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2023年インドネシア»16日目 -マラック-バロントンコ-エヘン-バロントンコ
2023年09月11日(Mon)
16日目 -マラック-バロントンコ-エヘン-バロントンコ
午前2時頃に船はマラックに到着。当初の計画ではもっと奥のトゥリンまで行くつもりだったが、乗った船の終着がマラックだったのだ。トゥリンまで行くつもりだったのは夜中の到着が嫌だったからだが、この船はマラックが終着なので朝まで船で寝ていて良いということで助かった。ほとんどの乗客は着いてすぐに下船したが、数人は我々と同じくそのまま朝まで寝ていた。
明るくなって他の乗客は下船してしまったが、あまり早く降りても仕方ないので、起きてからも船でゆったり過ごした。
8時前に下船する。夜中に人々が下船した後、船は少し動いて、本来の船着き場よりも少し下流に係留してあった。おかげで下船は板を歩いてすることに。
港近くの商店で軽食が色々売っており、食べたかったが、妻が食堂に入りたいというので、先に進んだ。
朝食は家で食べるものなのか、テイクアウトの店はあっても食堂はなく、そのまま30分以上歩く。マラックのイスラムセンター・アル・ムッタキン・モスクは、西クタイ県最大のモスクで広大な敷地を持っている。疲れたのでここで一休み。乗船前に買って食べきれていなかったバナナとミカンで朝食にする。
街の西端にあるのがマラックのランドマークとされるトーマス・ディディク時計塔。この辺りが街はずれなので、その先にあったガソリンスタンド付近でヒッチハイクを試みる。
マラックは配車アプリが使えない田舎町で、市バスもないらしい(実際には新しいバス停があったのであるとは思う)。という訳で、隣町であるバロントンコまではヒッチハイクで行くことにしたのだ。幸いなことに、ほとんど待つことなく、すぐに車が停まってくれた。バロントンコに行く用事はなかったお姉さんが運ちゃんだったが、送ってくれることに。その代わりではないが、彼女の趣味がTikTokの動画アップで、車内でインタビューを受け、その動画がTikTokに・・・。
お姉さんにお勧めのホテルを聞くと知り合いに電話で聞いてくれて、ほぼ希望通りのホテルにチェックインすることが出来た。ただし、部屋に入れるのは12時以降とのこと。ロビーで一休みにフリーのコーヒーを頂く。
荷物を預け、街を歩く。すぐ近くに何軒かイノシシ肉の肉屋があった。イスラム教徒の多いインドネシアでは豚肉を売っている店を見ることさえ少ないのに、イノシシ肉専門店がメインストリートに並んでいるとは驚いた。
11時近くという中途半端な時間だが、食堂が空いていたので、早目の昼食にする。イカンゴレン=魚フライがメインのナシチャンプルだ。魚はハルワン(Haruan)、雷魚の一種らしい。
ここからは今も人が住んでいるロングハウスがあるエヘンという村を目指す。エヘンがここまで来た目的なのだ。ロングハウスは、カリマンタン島にある伝統家屋で、その多くに数十世帯が住んでいた建物だ。昔はカリマンタンの旅といえば、川をロングボートで遡り、ロングハウスに泊まるというのが定番だったのだ。ダヤック族と呼ばれるカリマンタンの先住民はそのほとんどがロングハウスに住んでいたのだ。残念ながら今はそのほとんどは無人となり、破棄されてしまっているのでこんな奥地にまで来たのだ。
という訳で、食事の後は再びヒッチハイクだ。メイン道路ではなく、車が少ないことを心配したが、今度もすぐに乗せてもらえた。今度の人は母親がエヘン出身で、エヘンに用事があるというので、気楽に乗れた。英語は流ちょうで、エヘンのことを色々教えてもらうこともできた。
ロングハウスの前で降ろしてもらえ、非常にありがたかった。まずは広場にあった巨大な木像を見る。鳥に人がまたがったユーモラスな像。
ロングハウスは高床式の木造で、細長い造りをしている。写真を撮っていると来訪者に気がついたようで、住民が姿を現し、呼んでくれている。
内部の手前半分は共有スペースで、そこで数人の人が編み物をしていた。奥は個室になっており、最盛期にはここに35世帯が住んでいたという。来訪者が村に来た時に宿泊するのはこの公共スペースで、日本人も何度か泊まったそうだ。
籠を編む女性。ツーリストが来たと思って土産の首飾りを勧めてきたが、買う気がないと分かるとすぐに籠を編む仕事に戻ってしまった。
個室側は一ヶ所に数部屋あり、各個室にキッチンが付いている。現在の住民はこの家族だけで、後の人はみんな出て行ったという。
屋根も木製の板葺きの屋根。
建物の周りには木彫りの像がたくさん並べられている。
訪問中に子供たちが学校から帰って来た。
1時間ほどでロングハウス訪問を切り上げ、村歩きをする。ロングハウスで編み物を作っているのはツーリスト向けのパフォーマンスかと思っていたが、他の村人もあちらこちらで編み物をしている。普通に内職のようだ。
庭先に見たことのない木の実がなっていた。この辺りではブリンビン・テルンジュという木の実だ。インドネシア語ではブリンビング・ウルーという。酸っぱいフルーツで、料理などに使われるという。喉が渇いていたこともあり、パクパク食べてしまう。
カカオの木がある家もあった。インドネシアは世界第3位のカカオ生産国だ。スラウェシが主な産地だが、カリマンタンでも作られているのだ。
歩いていると来る時に乗せてもらった車がやって来た。この村での用事を済ませ、バロントンコに戻るところだという。もう少し村を歩いても良かったが、せっかくなので乗せてもらうことにする。
車の中で、豚肉の話になった。豚肉料理がおいしい店を教えてくれるということになり、連れて行ってもらうとなんと泊まっているホテルの隣。一緒にランチを食べようということになり、本日2度目の昼食である。この辺りはキリスト教徒がほとんどで、普通に豚肉を食べるが、豚肉を毛皮らしいと考えるイスラム教徒に配慮し、メニューには豚肉と書かず、隠語でB2(ベドゥア)と書かれている。ちなみにB1は犬肉を指すらしい。豚料理は3種類4皿注文した。右側2皿は、ベドゥア・リチャという揚げ物。右下はベドゥア・ゴレン=豚肉炒め、右上はベドゥア・バカール=焼き豚肉である。久しぶりの豚肉はやっぱりうまい。ちなみにこの店はスラウェシのトラジャ料理の店。トラジャもキリスト教徒がメジャーな地域で皆さん豚肉は平気なのだそう。
レストランを出たところで黒雲が広がりだし、すぐにスコールが来た。そのまま午後は雨が降り続き、外出できなかった。夜になって雨が止み、もう一軒のB2レストランへ。ここはメニューにB1があり、どうせならどちらも味わおうときたのだが、B1は品切れ。昼とほとんど同じようなB2料理になってしまったが、美味しいので問題はない。こちらの店はスマトラ島トバ湖周辺からの出稼ぎだそう。トバ湖周辺のバタック族もキリスト教徒が主なのだそう。