ホテルの朝食は、ワッフル、シリアル、オートミール、果物に、ジュースやコーヒー。今日も朝からいっぱい食べての出発だ。
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宿を出てすぐに、家ごと引っ越しさせているトラックに遭遇。オーストラリアのハイウェイで見たことはあるが、街中の狭い道で見たのは初めて。すぐそばを通ると結構な迫力だ。
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馬車を停めている家を見るとアーミッシュの家だなと分かるが、普通はそういう家に車はない。両方停まっていたが、どちらかが訪問客なのだろうか。
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アーミッシュ村観光の中心になっているストラスバーグのスーパーマーケットに立ち寄る。あまり見慣れないアーミッシュの伝統料理がたくさんあり、楽しいスーパー。せっかくなので何か買おうと思っていたが、試食が豊富にあり、色々頂いてしまったので、見学しただけ。
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ここからは一路西へ。今日の目的地はウエストバージニア州。70年代世界的にヒットしたカントリーロードの歌詞には何度もウエストバージニアが入っており、今では州の公式ソングの一つになっている。子供の頃繰り返し聞いた曲なので、ウエストバージニア=カントリーロードのイメージが私にはあり、昨夜宿で日本語バージョンも含め色々聞いた。故郷ウエストバージニアに続く道がカントリーロードであり、途中の地名はウエストバージニアの東側の地名となっている。つまり、東海岸の大都市からウエストバージニアに向かう道がカントリーロードなのだと思われる。というわけでカントリーロードをずっと口ずさみながら、車を走らせる。
11時15分にメリーランド州に入る。メリーランド州はワシントンD.C.に隣接する東海岸の州で、ボルティモアを始め大都市を五つも有する米国で5番目に人口密度の多い州となっている。しかし、今日の道は州の西隅であまり人の住んでいない地域。紅葉の森をひた走る。
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片側2車線の高速道路で走行車線側を走っていたところ、急に前の車が一斉に追い越し車線に移動した。何か分からなかったが、移動すべきなのだろうと思いスピードを緩めるが、急に何台も入った車線は車間がなく入れない。そのまま進むと路肩にパトカーが見えた。元々あまり飛ばしていなかった上に車線変更したくてスピードを落としていたので、スピード違反は大丈夫とホッとして進んでいたら、その後でサイレンの音が響いてきた。誰かがスピード違反で捕まるんだろうなと思ったら、パトカーが自分の車の後ろにぴったりと着いた。それでも抜かしていくと最初は思ったが、ロックオンされたのは自分だと気がつく。どうすべきなのか分からないが、停まれそうな路肩だったので、路肩で停車。すぐ後ろにパトカーは停まり、ポリスがやってくる。最初は何故捕まったのか分からなかったが、説明を聞いて納得する。路肩に車がある時は、徐行するか、車線を空けねばならない規則があるのだそう。これまでそういう走り方を何度か見て、途中からは自分たちもそうしていたのに、この時は完全に忘れていた。路肩にパトカーが見えた時はとっさにスピードメーターを確認し、ホッとしながら進んでしまったのが失敗。無理やり車線変更せねばならなかったのだ。「日本にそんな規則がなく、知らなかった。今度から気を付けるから許して。」と頼んでみたが、ダメ。パスポートと免許、レンタカーの契約書を受け取ったポリスはパトカーに戻り、我々は車内で待たされる。数分後、警告書類を渡され、説教を食らったものの、そのまま解放された。警告だけで罰金もなしだが、記録に残したので次回はダメだということだ。停車していたのは10分だったが、すごく長く感じた時間だった。
走行を再開し、約20分でウエストバージニアに入る。最初の町モーガンタウンで昼食と思っていたが、妻の食べたいものを出している店がここにないということで、スーパーマーケットへ。夕食の買い出しをして、給油。
15時にフェアモント到着。ウエストバージニア州の公式フードとして選ばれているのがペパロニロールで、それを求めて訪れたのは小さな食堂だった。ペパロニは唐辛子などの香辛料を使ったピリ辛のサラミで、それを細長く切ってロールに挟んだものがペパロニロール。ウエストバージニアの炭鉱で働くイタリア移民が坑内で食べるシンプルな弁当として100年ほど前に考案したのがペパロニロール。州内全域で人気を博し、今では州内のどこでも食べられているのだそう。
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もう一品食べたのがスロードッグ。スロードッグはホットドッグの上にコールスローサラダを乗せたものだが、ウエストバージニアのスロードッグは、ホットドッグの上にひき肉と玉ねぎを炒めたものを乗せ、さらにコールスローサラダを乗せるのが特徴。具だくさんの贅沢ホットドッグだった。
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ウエストバージニア州は山岳州と呼ばれるだけあって、山ばかり。有名な見どころはあまりないが、良さげな公園は無数にある。今日の観光はそんなところを考えていたが、ポリスにつかまり、精神的に疲れてしまった。時間は早かったが、昼食後は宿に直行した。15時半宿到着。本日の走行は287マイル、462キロ。ここまでで最長の距離を走った。
夕食は、サラミとチーズをつまみに赤ワインを飲む。
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主食は甘くないパンにしたかったが、妻の希望でアップルサイダードーナッツ。アップルサイダーが人気のニューイングランドでの名物だ。ワインに合わないので、酒盛りが終わった後で紅茶を入れて味わった。
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