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2019 サウジアラビア
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自由な旅が解禁になったサウジアラビアへ
20日目 タイマー
昨日予定よりも早く着いて、メインの大井戸を訪れていたために、朝はのんびり。11時近くになってホテルを出て、朝食へ。店にいた客も店の人もみなさん初めて日本人を見たそうで、歓迎される。レバー料理と卵料理を食べ、会計しようとすると、ゲストだからお金はいらないと。サウジアラビア人は旅人に親切で、一品おまけしてくれることは多々あったが、店の人が無料にしてくれたのは初めて。本当に人が優しい国だ。
朝食のレストランで、横で食べていた人から、コーヒーの招待受けたので、彼の自宅へ。応接間の一面が博物館のようになっていた。伝統的な道具が並んでおり、コーヒー豆を粉にするすり鉢や火の上で豆を炒る器具、炒った豆を冷ます道具などの使い方を教えてくれる。主人席の周りは水場や暖炉まで備わり、まさにコーヒーを入れる場所になっている。
アラビアコーヒーとナツメをいただき、約1時間ここに滞在した。
タイマーの旧市街は総延長4キロの城壁に囲まれており、今もその壁が見ることが出来、上に登ることもできる。
その内側に約3000年前とされるラダム宮殿の遺構がある。
石垣をよく見ると所々にラクダの絵や古代文字が残っている。
さらに北には紀元前6世紀のハムラ宮殿がある。こちらの方が保存状態が良く、石組みが精巧で新しいものだというのが分かる。
こちらの遺跡にもラクダの絵などが残っている。
城壁の保存状態の良い場所は、先ほどの様に登ることはできないが、きれいな石組みが残っていた。
オアシスの中心部に入って行くと大きなナツメの実が付いている。ナツメの収穫は年に一度で、今の季節は終わっており、これまで見てきたオアシスのナツメに実は付いていなかった。実が付いているのは巨大な木ばかりで、普通のサイズの木にはここでも付いていない。大木は収穫期が遅いのか、それとも採り難いので放置なのか。
ヤシの根元には、レモンの木やオレンジの木が植わっている。ちゃんと水を流し、手入れもしている。鳥の声も聞こえ、楽園のようなところだ。
昨日入れなかった大井戸の前に行くと、近くの民家から英語の会話が聞こえてきた。地元のおじさんと外国人が話をしている。この外国人が今回の旅で初めて会った個人旅行者だ。フランス人で、彼もレンタカーでの旅だ。地元のおじさんに誘われ、皆でコーヒーをいただく。入れていただいたコーヒーはトルココーヒー。我々の飲むのと同じ深入りでコーヒー色をしている。お店でアラビアコーヒーとトルココーヒーを並べて売っているのは知っていたが、アラビアコーヒー以外が出されたのは初めて。たまにはコーヒーの香りも良いものである。
大井戸の名はハッダージュ、井戸の工事はいつ終わるか分からないとのこと。おじさんから、紀元前6世紀からの井戸で、世界最古などと自慢される。工事で見れないのは残念だなーと思っていると、おじさんが入れてあげると言い出し、実際に入ることができた。おじさんはこの地区の有力者だったのだ。底にたまったゴミや泥を出す工事のために井戸の底に降りるように作っていた階段も使わせていただき、井戸の底に降りる。
井戸をのぞくことさえ出来ればと思っていたのに、そこに降りて見上げることが出来るとは、すごい幸運!
井戸の底には横穴があり、ここからの水路が先ほど見たハムラ宮殿まで何キロも続いている!
フランス人の兄ちゃんはサウジアラビアが後3日しかなく、ここで別れた。この後、地区の集会所のような場所に招待される。午前中に訪れた家以上にコーヒーポットが並んでいる。ここには地区の人が次々やって来て、子供が遊びに来たりした。ここではちゃんとアラビアコーヒー、そしてナツメに、コーヒーの後はお茶。アラブのもてなしの定番だ。
この時、ゲストハウスを持っているという人がおり、無料で良いから泊まりに来いと散々言ってくれた。今夜の宿代はもう払っているので泊まるつもりはなかったが、見せてもらいに行く。庭には色々な果実が植わっており、美味しいブドウやオレンジをいただく。
ここはおじさんのセカンドハウスで、週末に来るくらいだというが、維持管理のために、バングラデッシュ人を一人雇っている。部屋は普通だが、なんとプールがある。しかも必要ないと断ったのに、プールに水を張り出した。砂漠の民には最高の贅沢で、自慢のようだった。
今日は時間に余裕があるはずだったのに、予定外のことが続き、あっという間に夕方だ。クライヤの遺跡を最後に見ようと訪れる。柵の外側は一部公園になっており、ハッダージュの井戸のモニュメントがあった。
そしてクライヤの遺跡。炭素14の測定では最古の壁材は紀元前19世紀だというから、サウジアラビア最古の集落跡の一つだろう。紀元600年頃の干ばつで放棄されたそうで、石積みはきれいに残っている。
発掘品置き場にはきれいな岩絵がある石がいくつもある。精巧な絵で動物の種類も多く、本当に素晴らしい絵だった。
夕食は昨日も訪れたレストランへ。今日もご飯の上にチキンが乗せられた料理だ。