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2018 太平洋周遊
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マーシャル諸島、キリバス、ソロモン諸島、ナウル、ミクロネシア連邦の旅
24日目 ナウル(アイウォ→エワ→ヤレン→内陸部→アイウォ)
実質的なナウル最終日。出発便は明日朝5時、チェックインは3時間前とあったので、午前2時に空港へ行かねばならない。この時間の出発なら今夜も宿泊が普通だが、宿代が料金に見合わないことを知っていたので、予約は今日までにしてある。チェックアウト時間を確かめていないので、10時前にフロントに行くも、ロビー自体が施錠されており、無人。昨夜は遅くまで行事があったので宿の人々もまだ寝ているのだろう。到着時に色々とトラブルがあったのですっきりチェックアウトしたかったが、これでは仕方ない。
本日もまだ独立50周年記念週間で行事は続くが、メインイベントの翌日とあって少なめになっている。楽しみにしているのは夜8時からのエンターテイメントのみ。チェックアウト後は、カルチャービレッジでひたすらのんびりし、夜のエンターテイメントが終わったら空港に行ってしまおうという計画である。チェックアウトできるまでは部屋でのんびりすれば良いので、フロントが開かないのは逆にありがたいくらいだ。
ミクロネシアでは、余った食べ物を持ち帰りする文化があり、容器まで用意してくれていることが多い。昨夜もビュッフェに持ち帰り準備があったので晩餐会の残り物が今日の朝食である。昨夜の食べ過ぎで、目覚めた時はまだ食べられなかったが、10時くらいには食べられそうになり、持って出るのも面倒なので食べてしまう。
食事の後、妻がフロントの様子を見に行き、しばらくしてご機嫌で戻ってきた。宿代が予約確認書と同額で済むだけで御の字だったのに、なんとレイトチェックアウトを無料でしてもらってきたのだ。しかも、明日の午前2時まで! 清掃担当者の勤務時間を考えて昼過ぎまで無料でも良いといってもらえることはままあるが、午前2時までなら1泊分無料サービスに等しい。しかもその時間に無料で空港まで送ってくれるという。もともと無料送迎サービスがあるホテルだが、チェックアウトしてから半日以上たった夜中の出発なのでこれも期待はしていなかった。歩いても15分くらいだが、送ってもらえるならそれに越したことはない。ありがたいことだ。
ナウル滞在中は行事続きで忙しく、日記は滞っており、写真の整理もできていない。ローカルフードを調べている妻は私よりも大変そう。なんせ事前にナウル料理をネットで調べてもほとんど何も出て来なかったのに、昨夜だけでも10種類の新たなローカルフードを食べている。滞在期間通算すればどれだけ食べたことか。食べる時に名前は聞いているが、綴りや正しい発音、できればレシピも知りたいということで、ナウル滞在中にナウル人に質問しておきたいことが山ほどあるという。せっかく部屋も使わせてもらえることになったので、なるべくホテルにいて作業を進めようということになった。
とはいえ、ナウルの最終日である。昼間から部屋で日記を書くのももったいない気分になり、昼前に一人で散歩に出る。とりあえず、予定通りにカルチャービレッジへ。ちょうど台湾ファームの人々が卵の特売会をしていた。昨日訪れたファームでは一切販売をしていないと言っていたが、もう一軒あるファームでは販売もしているのだろうか。独立記念日のイベントのために来た人々が販売していたのでそのために持ってきたのかもしれない。独立50周年記念行事のプログラムにも載っているマッシュルームファームオープン行事の宣伝も、この特売会は兼ねていた。今日の15時からで、もともとはこれに参加するつもりだったが、暑い時間に行動してシャワーも浴びれず出国するのが嫌だったので、昨日訪問しておいたのだ。その台湾ファームでは、昨年まで野菜、果物だけの栽培で、マッシュルームは今年からの栽培なのだ。毎日9時から無料WIFIを飛ばすはずのカルチャービレッジだったが、ここでも担当者は寝坊しているようで、WIFIはまだ飛んでいない。台湾ファームを除くと、他のブースもすべて無人である。通りを歩いている人も少なく、あまりに閑散としているので、宿に戻る。
14時頃に2人で昼食に出る。ナウルに来る前は祭りでふるまいがある習慣など知らず、レストランばかりに行くことになると思っていた。しかし、ふるまい以外にも、昔は見なかったを弁当を売る習慣も出来ており、レストランに入った回数は予想外に少なく終わる。もっとも、レストランのほとんどが広東省出身の中国人経営で、しかも取り決めがあるようで基本メニューや値段は全く同じ。これでは数回行けば十分に思ってしまう。難民が始めたパキスタン料理店などもあるそうだが、徒歩圏内にはなく、行かずに終わる。
食事の後、もう一度カルチャービレッジに行ってみた。さすがに午後になって皆さん起きたようで、というより、バナバ島の人たちのダンスが終わったところだったので、数時間前と打って変わって賑やかだ。WIFIも飛んでいたが、人が多いと今度は遅い。新しいスマホの妻はある程度使えているようだが、私の古いスマホではウェブサイトの一つも開かず。すぐにあきらめ、一人で散歩。昨日写真を撮らなかった港で泳ぐ子供たちやアルミのアウトリガー船などの写真を撮りに行く。
