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~クリミア、北コーカサス、カラムイク~
16日目 ウラジカフカス
南オセチア入国の許可を待てる期限は昨日まで。間に合わなかったので明日からの予定だった南オセチア共和国入国は不可能となる。非常に残念だし、帰国までの日程を固めていたので色々困るが、仕方ない。空いてしまった3泊をどこかに入れねばならないが、すでにホテル予約の変更が間に合わない場所がいくつかある。またすでに予約しているホテルの日程を増やそうとしたところ、満室で宿を変えねば滞在を増やせないところもあった。ここまで粘らずにさっさと諦めればまだ良かったが、致し方なし。できれば見どころの多いダゲスタン共和国や日程のきついカルムイク共和国の滞在を増やしたいところだが難しく、今いる北オセチア、次のイングーシ共和国、その次のチェチェン共和国を1泊ずつ増やす日程に組み替えた。
という訳で、本日は増えた一日なのでウラジカフカスの街歩きをのんびりすることにする。ホテルのフロントで教えてもらった見どころの集まるプロスペクトミラをまずは目指す。宿の周辺は共産主義時代の集合住宅街で、歩いていてもさほど面白くない。街の中心部を南北に流れているテレク川の周辺が見どころの集まる中心部となっている。近代的な橋が多くかかっている中、歩いて渡った橋はスタリトラムバイニ橋。トラムがテレク川を渡るように作られた初めての歴史ある橋だが、今はボロボロで、車は通行止めになっている。橋の上からはコーカサスの雪山がきれいに見える。
川を渡ると公園になっており、良さ気なカフェもある。カフェやレストラン、ショップの並ぶプロスペクトミラはトラムの走る街一番のストリートだが、朝8時台だとどこも開店前だ。
プロスペクトミラの中央部は緑地帯になっており、歩道が続き、噴水やモニュメントも多い。
しかし、9時になってもほとんどすべての店がまだ閉まっており、閑散としている。休日なのかと思ったくらいほどである。
街歩きすれば朝食はすぐにとれるだろうと思っていたのに1時間歩いても食べられる店は見つからない。ようやく見つけた店は西欧風のおしゃれな店で、やっと朝食がとれた。
店だけでなく、教会やモスク、公園、博物館などもこの地区にある。
公園の地面にある街の地図。うまく作ってあり感心する。
再び橋を渡って、街で一番有名な1908年建築のムフタロヴァモスクへ。立派なモスクだ。しかし、ムスリムが主な周辺国と違って、北オセチア共和国には人口の4%しかムスリムがいない。
妻の体調が思わしくないので、先にホテルに帰らせ、ここからは一人で歩く。オセチア風の建築と言えば赤レンガで、レンガの凹凸で模様を付けたり、写真のように丸石を組み合わせたりしている。
市場の入口で写真を撮ったら警備のポリスに捕まった。写真撮影禁止のマークが着いた壁に案内され、何やら説教されるがロシア語なので当然分からず。撮った写真を消されることはなく、写真を撮らないように言われただけで無事に解放された。しかし、写真撮影ができないと市場の楽しみは半減だ。
グルジアワインが数多く輸入され並んでいたり、オセチアワインのペットボトルがあるのが周辺の共和国と違うところだ。ここでも朝鮮系の人がキムチを売っている。沿海州の朝鮮人が第2次世界大戦時に中央アジアに強制移住させられ、その子孫が今も多いことは知られているが、同じ時にコーカサスまで連れてこられた人々もいたのだろうか。
市場の外には少量の野菜を売る人々が並んでいる。
市場の後、次の目的地であるナズラン行きのバスが出る第2バスターミナルへ。しかし、得ていた情報が古かったようで第2バスターミナルは閉鎖している。ターミナル前にいたタクシーの運ちゃんがナズランなら300ルーブルで行くよというが、場所確認に来ただけと分かると、道の反対側に停まっているミニバスがナズラン行きであることを教えてくれた。ミニバスなら50ルーブルだそう。他にミニバスは見つからず。他にここから出ていたミニバスはなくなったのか、グロズヌイでもマハチカラでもナズランで乗り換えて行くのだともここで教えられた。
ターミナルから宿までは5キロくらいあるが、時間があるので帰りも歩くことにする。再び市場に立ち寄り、オセチアワインを購入した。つまみに野菜も。市場は何か所かの区画に分かれており、どの入り口にも写真禁止マークはあるが、先ほど捕まった場所とは違うので、写真を撮っているのが見つかってもそんなに怒られないだろうとふんで、ワイン売り場を撮影。
市場から駅前にかけてはにぎやかな場所で食べるところも多く、散歩も楽しい。しかし、宿に近づくにつれ、おもしろくない街並みになり、久しぶりに10キロ以上歩いていて疲れた。
宿に戻ると妻は横になっており、食欲もなさそうなので一人で昨夜の残りと買ってきた野菜の昼食をとる。
15時からはワールドカップの試合があり、テレビで見ながらワインを飲む。ワインは少し甘口だったが、濃厚でクラスノダールワインよりもずっと美味い。テレビの音で起きた妻が一緒に昼を食べに行こうという。食べたばかりだし試合が見たいので断るとホテルのレストランへ一人で行って、オセチア名物の壺料理を注文し、作るのを見てきたそう。部屋まで持ってきたので味見をしたら美味かった。
半日寝た妻は元気になり、夕食は遠くまで出かけたいという。渡航中止勧告の出ている街で暗くなってから出かけるのもどうかと思うが、ミニバスに乗って市場近くへ。しかし、遅い時間なので市場は当然閉まっており、周辺にある店もことごとく閉まっている。プロスペクトミラまで歩いて戻ると朝の閑散とした姿が嘘のように人通りが多く、食事処もにぎわっている。おしゃれなレストランで夕食をとる。ポットティーを頼んだところ、冷めないようにきれいな保温キャップをかぶせてくれた。飲み終わったらお湯を追加してくれたので、2ポット目のお茶も飲めてついのんびりしてしまった。
帰りが遅くなり、タクシーになると思っていたが、22時でもまだバスが走っており、無事にバスでホテルに戻ることができた。