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~クリミア、北コーカサス、カラムイク~
23日目 グロズヌイ
グロズヌイの3日目。事前に訪れたいと思っていた場所はもう訪問してしまったし、新たな情報は現地にいてもあまり入らないので、のんびり街歩きをすることにする。まずは市バスに乗って北バスターミナルへ。ダゲスタンの首都マハチカラ行きがこのターミナルから出ているという情報があったので、チェックに来たのだが、バスターミナルは閉鎖されていた。ターミナル前の駐車場には乗って来た市内バスの終点で、同じ番号のバスは何台かあるがそれだけ。バスターミナルの建物は無人だったが中には入れた。照明もついていたので単なる休みであることを期待したが、張り紙で移転してしまっていることが分かった。ロシア語の張り紙で移転先はよく分からず。
宿までは4キロ弱、散歩する場所を決めていた訳でもないので、歩いて戻ることにする。ターミナルの周辺はガラーンとしており、ホテルもあったが営業していない様子。食堂はやっており、朝食でもとってターミナルの移転先でも聞こうと思ったが、お目当てのものがないということで妻が却下。食べる店くらい幾らでもあるだろうと思ったが、その後ずーっと見つからず苦労した。途中から、道路の中央が並木道の歩道になり、木陰が続いて助かった。
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やっと食堂発見。お目当ての食べ物があり、作り方まで見せてもらえ、妻は大満足。
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昨夜のアフマド・カディロフモスクまで戻ってきた。暑い昼間は噴水の水が涼しげで良い。
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モスク入口は閉まっており、掃除をする人がいるだけ。日陰の大理石はひんやりして気持ちよく、しばらくモスクを眺めて過ごす。
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宿のすぐ目の前に貸自転車屋があることに今になって気がついた。何度も前を通っていたが自転車置き場だろうと注意していなかったが、屋根に1時間150ルーブル(250円)とある。駐輪代にしては高いので覗いたら、自転車の形が揃っており、貸自転車に間違いないだろう。そしてそのすぐ右側には土産物屋! ロシアからの観光客さえほとんどいないグロズヌイだが、観光に力を入れているのだ。*写真右側の地図があるのが土産物屋で、宿はその後ろの黄色い建物。ただし入口は中庭側で、部屋も中庭側に面している。
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暑いので宿に戻ったが、なんと停電かつ断水。しかし、分厚い石造りのビルの中は外よりもずっと涼しく、そのまま午後は部屋でのんびり過ごす。停電は宿のビルと隣のビルはしていたが、少し離れれば大丈夫。中庭部分の地面を掘り返している日だったので、電線を切ってしまっていたのかもしれない。ビルなので水は電気が切れるとポンプが動かず上がらないのか。
電気が来ず、テレビが見れないので、ワールドカップのサッカーをレストランの食堂でのんびり見ようと初日に入ったレストランを訪れた。大画面のテレビの前に座ったが、ここのテレビはインターネットにしか繋いでおらず、普通のテレビ放送は見られないという。前回も今回も流していたのはミュージックビデオだったのはそういう訳か…。サッカーはインターネットでもやるので色々リモコンをいじってみたが、映らない。
あきらめて座っていたら個室の方からサッカーの歓声音が聞こえてきた。覗いてみたら個室というより、オフィスのような感じだが、こちらのテレビではサッカー中継が映っている。サッカーを見たいが向こうのテレビは映らないというと一緒にどうぞと誘ってもらえたので、同席させてもらう。部屋にはトロフィーがずらりと並び、壁には柔道の絵や写真が数多く飾られている。ロス五輪金メダルの山下泰裕氏や柔道家で知られるプーチン首相の写真もあり、そこに一緒に写っているのがまさに隣に座っている人であることに気付いた。彼は気が付いてもらえたことに喜んで、スマホの中にあった他の写真をたくさん見せてくれた。このレストラン自体が柔道クラブの経営で、ここはそのオフィスなのだ。この時は特に自慢などしていなかったが、帰国後調べてみるとこの Edelweiss Grozny Club は2017年欧州クラブ チャンピオンシップの優勝チームだった。
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オフィスでサッカーを見ていた人々はコーヒーを飲んでいただけだったので、食事は元の場所でしようとしたら、試合中なんだからここで食べなさいと場所を空けてくれた。チェチェンの伝統料理である腸詰めを頼んだら、まさに腸詰めというものが出てきて、非常に美味だった。
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オフィスの人も食べ物を注文したのでホッとしていたら、どうも私たちにもっと色んなチェチェンの食べ物を味わってもらいたかった様で、自分たちはあまり食べず食べろ食べろと勧められお腹いっぱいになった。途中でクラブの代表者から電話がかかってきて、日本からチェチェンに観光で来るなんて、なんて素晴らしいことだろうと何度も言われた。明日なら時間があるので色々案内したいとも言われたが、残念ながら明日朝の出発で、彼とは会えずじまい。クラブ代表者はレストランの経営者でもあったので、先に自分たちで注文した食事代も払わせてもらえず、御馳走になってしまった。今回の旅では各国で何かしらごちそうになっており、本当にありがたい。コーカサスの人々の優しさが身に染みる。
レストランからの帰り道、満月がアフマド・カディロフモスクと重なっていた。この角度から見るとモスクはビルに埋没しているかのようで、新たな感動を覚えた。