さらに歩いていると地元の人にドライブしないかと誘われた。ナウル人は目的なしに車を走らせるという話がインターネット上に散見できる。誘われた時はこれが噂の目的なしドライブかと思い、話の種に乗せてもらうことにした。急いでカルチャービレッジに残っていた妻を呼んできて出発。目的地おまかせで着いた場所は、2日目に来ていたエワのビーチ。ここにあるスーパーでドライバーの娘さんが働いており、実は彼女を迎えに行くために車を走らせていたのだ。何のことはなく、しっかり目的はあって走っていたということ。しかし、車中の会話で今日が最終日という私たちにナウルをもっと見せたくなった様で、どこか行きたいところはあるかと娘さんが来てから尋ねられた。とっさに、ピナクルスを見たいと答える。ピナクルスはとがった岩の意味で、ナウルでピナクルスといえば、海岸や内陸にいくらでもある突き出た石灰岩を指す。東海岸にある大きなピナクルスの写真を撮りに行きたかったのだが、おじさんは内陸部の方が大きくて見応えあるぞと自慢する。家に帰るのに東海岸を通っても大した距離の差ではないが、わざわざ内陸部は行くの大変である。さすがに申し訳ないと思ったが、見逃しているリン鉱石採掘の様子も見に行けそうなのでお願いした。
内陸部に上がる道はもといたアイウォなので来た道を戻り始める。車中で、真水の湧いている洞窟を知っているかと聞かれたが、知らなかった。実は彼らの家の近くだということで、一度家に行くことになった。同乗していた奥さんや娘さんに用事があり、内陸部には行きたくない様子なので、そのために家に戻る口実を考えたと感じ、洞窟に期待はしていなかった。しかし、意外に広くて面白い場所で、観光客が来ることもあるという。太平洋戦争時にはここらが日本軍が水を引いていたということで、その時代の遺物もいくつかあった。
せっかく来たので家も見せてもらう。質素な暮らしで、漁網やココナツのコプラ削りなどは常日頃から使っている様子で、炊事場は野外で薪を使っている。ミクロネシアと共通の伝統的な暮らしをしている人がナウルにも普通にいるのだ。これならリン鉱石を掘りつくしても大丈夫だろうとこの家族の暮らしを見て思った。
そして内陸部へのドライブ、2日目に歩いて行った道を走り、さらに進むと現在のリン鉱石採掘場がある。95年に来た時よりもずっと大規模だ。以前のシステムでは採算が合わない深さでも掘れるように機器を更新したということなので、規模が大きくなっても実際のもうけは分からないが、活発に掘っているのは間違いなさそうだ。
逆側から見て引き返した難民キャンプの入り口にも連れて行ってくれた。出入りの管理は厳重で、これはあの日に進まなくて良かったと思った。
お目当てのピナクルスは、鋭くとがったものとナウルで一番大きいというものを見せてくれた。どちらも見ごたえがある。
17時頃宿近くまで送ってもらってドライブ終了。20時からのエンターテイメントまでホテルの部屋でゆっくり休む。
20時からのエンターテイメントは昨日と同じ場所だが、VIP席の場所がずっと少なくなっている。昨日のセレモニーのために来ていた各国代表団の多くは、すでに帰国していたり、早朝のフライトに備え休んでいるのだろう。おかげで一般席も前は非常に見やすい場所となっている。早めに行った我々も無事前方に着席することが出来た。
各国の代表は滞在中ずっとアテンドの人が付いて車も専用車だが、本日は特にアナウンスされることなく次々と着席していった。日本の代表や我々と同じ飛行機に乗るマーシャル諸島の代表はいなかったが、台湾大使夫妻や英国代表の在ソロモン大使などの姿はある。大統領夫妻はもちろん参加だ。最後まで疲れも見せずホスト国のトップとして頑張っている。今日は、独立50周年に合わせ招待されて来た国外出演者たちの最終公演である。台湾の雑技団やグアムのチャモロダンスなど、何度か見ているショーばかりだが、最後だと思うとつい真剣に見てしまう。VIPの人々は漁協と海洋資源庁主催の公式ディナーを終えてきているが、今夜も軽食のふるまいサービスが用意されている。ハンバーガーとケーキ程度だが、食べ過ぎの我々にはちょうど良い夕食だ。
トリはジョージベイカー。もちろん今日も皆さん大盛り上がり。世界的にヒットした2曲を昨夜も今日も何度か繰り返したので、私も完全にそのリズムを覚えてしまった。ヒットする曲はやはり頭に残りやすい。観客達も交代で舞台に踊りながら上がって行き、一緒に歌ったり、周りで踊ったりして、本当に楽しそう。前方にいるVIPの人々も今日は皆さん盛んに写真や動画の撮影に余念がない。と、大統領も警護官にスマホを持ってこさせ撮影を始めた。大勢の女性が舞台に上がった時には大統領夫人も促されて一緒に上がった。皆さんはジョージぺイカーを囲んで踊っているのだが、大統領夫人は少し近くで踊っただけで、舞台脇にいたジョージベイカー夫人に近づき、何やらお礼を述べているように見える。そして、そのまま舞台横から降りて自席に戻った。これまでの行動を見ていても思っていたが、この夫人が心配りのできる人で、大統領をうまくサポートしているように感じる。ちなみにフィジー人だが、ナウル語もペラペラだそう。
最後には皆さんのリクエストで、大統領が舞台へ。昨夜と同じ曲を今日も楽しそうに歌ってくれた。私もその時動画を撮っていたが、前方のVIPの方々の多く、そしてジョージベイカー夫人までがスマホで動画を撮っていたのがおもしろかった。
予定よりも少し早く、すべてのプログラムが終了した。海外からの出演者は全員が明日早朝のフライトということもあり、出演をキャンセルしたチームがあったためのよう。見ているだけの我々でもきついフライト時間なのに、出演者は本当に大変なはず。ご苦労様と心から思った。
出発まで数時間だが、最後にホテルの部屋で休めるのは本当にありがたい。シャワーも浴びてすっきり。