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南ロシアの旅
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~クリミア、北コーカサス、カラムイク~
22日目 グロズヌイ
最新のガイドブックにも行くなと書いてあるチェチェン共和国とあって、観光情報などはほとんど事前入手できていない。首都グロズヌイで見どころと分かっていたのは、昨日見逃した博物館と昨日訪れた市場、そして宿のすぐ近くにあり、到着時にちらりと見たモスクくらいのものだった。周辺の村にでも日帰りできれば良いなと思って昨日近郊用バスターミナルに訪れたが、良いバスは見つからなかった。市内ミニバス路線は昨日チェックできたので、今朝はまずミニバスに乗ってみることにした。訪れたのは郊外にあるダム湖。昨日グロズヌイに入るところでダム湖のそばにカッコいい塔が見えたので訪れたのだが、塔は新しくレストランとして造られたものだった。ダム湖の周りに遊歩道があり、少し散歩をする。水辺には鳥も多く、気持ち良い散歩道であるが、気温がぐんぐん上がってきて、早めに街に戻ることにする。
ミニバスに乗ってグロズヌイ到着時に使った南バスターミナルへ。ダゲスタンのデルベント行きは時刻表に書いてある1本しかないことが分かった。その時間だとワールドカップの日本ポーランド戦が見られないので、対策を練らねばならない。再びミニバスに乗って街の中心地に戻った。中心部の表通りが焼け野原だったという今世紀初頭を想像することもできないほど復興は進み、近代的ビルが並んでいる。といっても少し離れれば工事中の場所だらけで、まだまだ復興途中なのもよく分かる。
まずは昨日入れなかったチェチェン共和国立博物館へ。展示物は多く、閉館間際だった昨日に強引に入れてもらわなくて良かったと思った。色々おもしろい展示が多いものの、英語の説明がほとんどなく、何なのかが分からないものもままある。
博物館の奥に黄金の塔がそびえる公園が見えた。チェチェン戦争が終わってロシア連邦内のチェチェン共和国となった時の初代大統領アフマド・カディロフの名を冠したメモリアルである。塔の下は博物館になっているということだったが、工事中で入れず。
ロシアの都市によくある永遠の火がここにもあった。
昨日も訪れた中央市場へ。今日もにぎやかだ。
市場の一角にあった小さな食堂で昼食をとる。昨日同様に、肉、パスタ、にんにくソース、スープである。肉のサイズの違いが、レストランと安食堂の差であり、値段の差なのだろう。味はこちらも負けず劣らず美味しい。
食堂のおばさんが会計時にハイビスカスティーをごちそうしてくれた。うまーい。
イングーシのナズラン同様にグロズヌイにも両替屋が多い。ATMのほとんど普及していないイングーシならまだ解るが、この街はATMが普通にある。両替屋さん達は商売あがったりじゃないかと思うが、そうでもなさそう。いったい誰が両替するのだろう?
昨日の天気予報通り、非常に暑くなっており、14時過ぎ、フラフラになりながら宿に戻る。冷房の効いた宿は最高~。
夕食がてら夕暮れ時に外出。まずはすぐ近くの大モスクへ。ライトアップに映えるモスクの美しさに圧倒された。遠目には何度も見ていたが、こんなに美しいモスクだとは思ってもみなかった。知っていれば、まず最初に来ていただろう。これを見ただけでグロズヌイに来る価値があると断言できるほどの素晴らしさで、グロズヌイの印象は滞在2日目の夕方にして、一変した。
日没となり、モスクからアザーンが鳴り響く。美しい音色だ。ふと気づくと、大勢の人がモスクに吸い込まれていく。近寄りがたい荘厳さがあり、人の流れが切れるまで、駐車場からモスクを眺めていた。モスクにわたる横断歩道に緑のラインが光っているなと思いながら渡ったら色が赤に変わった。よく見るとストップとの文字が光っている。これも信号なのだ。
モスク横の工事現場にあるクレーンまでライトアップしている。クレーンなんて一時的なものなのにと思うが、ここは高さ400メートルを超える超高層ビルの建設現場で、完成すれば欧州一の高さのビルになる予定なのだ。まだ何年もここで使われるクレーンならライトアップもありだろう。
モスクは朝訪れた記念塔と同じ初代大統領の名をとって、アフマド・カディロフモスクと名付けられている。完成は10年前で、内部は1万人がお祈りできる大きさだ。イスタンブールにあるブルーモスクの形を基本的に模倣しながら、最新の技術を投入され建てられたというだけあって、外観だけでなく内部も美しい。
異教徒でも中に入ることができ、女性にはムスリムの衣装も貸してくれる。ただし、バックの持ち込みは禁止で、妻は入る時のチェックで、カメラはバックごと預かりとなってしまった。写真撮影がダメなのかなと思ったが、カメラを手に持っていた私が預けようとすると、写真は撮って良いよと言われた。お祈りタイムが終わってから入場したが、まだパラパラとお祈りに来る人は居り、写真を撮らせてもらう。
モスクの周りは噴水がたくさんある公園となっており、散歩をしている人も多い。散歩ついでに川を挟んだ対岸にある高層ビル群の方にも少し行ってみる。このビル群のライトアップが次々と変わっていくのでモスクのライトアップがさらに映えるのだ。
帰り道、再び最初の場所へ。すっかり暗くなってからのライトアップはさらに美しく、しばらくまた眺めてしまう。
モスクで予想外の時間をとって、遅くなった。外食をするつもりだったが見たいサッカーの試合が始まる時間になってしまったので、カップめんなどを買って宿に戻る。モスクの余韻が大きすぎて、この日はサッカーに集中できずに終わった。
I ♥ GROZNY の文字がいつまでも脳裏に焼き付き、なかなか寝付けず。