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2023年インドネシア»22日目 パランカラヤ
2023年09月17日(Sun)
22日目 パランカラヤ
朝はまず4キロほど離れた市場の方向に向かって散歩する。途中にあった食堂で朝ごはん。ソトバンジャルを注文する。ソトはスープで、バンジャルは、南カリマンタン州を中心とする沿岸部に住むバンジャル族の名である。世界で400万人とされるバンジャル族の過半数がバンジャルマシンを中心とする南カリマンタン州に住むが、ここ中部カリマンタン州にも50万人近くが住み、人口の2割を占めている。バンジャル族の文化は広がっており、たまたま入った食堂がバンジャル族の店であるのは普通のことだ。
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ソトバンジャルは、春雨に鶏肉などを乗せ、その上からスープを掛ける麺料理で、スパイスをふんだんに使っているが、さっぱりしており食べやすい麺料理だ。
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ブラウラン市場に近づくにつれ、ツバメの声がうるさいなと思ったが、市場の中に巨大なツバメタワーがある。こんな都会の中心部に作るくらい儲かるのだろうか。
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市場は大きく、一通りのものは何でもある。内陸の都市だけあって、鮮魚よりも干物や燻製が目立つ。
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大きな音を立てている食品加工所が何ヶ所もある。インドネシア名物バクソを作っているのだ。いわゆるミートボールだが、小麦粉でなくタピオカ粉で作るのが美味しさの秘訣のよう。作っている様子は初めて見たが、味の素などいろいろな粉を入れて味付けを工夫しているからこそ美味しいのだと良く分かった。
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市場を抜けて川沿いの水上家屋のある地区を目指す。水上家屋といっても内陸なので、川の遊水地に建つ集落だ。パプアのソロンや東カリマンタンのマハカム川で見たのと同じように、高床式の木造住宅が並び、道は木造だ。
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川岸には水上家屋や生け簀があるのはここも同じだ。
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人が集まり賑やかな方に行くと皆さん何やら食事をしている。
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結婚式だ。式を挙げたばかりの二人は花に囲まれ、写真を撮られている。
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我々も呼ばれ、おふるまいを頂く。マルクのソフィフィのように贅沢な食卓から選ぶビュッフェ形式ではなく、同じものをさらにどんどん盛り付け配っている。贅沢な食事ではないが、楽しい食事となる。メインは赤いソースのかかった鶏肉で、アヤムマサックメラという。
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食べ終わりゆっくりしていると先ほどの食事が品切れとなり、ソトアヤムが登場した。両方食べている人は目にしなかったが、勧められたので、こちらも食べてみる。
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贅沢な料理でなくとも2食分頂いたので、お腹はいっぱい。しばらくは皆さんの様子を観察させてもらう。その間妻は厨房に入り、作り方など聞いていた。
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仲良くなった人々と記念撮影をし、次の目的地に向かって歩き始める。しかし、子供たちはずっと付いてきた。
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川沿いの公園で一休みし、隣の集落へ。集落間は行き来が少ないようで、道が細くなっている。子供たちはここでいったん戻ろうとしたが、結局また付いてきた。
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川べりに出て、漁の仕掛け網や橋を見る。橋を渡って対岸に行くつもりだったが思ったよりも遠い。川沿いの道が途切れたこともあり、戻ることにする。
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遊水地は湿原のようになっている。要は河川が増水した時に冠水するだけで、通常は水のない空き地だ。
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遊水地にある集落の間は子供たちが付いてきたが、坂を登ってビル街に出る前に子供たちは戻って行った。
首都計画で作られた街なので、交差点が大きく、交差点の周りは公園になっている場所が多い。
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雲行きが怪しくなり、急いでホテルに向かう。13時前、ホテルに着くと同時に、スコールが来た。ものすごい豪雨となり、外出などとんでもないありさまだ。仕方ないので午後は宿でのんびり。明日のバスをネット予約、その先の宿や飛行機もその勢いで予約した。これでもう帰国までの予定は確定となる。
16時頃から小振りになり、17時過ぎに雨は止んだ。夕食はダヤク料理店に向かう。
カリマンタンの先住民であるダヤク族はカリマンタン島に住むイスラム化しなかった先住民各部族の総称である。中央カリマンタン州に住む住民の約半数がダヤク族である。他には、ジャワ島からの移住者であるジャワ人が2割、カリマンタンの先住民族だがイスラム化しているバンジャール人が2割となっている。ダヤク族は大勢住んでいるが、食堂を出す習慣がないのか、ダヤク料理を出す店は非常に少なく貴重なのだ。
注文したのはまずカンダスポト。カンダスは写真のすりつぶす道具を指す言葉で、ポト(potok)は右側にあるピンクの野菜で、ミョウガに似ている。カンダスポトはポトを唐辛子など一緒にすりつぶして作る。
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完成したカンダスポト。メインのおかずというよりは、ご飯を食べるための付け合わせに近い。
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次が本日のメインであるワディゴレン。ワディは、なれ寿司=魚を塩とデンプンで乳酸発酵させたものだ。今日の魚はこれまでも何度か食べているイカンパティンである。なれ寿司といっても生で食べるのではなく、ここではゴレン=揚げている。ジューシーでうまみがすごく濃厚な魚になっていた。
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もう一品が、ジュフシンカウンブ。ハヤト瓜と魚の入ったスープだ。
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選んだ3品はいずれもダヤクスペシャルとしてお勧めしてもらったもので、これまで食べてきたインドネシア料理とは少し違った感じがした。
食後、なれ寿司の発酵途中のものを見せてもらう。意外と匂いはきつくはないが、発酵の香ばしさは漂う。
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お店のスタッフや他に来ていたお客さんたちと仲良くなり、皆で記念撮影。ご飯は食べ放題で、白い紙には「ご飯はお好きなだけお召し上がりください」と書いてある。
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素晴らしい食堂で、楽しく有意義な時間が過ごせ、大満足。