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2023年インドネシア»14日目 バリクパパン-サマリンダ-コタバグン
2023年09月09日(Sat)
14日目 バリクパパン-サマリンダ-コタバグン
東カリマンタン州に属する港湾都市バリクパパンは、石油生産と共に発展してきた。人口73万人、東カリマンタン州の州都であるサマリンダに次いで、カリマンタン島第2の都市となっている。昨年発表されたインドネシアの新首都ヌサントラに近いバリクパパンは、首都の玄関口としてさらに発展していくことが期待されている。
港も空港もカリマンタン島最大であり、サマリンダより空路も海路もずっと充実している。我々はサマリンダに行くために立ち寄っただけで、すぐに移動する予定だ。
出発前に、客入りの良い人気の店で朝食にする。
注文したのは写真のナシソプバンジャルアヤムカンプンとソトバンジャルアヤムカンプン。バンジャルは、カリマンタンの主要民族の1つで、東カリマンタン州にも数多く住んでいる民族の名前。アヤムは鶏肉、カンプンは集落を意味する言葉で、アヤムカンプンで地鶏(ブロイラーではない鶏肉)を指している。ソプもソトもスープを意味するので、ナシソプバンジャルアヤムカンプンが、ご飯付きのバンジャル風地鶏スープを意味し、ソトバンジャルアヤムカンプンはご飯なしでスープだけなのかなとメニューを見て解釈したが、確かめるためにひとつづつ注文してみる。その結果、ナシ(ご飯)が名前にない方はロントン(押し固めた米)が、同じスープの中に入っているものだった。妻はソトとソプの使い分けが気になってしまったようで、しつこく質問していたが、良く分からず。
ホテルをチェックアウトし、ミニバスで郊外にあるバスターミナルへ移動。この時運賃でもめて嫌な思いをした。インドネシアの都市においては庶民の足であったミニバス(アンコット)だが、配車アプリによるタクシーやバイクタクシーに客を奪われ、多くの街で機能しなくなっている。大きく値段が違う訳でもないので、今後はなるべくミニバスを使わないようにしようと我々も思ってしまった。
サマリンダ行きのバスは、ほぼ客がいないままバスターミナルを10時過ぎに出発した。
しかし、少し走った所のオフィスで客待ちをする。約40分かかって、バスはほぼ満席になり、出発した。地元の人は当然知っているので、バスターミナルではなく皆ここに来てバスに乗るのであった。
高速道路に入る手前にもオフィスがあり、そこでも客を乗せた後はほぼノンストップで、サマリンダに向かう。高速道路は車も少なく、快適なバス旅だ。
サマリンダの15キロほど手前でバスは高速道路から降りてしまった。数キロだけだが未舗装路も走る。地図を見る限り遠回りなのに、何故? マハカム川上流に行く道と合流してすぐに、バスは一度停車し、何人かの客を降ろす。乗り換え客の便宜を図るためだったよう。
船舶の行きかう幅広いマハカム川の橋を渡って、サマリンダのバスターミナルに到着する。
バスターミナルに着いたのが12時40分。一日2本のコタバグン行バスが、45分後に出るという。切符売り場のあるオフィスには一日4本のスケジュールが書いてあるが、時間も違うし、他の人に聞いても一日2本らしい。
サマリンダに泊まって明日朝の船に乗るか、途中のコタバグンまで今日行ってから、サマリンダから来る同じ船に乗るかをもともと迷っていた。ここでも即決はできなかったが、最終的にはコタバグンまで行くことに決める。
出発までにバスターミナルの食堂でランチを食べる。昨日の昼にも食べた黒い牛肉スープのラウォンとソトアヤム。ソトアヤムは朝のナシソプバンジャルアヤムカンプンとほぼ同じだ。
食後、時間はないが、近くにある船乗り場を見に行く。明日朝の船はすでに着岸している。思っていたよりは大きい船で安心する。
