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2019 サウジアラビア
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自由な旅が解禁になったサウジアラビアへ
8日目 スレイエレ
朝7時に、昨夜訪れたテントの人からSMSでメッセージが入った。隣町のパーティーは友人に連絡が付かなかったから難しいとのこと。ならば今日は農園をまず見学し、あとは街を見るだけ。チェックアウトリミットは15時なので、連泊はせず、昼食後出発することにする。
農園に行けばまた色々出していただけそうな感じなので、朝食はとらないでも良かったが、昨日の夕食と今日の朝食用に買ったつもりの食糧が残っているので、部屋で食べてから出かけた。
農園は、昨夜訪問したテントの裏手に広がっている。スレイエレは非常に乾燥した砂漠気候で、年間降水量が0mmの年もあるそうだが、地下水が豊富なオアシスの街。地下水を汲み上げ、縦横に延ばしたホースから常に水を出し、農業をしている。カボチャやナス、トマト、唐辛子など、栽培しているのは日本でもなじみの植物ばかりである。唯一見て分からなかった穀物は家畜の飼料にしているものだそう。
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ヤギや羊、鶏もたくさん飼われていた。
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種はトルコやアメリカなど世界中からの輸入品で、缶詰の種が多いのに驚いた。これから撒くために用意していた野菜の種類は、すでに栽培しているものよりもずっと多い。
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農園を見せていただいた後、コーヒーでもいかがと家に招かれる。庭には昨夜のテントよりも豪華な囲炉裏のあるテントがあった。家の中には豪華な応接間。ここでアラビアコーヒーとナツメをいただく。
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朝食もどうぞと言うことになり、妻はキッチンに入って料理を学ぶ。男性は家族しか入れないので私は応接間でのんびりコーヒーを飲みながら準備できるのを待つ。写真はアシーダ。ケニアのウガリのように穀物を練った食べ物で、アラブ諸国全域で人気の食べ物だそうだが、初めて見た。
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アシーダは手で食べるのだが、汁物をすくう時には小さなお椀型にしてすくって食べるのが、おもしろい。最初は主食として食べ、最後は蜂蜜で食べてデザートとなる。
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この家での夕食に誘われたので、再び予定を変更し、出発は明日に延期する。一旦ホテルに戻り、今度は街の中心に向かう。ホフーフで見た世界遺産のオアシスはナツメ農園が壁の向こうであまり見えなかったが、こちらは壁などなく、中に入ることもできる。豊富な地下水をポンプでくみ上げ、水を十分に流しているので、ナツメを始めとする緑が生き生きとしている。
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街の市場のコーヒー屋で、コーヒー豆とその殻のギシルを見せてもらう。ギシルはコーヒー豆と同様の入れ方をする飲み物に使われる。コーヒー豆をたくさん輸出しているイエメンでは、副産物のギシルの方が安かったが、ここではほぼ値段が変わらない。
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街を歩いている時に車から話しかけてきたおじさんが、歯ブラシの木をくわえていた。ミスワークと呼ばれる木の根でつくる天然の歯ブラシだ。興味を持って質問したら、新しいのを持っていたので一本ずつくれたので、我々も試す。後で調べたところ、ちゃんと殺菌作用を初めとする各種効能が含まれているそう。
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そろそろ戻ろうかと思って歩いていると、また別の車が停まり、暑い中歩くの大変だろうから送ってあげるという。散歩目的なので私は断ろうと思ったが、妻が足が痛くなってきたというので親切に甘えることにした。おじさんは暇だったのか、時間があるなら良いところを見せてあげるといって、最初は古い建物が残る場所に立ち寄ってくれた。昨日のレイラにあったような泥壁の家屋群だ。
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次に井戸を見せてくれ、最後に豪邸に連れて行かれた。豪邸の敷地の隅に昔の泥壁の建物が残っている。家に入らずこちらを色々見せてもらった。
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泥壁の建物のベランダのようなスペースに屋根があり、その下に絨毯を敷いて休む。しばらくして、豪邸の建物からエチオピア人女性のお手伝いさんが来て、妻が中に誘われる。男性は入れてもらえず、私は外で待つ。しばらくすると豪邸から別の男性が出て来た。この人がここの主人で、ここまで連れて来てくれた人は一族の人だが、この家の人ではなかった。主人が出掛けていたので、女性だけの家には入れなかったようで、ようやく私も豪邸に入れた。朝訪れた家も豪華な応接間が
2部屋と外のテントも応接用なのだが、この家は見せてくれただけでも4部屋もの応接間がある。
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洗面台も写真のような豪華なのが少なくとも2ヶ所ある。
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妻はほとんどキッチンに入りびたりで、出て来ず、私はコーヒーをいただきながらおじさんや子供たちと過ごす。
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庭には家庭菜園があり、野菜はほぼ自家栽培が出来るくらい色々作られている。歯ブラシの木であるミスワークも一本植わっている。葉を少しかじると同じ味がしたが、歯ブラシになるのは根っこの部分である。鳥のさえずりが絶え間ない楽園のような場所である。我が家で栽培したトウモロコシは鳥にやられてしまったが、ここのは鳥にもやられずすくすくと育っている。
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どういう流れでここでランチをいただくことになったのか覚えていないが、妻がキッチンに入り浸っていたのは当然料理を学んでいた訳で、豪華なランチを出していただいた。お腹いっぱい頂いて、最後のフルーツを食べる余裕がなかったのが残念。
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あっという間に2時間も豪邸に滞在しており、名残惜しいがホテルに戻る。写真好きの家族で、最後の記念写真を家の色んな場所で撮影した。最後はホテルまで車で送ってもらう。
朝、昼と続けて豪邸に訪問でき、非常に楽しかったが、疲れた。夜の再訪問に備えて、午後は昼寝をする。
日没時のアザーンで目覚める。暗くなってそろそろ出かけた方が良いかなと思っていたら、ホテルに迎えの車が来た。急いで準備をし、朝の豪邸に再訪問。テントにはすでに日が焚かれ、一族の人々が集まっていた。まずは一人一人にあいさつ。その後、着席し、コーヒーをいただく。
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人数が多いためか、コーヒー以外にコーヒーの殻で入れるギシル、生姜湯のようなザンジャビール、そして紅茶など色んな飲み物が用意されていた。写真はザンジャビール。
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妻はすぐにキッチンに行ってしまい、私は皆さんと話をする。英語の出来る人がおらず、スマートフォンの翻訳機能だけで会話するのは大変だ。19時、本日最後のお祈りの時間となる。私も一緒と誘われ、モスクへ。なんと一族専用のモスクが家の前にあり、礼拝はこのモスクでする。主人がイマーム(イスラム教の指導者)でもあるのだそう。入る時はモスク内部の写真もダメと言われたが、礼拝終了後に良いよと言われ、一枚記念に撮影する。
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同じ時間に、妻は何種類かの食事を女性陣と一緒に作っていたのだそう。
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囲炉裏で出来た炭を使って、この家の息子が鶏肉を焼く。
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そして皆さんと一緒に楽しく夕食をいただく。
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夕食後、テントに戻ってしばらく会話するが、眠くなってしまい、先に帰らせてもらうことにする。テントの中では皆さんまだまだ非常に元気だが、仕方ない。
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サウジアラビアを旅するに当たり、豪邸を見てみたいなと思っていたが、こんなに早く実現するとはほんとうにラッキーだった。疲れたが楽しく充実した一日を過ごせ、皆さんに感謝感謝である。