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2015-16 フィリピン縦断
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ミンダナオ島南岸からルソン島北岸へ、陸&海の旅
Day24 ティグラヤン-ボントック-マイニット
ティグラヤン発ボントック行は早朝発が多いが、タブク発のバスに乗る予定にしたので出発はのんびりしたもの。ティグラヤンに来る途中で買っておいたパンの朝食を済ませ、8時にチェックアウトをした。豚が行き交う村の中の道をゆっくり歩く。
メイン道路に出たところ、今ボントック行のジプニーが出たところだよと教えられた。見るとまだジプニーが見えている。大声を出してジプニーを止めてくれた人がおり、そのジプニーに乗ることにした。車内にはもう場所がなく、乗車は屋根の上だ。
山道で屋根の上は結構きついものがあるが、景色は最高で乗っていて楽しい。
伝統衣装を身に着けて歩く老人などを抜かしながらジプニーは進む。
途中の湧き水はおいしいミネラルウォーターだということで、ペットボトルで運んでいた水を捨て入れ替える。飲んでみると確かにうまい。
棚田の美しい場所も多く、屋根に乗ってよかったなと思う。
U字にカーブした谷など次々と現れる景色は美しく、楽しい旅だ。
2時間ほどでボントックの街が見えてきた。昔来た時は本当に小さな街だったが、今は遠目にも発展しているのが分かる。
ボントックに着き、まずは市場を散策する。塩漬けの肉を干している肉屋が多く、これは平地では見なかったものだ。
市場で昼食をとる。淡水魚であるナマズと豚肉の料理は山間に来たことを感じさせる。昨夕は海魚の料理しかなく、残念に思ったところだったのだ。
トリシクルが行き交うボントックのメイン道路には28年前の面影はない。寂れた田舎町だったはずが、ビルの並ぶ賑やかな街と変貌しているのだ。ただツーリストの姿がないのは意外である。
唯一、記憶がよみがえった場所がこの広場だった。
本日の目的地であるマイニットへのジプニーは2時ちょうどに出発した。ここまでの屋根乗車は楽しかったが、日差しがきついこともあり大変だった。男性のほとんどは屋根乗車で車内はほぼ女性だけであったが、この区間は車内に座らせてもらった。
街からすぐにジプニーは急坂を登り、ボントックの街はみるみる小さくなっていった。
マイニットに行く途中に唯一ある村はギナアンと呼ばれ、人口は結構多そうに見えた。ただし、ジプニーは村ごとに分かれているのか、ここでの乗降はなし。
15時過ぎにマイニット村到着。村に入る手前に温泉宿は見えたが、下車地点はそこからかなり進んだ場所である。村の中に宿があるかと尋ねると手前に見えたものだけだという。しかし、少し奥に源泉などがあるから見てから行けば良いと教えてもらった。
下車地点は車道の終点だが、その先の道路工事も進められている。
車道終点からさらに歩道を登っていくとお湯がごぼごぼ湧き出ている源泉地帯が広がっていた。
源泉地帯辺りまで村は広がっており、人や豚がたくさんいる。
サトウキビの絞りかすの山があり、その向こうにサトウキビを絞るミルや煮詰める釜が見えた。
ミルは動いていなかったが、釜にはサトウキビジュースがグツグツと沸騰している。
砂糖を作っているのかと思ったら、そうではなくバシを作っているという。聞いたことない名前なので戸惑っているとバシを飲ませてくれた。サトウキビを発酵させた醸造酒だ。バシを頂きながら作業を見ていると水分がどんどん飛んで、サトウキビジュースはどろどろになって来た。
焦げたにおいが立ち込めるとサトウキビジュースの色は一気にあめ色に代わる。ここで水の投入。水といってもバシを作っていた一斗缶に入っていた水なので、茶色く濁っており、生きた酵母が混ざっているもののようだ。
水の投入で温度はいったん下がったが、釜の火はついたままで、液を再び加熱している。生きていた酵母もこれで死んでしまうはずだが、特に酵母を加えたりしないという。
酵母の代わりに入れるのが、この植物である。これに付いている菌がアルコール発酵に役立っているようだ。これ以外には何もいれない自然のお酒なんだと自慢をしていた。
水を入れて温度を下げたところで、バシのお代わりを頂く。癖がある酒だが、飲みだしたらかなりいける味で、病み付きになりそう。
沸騰したところで液体は一斗缶に入れられていく。これで作業は完了だ。後は最低3カ月寝かしておけばバシになるという。今回頂いたバシは1年物、酒造りは毎年12月の作業で、その時に一年分作ってしまうのだという。販売用ではなく、基本的には仲間で消費してしまうのだとか。幸運にも酒造りシーズンの最後に間に合って、この作業を見ることができたようだ。
村中のバシをそこで作っていたのかと思いきや、少なくとも3カ所の醸造所があり、次の醸造所で貝や豚の皮を茹でたおつまみをバシとともに頂いた。バシを飲みつつ食べる貝は珍味でうまい。
バシを何杯も頂いた後、どぶろくも頂いた。米の産地であり米でもお酒を作っているのだ。こちらは発酵が完全でなく、かなり甘みが残っていた。
バシを頂いているうちに時間が経ち、17時を過ぎた。ふと気が付くと無人だった温泉に人々が集まってきている。2カ所あるなと思っていたら、男女に分かれていたようだ。
男女に分かれているといっても、目隠しはなく、どちらも丸見えである。カメラを向けても平気で手を振ってくれた。
もっとバシを飲んでいたかったし、温泉にも入りたかったが、まだ宿にチェックインもしていない。暗くなってしまうと道が分からなくなってしまうので、どちらも我慢し、宿方面に向かう。家々の入り口にある水牛の角なども見応えがあり、できればもっとゆっくりと見たい村である。
一軒目の宿にはフィリピン人のグループが来ており、空き部屋なし。あせったが営業していないように見えたもう一軒の宿が営業しており助かった。部屋は泊まるだけの簡素なものだが、温水プール付きである。
プールのうちの一ヶ所は洗ったばかりでお湯を張り始めたところだったので、水を止めてもらい、温泉かけ流しにしたところアツアツになって良い湯加減となった。夜になり、他に客もいなかったので素っ裸になり、温泉を楽しんだ。
温から上がるとシャワー室脇で動物の解体が始まっていた。ヤギだといっていたが、シカのようにも見える。英語をあまり話せない人に聞いたので、シカだったかも知れない。
夕食はコンビーフ料理、インスタント麺とご飯。コンスタントに客が来る場所ではないので、夕食メニューがコンビーフ缶とツナ缶を使ったものの2択なのは仕方ないところだろう。味は悪くなかったのでこれで十分に満足である。ぜいたくをいえば解体したての肉を食べたかったところではある。
*本日の宿:Chonglian Thermal Pools
*本日の移動:ジプニー:ティグラヤン→ボントック、ボントック→マイニット