バスはどうせ遅れて出るだろうと考えて、時間ギリギリにバスターミナルに戻ったら、もう出るところでビックリ。ガラガラなのでバリクパパンみたいにどこかで新たな客を待つのかなと思ったが、バスはそのまま街の中心を避けて進む。約30分ほどサマリンダの外周を走り、タウフィクモスクの前でやっと停止。ここで数人乗って来た。
蛇行するマハカム川沿いの道ではなく、山越えをし、再びテンガロンの街でマハカム川沿いに戻り、マハカム川最上流の橋を渡る。
テンガロンは、東カリマンタン州に属する3市6県の1つクタイカルタネガラ県の県都となっている。18世紀にイスラム王国の都として設立された古都であり、博物館がおもしろそうだったので訪れる計画だったが、パプアを訪れたためにカットされた。訪れるつもりだったビジターセンターにある時計台の脇を通って、バスは進んでゆく。
コタバグン到着は17時半、4時間のバス旅だった。ここもマハカム川の河畔にある古くからある町だ。増水時には水没する遊水地にあり、車道には盛り土がされているが、住宅は高床式で、道は木道になっている。
板葺き屋根の伝統家屋が散見され、散歩をしていて楽しいところだ。
ここから上流の地域には、車道がなく船でないと行けない集落も多い。交通の要所であり、宿はたくさんあるが、ネット予約できるところはまだない。直接行って部屋を見せてもらうという、昔ながらの方法で宿を探すことになる。地図で目星をつけていた宿に行ってみると、ぼろいのに高くて驚いた。しかし、よくよく聞いてみると高いのはその一部屋だけで、あとは半額以下の値段である。部屋の広さは同じで、高い部屋にはエアコンがあっただけ。エアコン付きの部屋は暗いのが嫌だったが、同じ広さでエアコンなしの部屋は日当たりがよく明るいので悪くはない。昔はこんな寝るだけの宿にばかり泊まっていたので、問題はない。値段相応だと思ったので、この宿に決めた。
ホテルの周辺に背の高い木造建築物が点在している。来る途中の村にも多く、気になっていたが、これはツバメの巣をとるための建物だという。熊の掌(てのひら)やフカヒレと並び、ツバメの巣は中国3大珍味の1つだ。ツバメの巣といっても日本にいるツバメの巣ではダメで、断崖絶壁や洞窟の中に営巣するアナツバメの巣のみが珍味として食べられている。中国南部から東南アジア、オーストラリア北部に住むツバメで、中でもカリマンタンは昔から重要な産地だった。自然に営巣した巣を苦労して集めていた高価な食材が、今ではこのような建物で集めることができるようになったのだ。カリマンタン各地で見ることができるが、コタバグンには特に多く、ツバメの鳴声が至るところで聞こえ、うるさかった。
奥地に行けばクリスチャンの多いカリマンタン島だが、イスラム王国時代に成立したコタバグンは95%の人がイスラム教徒で、モスクから流れるアザーンが日没時に流れ、お祈りに行く人々が続々とモスクに入って行った。
川に面したおしゃれなカフェが見つかり、ここで夕食をとることにする。
着いた時は空いていたが、お祈りの時間を終わると続々と人が集まり賑わう人気のカフェだ。
ドリンクも一々パックして出してくれる。左がタロイモドリンク、右はパンダンコーヒー。パンダンは日本語ではタコノキと呼ばれる熱帯植物で、葉は香りを楽しむスパイスとして使われる。
アヤムグプレは、サクサクの衣をつけたフライドチキンを砕いて、辛くてスパイシーなサンバルと混ぜ合わせた料理。しかし、ここでは砕いたフライドチキンとサンバルが別々に出てきた。
次はピサンケジュ。ピサンはバナナで、ケジュはチーズ。挙げたバナナにチーズとチョコレートのせたもので、甘ったるいが意外にうまい。
帰り道に市場に立ち寄る。こじんまりした市場で、通路はここも木道だ。
最後に蚊取り線香とコーヒー、砂糖を買って宿に戻る。風通しの良い部屋は夜になると気温が下がり、エアコンなどあってもつけなかったと思われる。部屋には蚊帳も網戸もないので蚊取り線香を買ってきたが、ツバメがうるさいくらいの部屋なので、蚊はいなかったかも。