼んでいたものだ。今はサゴ粉のものもあるが、市場で売られているものはキャッサバ粉で作るのだそう。でも名前はサグのまま。グーグル翻訳を使いながら売り子のおばさんに色々尋ねる妻、この時はかなり苦戦していた。
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こちらはイカンレブス、茹でたカツオだ。
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サヨリの燻製・・・と思っていたが、どうやら単なる燻製でなく、調味液に付け込んでいるものらしい。
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昨日コーヒーを飲んだ海岸のレストラン街へ。日曜日の午後だからか、今日はどの店も混んでいる。ここで早目の夕食としてバクソを食べる。バクソはミートボールのことで、麺と一緒に食べるインドネシアの定番料理だ。
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帰りは昨日も歩いた道を歩く。昨日のI love spices ののところで、今日手に入れたクローブとナツメグを手にもって、ポーズ。
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宿に戻り着いたところでスコールが来た。部屋はもうないが、キッチンは使っていいということでコーヒーをいれ、市場で買ったサグを食べてみる。コーヒーなどに付けて柔らかくして食べるのが良いと教えられたそうだが、個人的には別々に食べた方が美味いと思う。
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スコールが止まず、動けない。ベントールに乗って港に行くつもりだったが、雨だと空のベントールが走ってこないのだ。困っていたら宿のオーナーが車を出してくれることになった。新しい車は何と電気自動車! 島で唯一の電気自動車だそう。小さい島なので自宅充電だけで問題ないそうだが、思い切った買い物をしたものだ。
無事に港に着いて、待合室へ。雨なので乗客は狭い待合室に集まっているが、それほど混んではいなかった。
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食堂もあり、弁当も並んでいるが、お腹が空かなかったので、何も食べず。
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船は22時入港予定だったが、少し遅れ入港した時には日が変わっていた。