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南ロシアの旅

~クリミア、北コーカサス、カラムイク~
日記:2018年06月23日(Sat)

19日目 ナズラン→マガス→ナズラン

 覆面男を目の当たりにした妻はよく眠れなかったそうだが、聞いただけの私はいつも通りによく眠れた。宿を移動することも検討したが、問題が起こるなら昨夜だったはずと考え、移動はやめた。部屋はぼろいが、近くのモスクから一日数回のアザーンが聞こえるこの宿が気に入っても来ているのだ。
 宿の一部で運営している酒屋を見に行く。品揃えはすごく良い。値段も安く、他のロシアと変わらない。
18/06/23 16:37:20
 昨夜はまともな夕食をとっていないので朝からたくさん食べたい気分だ。ハラルミートの看板の店をのぞくとちゃんとした食堂ではなく、シャワルマ専門店だった。別の店に行こうとしたが、食べないと決めた店でもメニューを全部見たがる妻は、店のおばさんと話を始める。結局ここでシャワルマを食べることになった。店で働いていたのは女性2人で、一人がウズベク人、もう一人がチェチェン人ということだ。去年モスクワでシャワルマを食べた時も店の人はウズベク人で、一昨年もウズベク人だったはず。ロシアのシャワルマ店はウズベク人が大半なのか。もともとシャワルマはオスマントルコが発祥とされており、日本語になっているシャワルマはトルコ語からきている。トルコ語系のウズベク語ではシャウルマと呼ばれ、その呼び名がロシア全土に広がっているのでロシア語でもシャウルマだ。一方、チェチェン語(=イングーシ語)では名前が全く変わってしまいミトという。実は店の名前は MEAT POINT という英語名称で、だからこそ肉を食わせる食堂と勘違いして入ったのだ。まさかミト(シャワルマ)とミート(肉)をかけた店名だったとは!
 シャワルマはボリューム満点のシャワルマを美味しくいただいてお勘定しようとすると、シャワルマはプレゼントだと断られてしまった。イングーシ人でないのに2人ともイングーシに外国人ツーリストが来てくれたのがうれしいのだという。紛争が続いた国で今もほとんどツーリストの来ない国だからだろうとここはありがたくごちそうになる。
18/06/23 16:49:14
 バスに乗って郊外にある“記憶と栄光の記念碑”と名付けられたイングーシの塔を見に行く。戦争の犠牲者にささげられたこのモニュメントは、オセチアからダゲスタンにかけてに見られるコーカサス地方独特の様式でたてられ、中は博物館になっている。大勢の人々がここを訪れていた。
18/06/23 17:36:06
 記憶と栄光の記念碑からイングーシの新首都マガスに行こうとしたが、ここからのバスはないという。少し歩いた先がメイン道路からマガスに行く道の分岐なので、そこまで歩いてヒッチハイクすることにした。歩きだしてすぐにベンツが停まり、裕福そうなおじさんが、マガスに行くなら乗せてあげるよと申し出てくれた。分岐より手前だったので、こちらからはヒッチハイクの合図もしていない。何故マガスに行くと分かったのかなと思ったが、乗せてもらうことにする。ナズランに泊まっていてマガスに行くのは初めてだというと、おじさんはマガスの入口ゲート前で停車してくれた。
18/06/23 17:53:08
 写真を撮るために停まってくれたのかと思ったら、このゲートは上に登れるようになっている。登りたい人は連絡をするようにと電話番号が入り口に書いてある。しかし、無人で錠は開いている。おじさんが躊躇なく上るので、一緒に登って景色を眺める。
18/06/23 17:59:16
 街の入口にあるイングーシ一番の高級ホテル前で降ろしてくれたので、ホテルに入ってみた。国一番のホテルのフロントなのに英語が通じない。ロビーレベルに入っている店も品揃えが悪い。それでも冷房は効いており、ひと休みするにはちょうど良い場所だった。
 マガスは、1995年に建設が始まり2002年にナズランから遷都された新首都で、今も建設が続いている。遷都された年には人口275人にも満たないロシア最小の都市だったそうだが、年々人は増え、昨年の統計では人口7800人となっている。ビルばかりが立ち並ぶ新首都の雰囲気は近代的で、何よりも人々の服装が違う。ナズランと同じ国とは思えないほどだ。
18/06/23 18:23:46
 中央の広場は真ん中に噴水があり、その両側はカフェになっている。のどが渇いたのでカフェで休もうとしたところ、お茶を飲んでいたおじさんたちに声をかけられ、コーヒーとアイスクリームをごちそうになった。お役人と警官などがそこにおり、やはり外国人旅行者が珍しく、声をかけてきたのだ。この国では、話をする人が口をそろえて「来てくれてありがとう」と言ってくれるので、こちらもうれしくなる。
18/06/23 18:25:50
 マガス一番の見どころはなんといってもこのタワーだ。高さ100メートルで2013年に完成している。
18/06/23 18:56:36
 100メートルのビルなのにエレベーターなどはなく、中はひたすらくるくる坂道を歩いて上がるようになっている。階段でないのは歩けない人が車いすやカートで上がるためだが、おかげでゆるやかな坂を延々と上がっていくことになる。下から展望台まで20分以上かかり、ようやくの到着だ。展望台の高さは85メートル。展望台は床まで透明なアクリル板で、下を見ると85メートル先が間に何もないかの如く見える。
18/06/23 19:17:04
 高所恐怖症でない私でも最初は少し怖く感じたくらいなので、ここまでせっかく歩いて登ったのに展望台に出られない人も多い。写真はビビッて壁にしがみつく奥さんを引っ張っている旦那さん。
18/06/23 19:49:32
 4方をぐるりと見渡せる展望台からは、マガスの街はもちろん、ナズランやウラジカフカスなどの街も良く見えた。ただコーカサスの山には雲がかかっており見えなかったのが残念。写真の中央はマガスにあるイングーシ大統領官邸。
18/06/23 19:20:40
 タワーから降り、レストランで昼食をとる。やっぱりここでもメインディッシュには肉がどーん、そして大量の麺が付く。
18/06/23 21:02:02
 ナズランに戻るバスを持ったバス停は、冷房の付いた部屋になっており、電子図書館付き!
18/06/23 22:26:30
 17時頃宿に戻る。洗濯機を借り、大洗濯。長ズボンまで洗ってしまった。宿の人にテレビの調整を再度頼んだところ、少しは機械が分かりそうな兄ちゃんを呼んで来てくれた。そして悪戦苦闘してくれたが、ネットにさえなかなかつなげられない。見ていてネット接続できない原因は分かったので伝えるとネットにはつながった。しかし、ブラウザの接続もできずいくつかの宣伝サイトが見れるようになっただけ。兄ちゃんどこかに行ってすぐにアンテナを手に戻ってきた。どこにあったんだ? これで接続できると思ったが、アンテナを繋げても接続できず。兄ちゃんもあきらめた。
 シャワーを浴びた後、ワールドカップを2試合パソコンで見る。明日は日本戦、なんとしてでもテレビで見たいが見られるだろうか?
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