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~クリミア、北コーカサス、カラムイク~
5日目 シンフェロポリ-ケルチ-アナパ
人類最古の居住跡の一つが、シンフェロポリの宿のすぐ近くにある。4万5千年前から4万年前のネアンデルタール人の人骨が見つかったチョクルチャ洞窟である。ソビエト時代の1927年に発掘が行われ、人骨の他に石の彫刻や様々な動物の骨が見つかっている。今世紀に入ってゴミ捨て場にされたり、浮浪者の住処となったりして今は荒れているということだったが、最終日、寝ている妻を残し、早朝5時ころに宿を出て訪れてみた。正確な場所が分からず、案内板もないので、見つけるのに少々苦労したが、無事にたどり着くことができた。今はゴミなど落ちていないが、落書きなどは消されておらず、彫刻などは見つけられず。それでも有名なラスコーやアルタミラの洞窟と同時代のネアンデルタール人が住居とした洞窟が訪問できて満足。
6時には宿に戻り、出発準備をし、チェックアウト。バスターミナルへは徒歩20分ほどで、7時過ぎには到着。目的地のアナパに行くバスは2時間ごと位にあると聞いていたので事前に切符を買わなかったのだが、これが失敗だった。今日の22時まで空き席がないという。鉄道駅で、近郊列車とフェリー、バスの乗継チケットが売っていることは調べてあったが、バスが混んでいるなら移動しても空きがない可能性が高い。迷った挙句、クリミア半島の東端にあるケルチまでのバスの乗車することにする。乗継がなければ、最悪ヒッチハイクかタクシーか。
バスは7時半出発、先行きが不安だったが、ポカポカ陽気が気持ちよく、車中は結構寝てしまった。中間のフェオドシアを越えた辺りから海辺に出た。砂浜のビーチがずっと続いている。
昼前にケルチ到着。すぐに切符売り場に行ったが、やはり朝言われたのと同じバスしか空きがない。困って粘っていると偉い人が出てきて、それよりも少し早い時間のバスを取ってくれた。それでも20時半発のバスで、アナパ到着予定が0時半となる。アナパで予約してある宿のチェックイン時間は0時までなので何とか連絡をしてチェックイン出来るよう頼まねばならない。切符売り場のえらいさんは英語を話せたのでそのままお願いし、宿に電話をしてもらったところ、宿の人がターミナルまで迎えに来てくれることになり、ほっとする。
バス出発時間まで8時間あるが、ケルチは観光地で中心部もにぎやかなので、時間つぶしにはそれほど困らなそう。まずはバスターミナルに隣接したメレックチェスメンスキー古墳を訪れる。紀元前4世紀の円墳で、墓室まで入ることができる。切符売り場があり、一人50ルーブルだったが、ここも基本ツアー形式なのか、ロシア語が分からないというとお金を返してくれて、無料で自由に見学させてくれた。
バスターミナルの近くには大きな中央市場があった。いつもなら必ず訪れる市場だが、クリミアでは観光に忙しく、見逃していた。予想外の場所で時間が空いて、ゆっくり見学することができ、ありがたい。
市場見学の後、カフェで昼食をとる。フリーWIFIがあったので、食後にインターネットをし、この街の見どころをチェック。計画に入っていなかった街で、何も調べていなかったのでこれは助かった。そして、調べて分かったすぐ近くのミトリダテス山に登る。古代ボスポロス王国の首都だったパンティカパイオンの遺跡がある丘として有名なのだが、現在はそれよりもクリミアとロシアを結ぶ新しい橋の見下ろせる展望台として人気がある。
もちろん遺跡も見応えがあるが、英語の案内はなく、セヴァストポリのケルソネソスよりもずっと小さい遺跡だった。
夕方から遺跡で演劇をやるようで、リハーサルなどの準備が進んでいた。
街の中心のビール屋でビールを飲みながら夕食をとる。時間が余ると思っていたのに、最後は時間を気にしながら飲むほどで、あっという間にケルチ滞在が終わる。
20時過ぎにバスターミナルに戻ったが、バスが全然来ず、焦る。あまりにバスが来ないので、運休で行けなくなるのではないかとか、宿の人が遅いので宿に戻って寝てしまって入れないのではないかと色々考えてしまう。1時間遅れでバスは到着。満席で立ち客も多い状態で、70分遅れの出発となる。ロシアの長距離バスが立ち客を乗せることを初めて知った。
橋の手前で検問。全員の荷物を検査するので結構時間がかかる。そして新たな橋で海を渡る。あまりに長く、渡り終える前に寝てしまう。目が覚めたら、バスは街の中を走っていた。時計を見たら0時過ぎ、ケルチとアナパの間には大きな街などないはずとスマホのGPSで場所チェック。なんとアナパに到着していた! 70分遅れて出発したのに定刻よりも早く着くとはびっくり! どうせ追いつくからと遅く出ていたのか。
バスターミナルで無事に宿のおじさんおばさんと会うことができた。夜中なのにわざわざ2人で来てくれてありがたい。当然車で来てくれているのだろうと思っていたら、宿までは歩き。ターミナルに近い宿で助かった。きれいな宿で、深夜なのにお茶や菓子まで出してくれ、うれしかった。