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2018 太平洋周遊
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マーシャル諸島、キリバス、ソロモン諸島、ナウル、ミクロネシア連邦の旅
19日目 ナウル(アイウォ→ボエ→アイウォ→内陸部→島1周→エワ→内陸部→エワ→アイウォ)
国民の豊かさ指標として一人当たりの国民総所得が使われていた40数年前、その指標を私が初めて学校で習った時の世界一豊かな国が、ここナウルである。リン鉱石でできた島で、その資源による収入によって、税金なし、教育無料、医療無料を成し遂げた楽園のイメージで当時は語られていた。将来の資源枯渇に備え、国営企業を色々興し、国民が移住できるよう不動産投資も盛んだという話だった。
20数年前に訪問した時は、リン鉱石の大半は掘り尽くされ、輸出は細々と続いている状態となっていた。不動産投資は失敗に終わり、オセアニア各国に進出していた国営ホテルグループは、本国であるナウルを除いてすべて撤退していた。国民に活気はみられず、悲しい気持ちになった覚えがある。
10数年前には、資金援助と引き換えにオーストラリアに向かっていた難民を受け入れたり、唯一の足であった国営航空会社が資金難で運航停止したり、通信設備を維持する資金も枯渇し、海外からの連絡が一切取れなくなったりという状況になったりもした。かつて世界一豊かだった国の破綻・・・。
ここ10年くらいは大きなニュースがなかったものの、宿の確保やビザ取得が困難で、訪問が難しい国の一つとなっている。20数年前に訪問した時の体験や10数年前に続いた報道のイメージが強く、気の進まない訪問であった。しかし、このイメージは初日である昨日で大きく変わった。今回の訪問国はすべて23年前に訪問した国の再訪問だが、当時と比べて最も勢いのあるのは明らかにこのナウルだ。独立50周年の祝賀行事に向けて皆が明るい気持ちになっているように見える。
明日から祝賀行事が始まるので観光はなるべく今日のうちにしておきたい。まずはリン鉱石、2000年には枯渇するといわれていたが、今も続いている。今日から1週間ずっと休みのはずなので採掘している様子は見られないが、採掘現場に行ってみたい。昔と同じように内陸へ続く道を歩く。前回はほとんど車が通らなかったのに、今回は次々と車が通っている。内陸部に設けられた難民キャンプにまだ大勢の人々がいるのだろう。歩き出してすぐに新しい採掘現場があった。新しい場所は白いが、放置されて古くなると色が黒くなり、植物も生えてくる。
しばらく進むとゴミがやたらと落ちている。案の定、その先に大きなゴミ捨て場があった。キリバスなどでは海に埋め立てでその場所が追い付いていないので海が非常に汚くなっているが、この国の海は綺麗だ。その代償がこの内陸部のゴミ捨て場。仕方ないことだが、ゴミの量を考えていかないと南の島がだめになると改めて思う。
古い採掘跡が広がる場所を進んでいくとテントがあり、その多くに建物が見える。難民施設のために働く職員の宿舎だ。中には入れなかったが、外にいる人と話をする。昨日から何度も見かけているバスの多くはこの職員たちのためのものだった。暑い中をあまり歩くと危険だからこのバスに乗りなさいと勧められ、乗せてもらう。リン鉱石の採掘場に行きたいと伝えたつもりが、うまく伝わっていなかったのか、バスは来た道を戻ってしまった。しかし、そのまま島一周し、その間中、職員の人が島のことを色々解説してくれた。
また別のバスに職員と一緒に乗って、最後は島の北部エワ地区で降ろしてもらう。新しいスーパーやレストランなどがあるビーチのある地区だ。昼食を、レストランでとるか、スーパーで食料を買ってビーチの小屋でとるか。迷ってビーチの小屋を見に行ったら、そこで食事をしていたパキスタン人に招かれ、ご馳走になる。ナウルに来て4年ほど、ゆくゆくは米国に渡りたく、許可を待ちながら、ここのスーパーで働いているという。難民としてきたのかどうかは確認できなかったが、おそらくはそうなのだろう。
食事のあと、近くからまた内陸部へ進んでみる。こちらにも新しいリン鉱石採掘跡が広がっている。グーグルマップの航空写真では森林の場所なので、ここが最新の採掘現場だ。
さらに進むと両側に延々と黒くなったリン鉱石採掘跡が続く。鉱山につき立ち入り禁止の看板がある。古い看板だが、気がつかなかった振りして進むには目立つ看板だ。その先には大きな難民キャンプが見える。鉱山はそのずっと先のはず。難民キャンプに看板無視して入るのは面倒なことになりそうなので、ここで退却。
島外周の道路まで出て、ヒッチハイクで戻った。これ以上歩くと日射病になるかもと思ったくらいなので、早い時間だがシャワーを浴びて昼寝をする。
19時から近くの運動場で50周年記念ビンゴ大会があるので行ってみた。ものすごい数の人が集まっていた、商品には車もある。多くの人は車で来て、車内で参加。バイクで来た人などはゴザを敷いて座っている。日本のビンゴと違って、ルールは少し複雑そう。10回行われるそうで、10回分のシートが50$! 4500円も払って皆さん参加するのだ。1回分5ドルでも参加できるが、多くの人が10回分の束を買っている。
一度だけ参加しても良かったが、商品が当たっても困るので様子を見ただけで、参加せず。夕食をとって宿に戻った。